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特集の解説
「個人差を吸収する」体育授業開き
千葉市立弥生小学校
根本正雄
体育の最初の授業で何をするかは子供にとって大きな関心がある。学年のはじめなので、友達関係はできていない。
精神的に不安な状態にある子供たちに体育の授業は大きな役割を果たす。運動を通してコミュニケーションができるからである。
1.
体ほぐしで「世界の挨拶」というのがある。歩きながら片手タッチ、両手タッチ、ハイタッチ、握手をしていく。歩きの次は走りながら行なう。タッチをしながら「こんにちわ」と言葉をかけて走る。
このような運動を通して、はじめて出会った子供の緊張感はほぐれ、温かい雰囲気になっていく。新しい友達とのふれあいを通して交流がなされていく。
体育の授業開きではこのような個人差を吸収する内容が適している。
個人差がもろに出てしまう種目では、子供は余計に緊張感をもってしまう。特に運動の不得意な子供は心を閉ざしてしまう。
授業開きであるからどの子供にとっても楽しい、おもしろいという体験をさせることが大切である。これからの授業に期待感がもてる内容にしていくことが授業開きの役割である。
「個人差を吸収する」ことを私は、次のように考えている。
1.誰でも参加できる。
2.誰でも上達する。
3.誰でも楽しめる。
体ほぐしの内容はそれらの条件をすべて満たしている。
「世界の挨拶」の動きは、片手タッチ、両手タッチと簡単であるので誰でも参加できる。
しかも最初は歩きながら、次は走りながらの動きと上達していく。自然に動きがよくなっていく。しかも楽しくできる。そのため、体育の授業開きに適しているのである。
2.
それでは他の運動では、どのように個人差を吸収した授業づくりをしたらよいのであろうか。
石橋健一郎氏はバスケットボールの指導で、次のような工夫をしている。
1.リングの下に小マットを3枚並べる。
2.小マットにはシューターが1人だけ入る。
3.ボールはシューターにパスされ、誰にもじゃまされないで何回でもシュートができる。
このルールの工夫によって、普段はシュートチャンスのない子供でもシュートのチャンスができ、シュートをする喜びや楽しさが体験できるのである。
しかも、入ったら次の子供がシューターになる。上手な子供だけがシュートするのではなく、全員にシュートするチャンスが保障されている。
上手な子供だけがボールをとり、シュートするのではなく、どの子供にも上達する機会が保障されている。
しかも入るまで何回でもシュートできるシステムになっている。個人差が吸収されているのである。
このような学習が授業開きで体験できた子供は、意欲をもってその後の学習にも参加してくる。
本特集では、このような「個人差が吸収された」授業開きの実践例が紹介されている。実践事例をもとに、よりよい授業開きを行なってほしい。
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