- はじめに
- T 基礎学力は読み・書き・計算
- U 本学の国語教育
- 1 朝の会、全校一斉の一〇分間読書
- 2 教室から響く斉読の声
- 3 親と子の二〇分間読書の継続
- 4 母国語を退化させてはいけない――「素読」の実践
- 5 読む・とく・書く活動を統合した授業づくり
- 6 読み先習と辞書活用能力の育成
- 7 日本語に書写力・聴写力も欠かせない
- 8 赤ペンで励ます日記指導
- 9 生活科の中で書く力を伸ばす
- 10 唱歌指導による日本語を
- 11 「漢検」で実力を高めよう
- V 読み先習の取り組み
- 1 なぜ、今、読み先習なのか29
- 2 「読み先習」実践の概要31
- 3 授業記録(六年生の例)――美しい日本語の調べ(唱歌)をつかった漢字文化の授業
- W 一年生の実践
- 1 六年生が、やってきた
- 2 届いた二年生からのプレゼント
- 3 漢字は、こうやってできたんだ
- 4 九三語の漢字で行うカルタ遊び
- 5 雨の日はコンピュータ
- 6 読める、読める、漢字が読める
- 7 校舎の中は、漢字がいっぱい
- X 二年生の実践
- 1 案ずるより生むが易し
- 2 六年生と共につくる読み先習
- 3 街の中の漢字を拾う
- 4 ことば遊び
- Y 三年生の実践
- 1 漢字を読むと心地よい
- 2 すすんで身の回りの漢字を見付ける
- 3 漢字カルタは愉しい
- 4 素読で広がる漢字の世界
- Z 四年生の実践
- 1 どこまで暗誦できるか――平家物語
- 2 遊びながら学ぶ――五色百人一首
- 3 六年生の教材を授業化――ガラスの小びん
- 4 意欲満々の漢検
- 5 日本の地形を漢字で正確に覚えよう!
- 6 家庭と共に――春暁
- [ 五年生の実践
- 1 四字熟語を読む
- 2 文章の中の漢字を読む
- 3 有名詩文を身体で味わう
- 4 コンピュータと漢字
- 5 五色百人一首を愉しむ
- 6 歴史漢字を徹底して読む
- 7 漢字を書くこと
- \ 六年生の実践
- 1 ゲーム感覚で、四字熟語にチャレンジ
- 2 常用漢字の海原へこぎ出せ
- 3 名文・詩文も「読み先習」だ
- 4 勇躍、低学年の教室へ
- ] 資料編
- ◯ インターネットでできる読み先習コンテンツ
- ◯ 読み先習のための段階別漢字一覧表
はじめに
私たちは学校ぐるみで教育漢字一〇〇六字を、三年生までに読ませようという、あまり例のない「読み先習」の取り組みを行い、ここに初年度の実践報告として冊子にまとめさせていただきました。
子どもたちが漢字を際限なく覚えていく力は、先人の多くの方々の理論や様々な実践が示してくれていました。事実、子どもたちはぐんぐん読めるようになってきます。この指導そのものは、フラッシュカードを駆使して、読みの反復を行えばよいのですから、簡単といえば実に簡単なのです。
しかし、記憶させていくだけではこの先習は意味をもちません。この力をつかって縦横にあらゆる読みの世界に入り込ませ、母国語の広さや奥深さに気付かせ、喪失していっている漢字文化を取り戻していくことこそがねらいなのです。
先習のための先習にならないよう、私たちは、これまでみなで築き上げてきた本学の国語教育の充実を図ろうとしたのが、この試みです。読み先習の漢字力が読書を伸ばし、読解能力を確かにし、名文・詩文の素読の世界がますます広がり、読むだけにとどまらず、漢検にまで発展させていっているのが本学の取り組みです。
読むことと書くことが互いに連動しながら子どもたちの言語世界を押し上げてくれる一つのきっかけが、この「読み先習」になってくれたと、改めて、私たちが実践をまとめながら実感しているところです。
読み先習の営みは、特別なことでなく、私たちの学級で過ごす子どもたちにとって、毎日続けられていく終わりのない活動です。
新鮮であり、尽きない愉しさが漢字の世界にあることを体感してくれることを願っている次第です。
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- 明治図書