- はじめに
- 序章 互いの位置を知る
- すれちがう思い
- 思いはどこにある
- 問題悪化地帯の会話
- 問題解決地帯の会話
- 第1章 不登校保護者支援マップ
- 第1ステージ
- 第2ステージ
- ネガティブループ
- ポジティブループ
- ネガティブループからポジティブループへ
- 第2章 保護者支援第1ステージに向かうために
- 自分を大切にする
- 受け止め方で気持ちは変わる
- 言葉をそのまま受け止めない
- すべての保護者に受け入れられることを目指さない
- 「べき思考」を手放す
- 悲観主義に陥らない
- 苦手な会話は質問でつなげる
- 雑談へのつなげ方
- リアクションを準備しておく
- 第3章 気持ちを受け止めるコミュニケーションガイド
- 気持ち良いコミュニケーションには〜繰り返しと質問を〜
- 事実と違う苦情には〜説得ではなく共感を〜
- 興奮状態の苦情には〜ペーシングを使う〜
- 先生像の押しつけには〜価値観のペーシング〜
- 第4章 困った場面でのコミュニケーションガイド
- 「でも」「でも」を繰り返される
- 大声で怒鳴りつけてくる保護者
- 過保護・過干渉な要求には
- 問いを変えれば答えが変わる
- 年度途中で「クラス替えをしろ」という場合
- 卒業アルバムを「作り直せ」という場合
- 第5章 担任タイプ別コミュニケーションガイド
- 自分の強みと弱みを知ろう
- 雉本先生の戦略
- 雉本先生の会話 成功例と失敗例
- 犬養先生の戦略
- 犬養先生の会話 成功例と失敗例
- 猿井先生の戦略
- 猿井先生の会話 成功例と失敗例
- 第6章 保護者支援第2ステージのアプローチ
- すべては安定のために
- 子どもへの愛情
- 保護者の承認
- 不登校の知識
- 第7章 保護者と子どもの距離感を調整する
- 距離感を自覚する
- 理想的な距離〜尊重型〜
- 近すぎる距離〜支配型〜
- 遠すぎる距離〜無関心型〜
- 先生の役割
- 第8章 事例別保護者支援の勘所〜会話例〜
- 対人トラブルで登校できなくなった場合
- 保護者の子どもに対する圧力が強い場合
- 登校できるはずという思いが強い場合
- 別室登校が納得できない場合
- 保護者の子どもに対する関心が薄い場合
- 第9章 保護者を幸せにする子どもへのアプローチ
- インタビュー /西川 典克先生
- 不登校対応これまで
- 高学年児童への対応
- 低学年児童への対応
- 第10章 保護者と子どもを支えるつみきメソッド
- インタビュー /中島 征一郎さん
- 保護者にかかわる第三者として
- 「つみきメソッド」とは
- 3つのめがねとは
- 保護者に「つみきメソッド」を活用すると
- 言葉に表れる価値観
- 子どもたちが抱える不安と負担
- 保護者が抱える不安と負担
- 学校に望むもの
- 研修の役割
- 保護者を支えるために
- 第11章 ゲームに依存する子どもにどう向き合う
- インタビュー /佐伯 和也さん
- なぜゲームにはまるのか
- 子どもを変える「遊びの解放」
- 令和の子どもが抱える葛藤
- 保護者の不安と向き合って
- 学校への願い
- 安心のある家庭に
- 子どもがゲームを手放すとき
- おわりに
はじめに
「いつになったら解決するのか」
「どんな手立てが回復につながるのか」
不登校への対応は,子ども1人1人の状況によって異なります。
大人は頭を悩ませ,その目は子どもに注がれるでしょう。しかし子どもだけに着目して対応してもうまくいかないものです。なぜなら回復には子ども,保護者,教員の三者のあり方が重要だからです。
子ども,保護者,教員の三者は,それぞれが相互に影響を及ぼし合っており,その関係性は非常に複雑です。まるで,SF小説『三体』で知られる「三体問題」のように,三者の動きや変化が互いに干渉し合い,全体の状況を予測することは困難です。
不登校支援において,保護者の役割は非常に重要です。保護者の考え方や心の状態が,子どもの回復に大きく影響します。本書では,『令和型不登校対応マップ』『令和型不登校チーム対応マップ』で十分に述べられなかった保護者への対応について考えていきます。
「不登校対応に関する教員全国調査2025」(NPO法人 登校拒否・不登校を考える全国ネットワーク)には次のアンケート結果があります。
不登校の子どもの対応に困っている 88.4%
不登校の子の親の対応に困っている 82.5%
8割以上の先生が,子どものみならず保護者への対応に困っていることになります。では困っている先生が保護者を避けているのかと言えばそうではありません。アンケートには次の結果もあります。
不登校の子の親の話を聞きたい 88.3%
保護者の思いに耳を傾けようという願いを多くの教員は持っています。
にもかかわらず保護者,子ども,教員のつながりは望ましいものにはなっていないことも多いようです。それはなぜでしょう。
学校は,保護者や子どもの視点に立って考えることが苦手なように感じられます。学校では,どうしても先生や学校の事情が優先されてしまうことがあります。それは仕方がないことかもしれません。だからこそ,ときどき「子どもにとってどうかな?」「保護者にとってどうかな?」という視点で考えてみることが大切です。見方を変えたり,考え方をやわらかくしたりすると,問題を解くヒントが見つかることがあります。そんな風に考えることで,行きづまっていたことも,少しずつ前に進めるようになるかもしれません。
これまで,不登校で悩む保護者の方の声をたくさん聞いてきました。その中には,学校の先生が子どもの気持ちをわかってくれなかったり,寄りそってくれなかったことが原因になっているケースも少なくありません。
どうして,もっと耳を傾けないのだろう。
どうして,そんな傷つけるような言い方をするのだろう。
そう思うこともしばしばです。
そして,実はその理由が不登校対応以前に,保護者とのコミュニケーションがうまくいっていないことだと気づきました。キャッチボールができない人に野球はできません。足し算ができない人に掛け算や割り算はできないでしょう。
保護者とのコミュニケーションが苦手な人が,不登校の場面で,相手の意を汲んだり,こちらの真意を伝えたりすることは難しいものです。
この本では,不登校の保護者への対応を「第1ステージ」と「第2ステージ」に分けて考えています。
第1ステージでは,保護者が求めているコミュニケーションの「質」と「量」に気を配ることが大切です。第2ステージでは,子どもへの愛情,保護者へのねぎらいの気持ち,そして不登校に関する正しい知識を大切にします。また,保護者対応のヒントとなるような3名のインタビューも掲載しています。それぞれ人にない強みを持った個性豊かなメンバーです。
不登校に限らず,保護者対応のヒントとなることを願っています。
/千葉 孝司
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明治図書















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