衣食住・家族の学びのリニューアル
家庭科カリキュラム開発の視点

衣食住・家族の学びのリニューアル家庭科カリキュラム開発の視点

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21世紀を生きる子どもの幸せを第一としたカリキュラムを提案。

子どもの実態に基づく、子どもの幸せを第一としたカリキュラムは、教師の手によって作られるべきである。本書は現場教師と家庭科の研究者が協働で、家庭科の枠組みや題材・方法のリニューアルを追及したものである。


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ISBN:
4-18-967111-8
ジャンル:
技術・家庭
刊行:
4刷
対象:
小・中・高
仕様:
B5判 128頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

はじめに
1章 自分と現実世界が見えてくる授業
第1節 食から学びの世界が広がる
第2節 衣から学びの世界が広がる
第3節 くらしの場から学びの世界が広がる
第4節 家族・保育から学びの世界が広がる
2章 家庭生活・子どもの変化と学びの転換
第1節 家庭生活の変化のなかで求められる学び
第2節 「家族」をどうとらえたらいいのだろうか
第3節 人間の発達に関する学び ―児童・生徒の自己理解と世代間交流教育のために―
第4節 男女共同参画・循環型社会を生きる
3章 家庭科が学校教育で成立する根拠
第1節 家庭科につきまとう誤解をとく
第2節 問題解決学習から課題提起型学習へ
第3節 ジェンダーと家庭科はどうかかわっているのだろうか
第4節 家庭科と「総合的な学習の時間」とはどういう関係にあるのだろう
4章 カリキュラム構築の問い直し
第1節 カリキュラムとは ―家庭科カリキュラムの構築にかかわって―
第2節 カリキュラムをつくるのは誰か
第3節 カリキュラムに「系統性」はあるのか
第4節 英米のカリキュラムはどうなっているのだろう
おわりに―カリキュラムはどのように開発されるべきか

はじめに

 最近のカリキュラムの考え方は,一般的に認識されているようなペーパーに書かれた教科などの目標,内容,配当時間,実施学年などを指すだけではありません。カリキュラムは,指導法を含め,教材,教師活動,生徒活動,評価の方法,施設設備,教育委員会と学校の関係,教師や生徒の管理のし方やされ方,教師と子どもの人間関係など,学校活動のすべてを含む非常にダイナミックなものと,とらえる必要があります。また公的なカリキュラムは,時の政府(為政者)のイデオロギーを反映し,内容や教材は,その時代の文化の諸相の中から為政者によって選ばれて取り入れられる,という特色をもっています。すなわち,公的カリキュラムは,政治的であり,また社会・経済的側面をもち,為政者や産業界の意図が,子どもの実態や幸福よりも優先される傾向があります。

 例えば,小学校のミシンに関する内容は,子どもにとって難しいと長年にわたって言われながらも,今回の改訂以前の小学校家庭科学習指導要領に,教えるべき内容として規定されていました。また,中学校「技術・家庭」科は,約40年近くもの間,企業戦士とそれを陰で支える専業主婦養成を目的とする教科であったことは,よく知られています。戦前では,「家事・裁縫」科を女子のみに課すことにより,女子に対して婦徳の涵養を目的とする教科として機能させていたことは,改めて言うまでもありません。これらの例から思いを馳せれば,上記のことを理解するのは容易でしょう。

 それゆえに,子どもの実態に基づく,子どもの幸せを第一としたカリキュラムは,教師の手によって作られなければならないのです。しかし残念ながら,わが国の人々の精神的な伝統および明治以降の教育の歴史から見るとき,教師による独創的なカリキュラムの創造は,期待が薄いのが現状です。したがって,ここでは第一の前提として,現場教師と家庭科の研究者が協働して研究し,カリキュラムのモデルを提示する必要があることを,確認しておきたいと思います。

 本書は,21世紀を生きる子どもたちの幸せを願い,家庭科の学びのリニューアル,すなわち枠組みや題材や方法のリニューアルを追及したものです。教師と研究者が継続的に検討を重ね,共に作成した家庭科カリキュラムへの提案となっています。小学校,中学校,高等学校の日常の実践活動や,教師を目指す方々の教材研究に生かしていただければ幸いです。


  2004年7月   著者一同

著者紹介

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※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
    • 21世紀に生きる子どもたちに必要な家庭科の内容と方法が示されている。小・中・高の優れた実践が紹介され、夫々に専門家からのコントが付され、教師を志す人には参考になる事項が多い。また教師として心得るべき現代的課題について、適切な解説がある。本書は一般教養としても有効である。
      2013/4/11
    • この本は、2004年、日本家庭科教育学会の課題研究における、家庭科の仮キュラム研究によるもので、約20数名の執筆陣からなるものです。理論のみでなく、実践にうらづけられており、8年経過し日本の世の中が一層複雑になっている今、本書は、学生のテキストとして一層輝きを増しています。
      2012/4/9鶴田敦子

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