到達度を明確にした国語科の学力保障 小学1・2年編

到達度を明確にした国語科の学力保障 小学1・2年編

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一人残らずできるように、一人残らず分かるように

到達度を明確にすることで何が変わるか、評価基準の設定方法、1〜2年生の評価技術、「話す・聞く」「書く」「読む」など各領域の到達度を明確にした授業例を豊富に掲げた


復刊時予価: 2,380円+税

送料・代引手数料無料

電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-904610-8
ジャンル:
国語
刊行:
2刷
対象:
小学校
仕様:
A5判 168頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第
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目次

もくじの詳細表示

刊行にあたって /大森 修
まえがき
T 到達度を明確にすることで何が変わるか
一 子どもの到達度を評価するだけでは学力保障にならない
二 キーワードは「一人残らず」
U 評価基準の設定方法
1 国語科の指導「内容」は教材に依存する
2 国語科の指導「内容」は時期にも依存する
3 評価基準の三条件
4 「書くこと」の評価項目
5 学年・時期により到達水準が変わる
6 教材によって評価項目を選択する
7 評価基準は評価項目+数値水準である
8 「話すこと・聞くこと」の評価項目
9 「読むこと」の評価項目
10 視写と聴写
V 評価技術
一 評価するには子どもに表現させなければならない
二 評価技術を分類する
1 定量的評価技術
1 漢字テスト/2 音読回数/3 読書冊数/4 視写の速さ/5 音読速度/6 聞き取りメモ/7 一字読解/8 市販テスト/9 標準学力テスト
2 定性的評価技術
1 発問に答えさせる〜ノートに書く/2 発問に答えさせる〜線を引く/3 音読/4 ノートの書き方/5 自分の考えをノートに書く/6 子どもの反応(「話す」を評価する)
3 自己評価
4 相互評価
W 到達度を明確にした「話すこと・聞くこと」の授業
一 「友子さんはどこ」(光村図書二年上)
1 教材の概要
2 授業の構想
3 到達目標
4 授業の概要
1 問題を聞いて人を探す/2 問題を作る/3 作った問題を発表する
5 学力を保障する授業
1 「話す・聞く」学習には〈当事者性〉が不可欠である/2 評価技術
6 発展学習
二 きらいなものはどれだ?(開発教材)
1 教材の概要
2 授業の構想
3 到達目標
4 授業の概要
第一時/1 例題の提示/2 好きな食べ物を列挙する/3 ワークシートで問題作り/第二・三時/4 発表の練習をする/5 答をメモする/6 全員が出題する
5 学力を保障する授業
1 「聞くこと」の評価/2 「話すこと」の評価
X 到達度を明確にした「書くこと」の授業
一 お手紙こうかん会(光村図書二年上)
1 教材の概要
2 授業の構想
3 到達目標
4 授業の概要
1 例文を写す/2 全員が同じ内容のお手紙を書く/3 尋ねる相手を替えてお手紙を書く/4 尋ねる内容と相手を自分で決めてお手紙を書く/5 お手紙への返事を書く
5 学力を保障する授業
1 授業の二つの骨格/2 評価基準は最低限何をすればいいかを示す
二 たからものをさがそう
1 教材の概要
2 授業の構想
3 到達目標
4 授業の概要
第一時/1 絵地図を確認する/2 例題に答える/3 問題を作る1〜一文ずつ作る/4 問題を作る2〜自分で作る/第二時/5 作った問題を発表する1/6 作った問題を隣の人に出す/第三時/7 作った問題を発表する2
5 学力を保障する授業
1 全員が書けるようにする/2 評価技術
Y 到達度を明確にした「読むこと」の授業
一 たんぽぽのちえ(光村図書二年上)
1 授業の構想
2 到達目標
3 授業の概要
1 ○を一〇個書く/2 音読1〜一文読み/3 段落番号をつける/4 音読2〜段落読み/5 挿絵と段落を対応させる/6 たんぽぽの「ちえ」とは何か/7 時間の順序を問う
二 お手紙(光村図書二年上)
1 授業の構想
2 到達目標
3 授業の概要
1 音読1〜一文追い読み・斉読/2 登場人物を確認する/3 だれが話した言葉なのか(会話の主体)を確認する/4 音読2〜役割読み/5 「気分の変化」を読む/6 二人の関係は何か
あとがき

まえがき

 指導要領の国語科の「内容」を見る。低学年の「内容」は、中・高学年に比べると具体的である。特に、〔言語事項〕にその傾向が強い。例えば、次のような事項である。


 イ(ア)平仮名及び片仮名を読み、書くこと。また、片仮名で書く語を文や文章の中で使うこと。

 ウ(ア)長音、拗音、促音、撥音などの表記ができ、助詞の「は」、「へ」及び「を」を文の中で正しく使うこと。


 これらは、このまま「評価基準」として表記することも可能である。

 なぜか。

 第一に、具体的な行動として記述されているからである。文末を見ればよい。「読み、書くこと。」「文章の中で使うこと。」「文の中で正しく使うこと。」いずれも具体的な行動であり、他者がその行動を見たときに評価可能なのである。右の事項は、言葉を用いる方法、すなわち「言語技術」として記述されているから、具体的であり評価可能なのである。

 第二に、指導要領が「最低基準」だからである。指導要領が「最低基準」として示されたことにより、右の事項は二年生の終了時までには必ずできていなければならない、という到達度が明確になった。例えば、二年生の終わりまでには全員が一人残らず片仮名で書く語を文や文章の中で使うことができる状況にしなければならない、ということである。

 これは、考えてみればたいへんなことである。小学校三年生の担任が学年始めに文章を書かせたら「は」「へ」「を」の助詞の表記がでたらめな子が何人も出てきた……という事態を想像すればよい。これは、子どもの責任ではない。一年生・二年生を担任した教師の責任である。「最低基準」は、責任の所在を明確にする。


 では、このような責任を果たすことができるような授業をするにはどうすればいいのか。

 第一に、「点の指導から線の指導へ」の戦略を持つことである。

 向山洋一氏は言う。


 その時(点)で勝負するのではなく、何回も(線)で、できるようにさせればいいのである。

 「うまくいかないのはなぜか」『向山型算数教え方教室』二〇〇〇年一二月号、明治図書、七ページ


 一回指導した(点)からといってそれで終わりにはできない。習熟が必要である。その後、時々指導する(線)ようにしなければならない。助詞「は」「へ」「を」の指導を一回しただけでは教師の仕事は終わっていない。時期を変え、場面を変え、教材を変えて、繰り返し指導する必要がある。「線の指導」が必要なのだ。

 第二に、全員確認授業をすることである。

 授業中にノートを持ってこさせてチェックする。これだけでも子どもの態度は変わる。低学年の子は先生に○をつけてもらいたくて喜んで見せにくる。一方、教師には全員の学習状況を個々に確認する授業の構想が必要となる(もちろん、ノートを持ってこさせるのは授業中に数回でよい)。ノートチェックの方法も、向山洋一氏の著作に数多く出てくる。

 第三に、授業に関する情報及び情報源を持つことである。

 本を数多く読むのは当然のことである。しかし、授業に関する情報を得るためには、インターネット上のポータルサイトTOSS LAND(http://www.tos-land.net/)が最も有力である。


 右の文章で分かるように、本書の授業への考え方は向山洋一氏から多くを学んでいる。また、TOSSに参加される先生方からも多くの影響を受けている。

 「到達度を明確にする」ことは、子どもの評価でもあるが、教師の授業の評価でもある。そのため、全員が一人残らず到達目標を達成するような授業をする必要がある。一人残らずできるようにさせたい、一人残らず分かるようにさせたい、という授業を構想するための一助に本書がなれば幸いである。


   /松野 孝雄

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      明治図書

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