現代教育科学 2007年6月号
改正教基法で現場に問われる課題

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現代教育科学 2007年6月号改正教基法で現場に問われる課題

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ジャンル:
教育学一般
刊行:
2007年5月7日
対象:
小・中
仕様:
A5判 116頁
状態:
絶版
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目次

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特集 改正教基法で現場に問われる課題
提言・改正教育基本法をどう評価するか
日本人独特の倫理感につながるもの
西澤 潤一
やっと戦後教育が終わった
菱村 幸彦
慌てず、気負わず、じっくりと
長尾 彰夫
改正教育基本法の長所・短所を冷静に把握すること
安彦 忠彦
天皇の価値をしっかり教える
安藤 豊
「家庭教育」「社会教育」条文はPTA問題を抜きにできない
大森 修
「個」から「公」重視へ―現場に問われる課題
「個」と「公」の健全なバランスに立つ教育の創造を
片上 宗二
地域と共に「公共の精神」を育てること
鈴木 一コ
やはり「教師の資質」である
長野 藤夫
勤労を重んずる態度―現場に問われる課題
学校再編の視点として活用する
山下 政俊
進路指導に関わってくる大事な内容であり、今後さらに重視されていく
板倉 弘幸
フリーターやニートが急増しているという実態を踏まえること
戸井 和彦
伝統と文化の尊重―現場に問われる課題
「伝統と文化の尊重」と教育実践の課題
江間 史明
千年を超える教育文化を教室の中に取り入れて、知的な子どもを育てる
佐藤 琢朗
様々な授業が必要である――日本の伝統行事と共に根付いてきた「共食」
谷 和樹
我が国と郷土を愛する―現場に問われる課題
何に忠誠できるのか――シティズンシップのための教育――
池野 範男
何をどう捉えるか
中野 浩彰
我が国の伝統・文化について授業で教える
吉川 廣二
家庭教育の自主性―現場に問われる課題
多様な価値観をもつ家庭の増える中、教職員全体での共通理解の場を
寺西 和子
保護者の二極化にどう対応するか
山田 一
「教育改革」より“保護者改革”を!
戸田 正敏
必要な政治的教養―現場に問われる課題
主権者形成というビジョンを明確に
關 浩和
意義の理解と批判力
大河内 義雄
「われわれ」という発想
浜上 薫
宗教に関する教養―現場に問われる課題
いかに宗教を語り、学ぶのか
平野 久美子
相手の価値観を予想する大きな手がかりになる
神谷 祐子
子どものことを考えた対応
大江 浩光
人権教育時代の同和教育の実践 (第3回)
差別の日本的原型としての部落差別
桂 正孝
教育再生に向けて (第3回)
教育の在り方を根本から見直したのか
大森 修
論理的思考力の鍛え方 (第3回)
小論文の指導準備と指導の全体像
市毛 勝雄
人間力を育てる理科教育 (第3回)
社会人に必要な読解力や作文力、科学的な報告文を書く能力が育っていない
武村 重和
TOSS授業技量検定の成果 (第15回)
あらゆる場での模擬授業研修
向山 洋一
教育行政をめぐる論争と問題点 (第3回)
障害児の教育を受ける権利保障をめぐる対立
若井 彌一
編集後記
江部 満樋口 雅子

■編集後記

○…「教育の憲法」と言われてきた教育基本法の改正が衆院に続いて参院でも可決されました。「やむをえぬ与党単独可決」と評価する新聞も出ました。民主党も独自の「日本国教育基本法案」を提出していたのでしたが、夏の参院選に向け民社党などとの共闘を優先したようです。教育基本法改正そのものに反対してきた社民党などと違い対案を示していただけに残念な対応でした。

○…現行の教育基本法は昭和二二年三月、占領軍の連合国総司令部の圧力や干渉を受けながら成立したものです。戦後六十年を経過してその矛盾や問題点があるにもかかわらず、多くの教育学会や教員組合などがなぜ反対したのでしょうか。

 反対運動の側では、改正のねらいとして戦前の国家主義的統制教育や軍国主義への復活の志向が強調されていましたが、他方で新自由主義と新保守主義の合流とする警戒論も出ていました。

○…しかし、今回の改正が「脱戦後」への大きな一歩であることは間違いありません。改正法には、現行法にない新しい理念が盛り込まれていますから。例えば「我が国と郷土を愛する態度」「公共の精神」「豊かな情操と道徳心」などです。さらに「家庭教育と幼児教育」の規定が新設されたことの意義も大きいと言えます。

 教育基本法の改正は、抜本的な教育改革の第一歩だ、と評価する意見も多いようです。今後、新しい理念や原則を踏まえて学校教育法、社会教育法をはじめ、関連する教育法令の改正を行うことにより、教育の枠組み全体を新しくすることになるからです。

○…まずは中断している学習指導要領の改訂作業に集中する必要があります。現場では改正教育基本法の理念や考え方が学習指導要領にどう盛り込まれるかに関心が高いからです。特に改正の各項目についても検討する特集を組みました。

〈江部 満〉

○…「道徳の教科化」が、教育再生会議で提言されたことが話題を呼んでいます。

 道徳というといつも思い出すのが、大阪の人権副読本『にんげん』に「いちど、どなったろか」という児童作文が載り、批判を浴びた事件?です。

 中味は「児童会で廊下を走るのは止めましょう!∞賛成・賛成≠ニ学級のみんなが賛成するが、守れるはずがない。守れないとわかっているのに賛成する学級の皆を、一度どなってやろう」というものです。

 批判した側は「きまり破りを副読本が奨励してもいいのか」というものでした。

 副読本に載ったから奨励していると捉える見方も形式優先≠フ考えだと思います。が、しかしなかなか奥が深い問題です。

・廊下を走ると危ないことはまちがいない!

・しかし、走ったことがない人もいない!

・走る必然性がある場合だってある

 だからって、「走ってはいけないなんていう建て前主義は止めよう」といって事故が起きたらどうするのだ…。というところに話が集約しそうな気が…。もしそうだとすると、到達点の嶺にはどんなキーワードが鎮座するのでしょう。

〈樋口雅子〉

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