- まえがき /市毛 勝雄
- 第一部 「絶対評価」で問われる基礎学力と結果責任
- T 基礎学力を保証する授業をどう創るか
- 話す・聞く 活動を記録する・活動を明確にする授業を創る /高橋 俊三
- 書く 「書く」学習で基礎学力を鍛える /市毛 勝雄
- 読む 基礎学力保証の学校としての総合的システムの構築を /向山 洋一
- U 「絶対評価」で問われる教師の指導力 〜提案授業に期待する〜
- 「相対評価」から「絶対評価」へ――それは、言語能力を重視する評価への転換―― /小森 茂
- 教師の光栄と自信と責任と /野口 芳宏
- 魅力的な題材で基礎的な書く技術を限定して指導する /大内 善一
- 単元の構造をふまえて振り返りの学習を設ける――中学校における話合いの学習について―― /有働 玲子
- 〈国語科「評価基準」としての言語技術〉を段階的な授業過程に位置づける /佐藤 洋一
- 「言語技術訓練型」の授業を見る(つくる)ためのポイント /鶴田 清司
- V 「絶対評価」で問われる基礎学力と結果責任
- 学校ごとに作成した評価規準で客観性は保てるのか /長谷川 祥子
- 子どもの〈資質・能力〉を見つめ、追い求める評価を志向する /京野 真樹
- 学びの段階に合わせた評価基準 /兵藤 伸彦
- 基礎学力保証の方略は、評価・研修・学習を「システム化」し、リンクさせていくことである /吉永 順一
- 基礎学力保障としての漢字の読み先習 /奥 清二郎
- チェックリストをもつことから始まる /堀 裕嗣
- 新指導要領対応観点別作文コメント表 /師尾 喜代子
- 結果責任は「公約」で生じる /大森 修
- 第二部 言語技術教育の観点から新教科書を点検する
- T 新教科書・新教材を点検する
- 方法・スキルを学ばせるための手引きへの改革 /阿部 昇
- 新教科書は量も質も薄すぎる /岡本 明人
- 言語技術学習における教科書の限界の確認 /小田 迪夫
- 「具体的な知識や方法の習得」の可能性 /望月 善次
- 学年による質のバラツキ――光村図書(小学校)の「総合」教材を点検する―― /深川 明子
- U 教科書に入れたいミニ教材の開発
- 書く
- 「紙上問答ゲーム」で意見文・小論文の基礎訓練をする /三森 ゆりか
- 句点をかせぐ /佐内 信之
- 文章の推敲コメント例集を活用し、書き直しへのヒントを与える /貝田 桃子
- 読む
- 簡単な文章で基本となる言語技術指導を /柳田 良雄
- 〈強調点〉の違いを吟味する /中村 貴子
- 主な評価規準を「規範としての適正な言語活動」とし、主な評価基準を「学習用語の行為化」とする〜評価規準、評価基準を例示した目的別「読むこと」教材の提案〜 /柳谷 直明
- 話す・聞く
- 学年の初頭に行う「話す」指導(小学校低学年) /国府田 祐子
- 「自己紹介○×ゲーム」で自己尊重感情を育て、他者尊重意識をも育てる /石田 一元
- 音読
- 面白がって何回も読みたくなる教材がよい /桜沢 修司
- 小学校音読学習材としての古典 /青山 由紀
- メディア
- 電脳紙芝居で情報の料理方法を学ぼう /筑田 周一
- 映像を読み解くワークショップ /中村 純子
- 第三部 書評と第11回大会の報告
- T 書評
- 堀裕嗣・研究集団ことのは編著
- 総合的学習を支え活かす国語科』(全5巻)(明治図書) /鶴田 清司
- 市毛勝雄編、日本言語技術教育学会東京神田支部著
- 『国語科到達度・絶対評価ワークシート』(全3巻)(明治図書) /田中 耕治
- 科学的「読み」の授業研究会編
- 国語授業の改革2『新学習指導要領 国語科新教材のポイント発問』(学文社) /井関 義久
- 高橋 俊三著
- 『国語科 話し合い指導の改革――グループ討議からパネル討論まで――』(明治図書) /小林 義明
- 佐藤 洋一著
- 『実践・国語科から展開するメディア・リテラシー教育』(明治図書) /中村 敦雄
- 田中 実・須貝 千里編
- 『文学の力×教材の力』(全巻)(教育出版) /加藤 郁夫
- 鶴田清司・松本修編著
- 『総合学習に生きる国語科練習単元・小学校編』(明治図書) /府川 源一郎
- U 日本言語技術教育学会 第11回大会の報告 /佐藤 洋一
- 編集後記 /鶴田 清司
まえがき
わが日本言語技術教育学会が発足して十一年になった。
わが学会が主たる研究テーマとする言語技術の基盤には、「論理的思考・表現」という太い筋金が一本通っている。その「論理的思考・表現」が、この数年、社会的な関心を集めている。街の大きな書店に行くと、「論理コーナー」と称する広い売り場を設けて、「論理的思考・表現」関係の書籍を山積みしている。それだけ買って読む人が多いという証拠である。われわれの学会の志が、ようやく日本の社会に認知され始めたと言えるだろう。
だが、日本では「論理的思考・表現」を特別な知識・技能と決めつけて国語教育の仕事とは思わない人が多く、その一方で感傷的な文学教材による心情教育を過大視する教師が多い。しかしながら、すでに猛烈なスピードで進行している世界の国際化・情報化に日本国が適応していくためには、「論理的思考・表現」の教育を初等・中等教育でさらに拡充し、徹底していく必要がある。わが学会員に課せられた使命は大きく、重い。
二〇〇二年度、学校教育においては、文部科学省の強い指導により、到達度絶対評価が生徒の学習評価に取り入れられることになった。入学試験には在学時の成績を重視する必要がある、という建前で利用されてきた相対評価がその使命を終えたわけである。日本の学校教育史上におけるこのような大改革を、言語技術教育の立場からどのようにとらえるかは大きな課題である。第十二回名古屋大会のテーマを「『絶対評価』で問われる基礎学力と結果責任―評価基準としての言語技術―」としたのは、以上のような理由による。
本書が名古屋大会のよい手引き書となり、話し合いや討議が深まることを期待する。
二〇〇三年二月 日本言語技術教育学会会長 /市毛 勝雄
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- 明治図書