- 第T章 「語彙力アップ」の楽しいゲームワーク
- @ 一年生のかんじクイズをしよう……低学年
- A 二年生のかん字クイズをしよう……低学年
- B しりとりで遊ぼう……低・中学年
- C 五十音であそぼう……低学年
- D 言葉のかいだんを作ろう……低・中学年
- E 正しく数えられるかな……低・中学年
- F 数え方クイズ……中学年
- G 仲間の言葉を集めよう……低・中学年
- H 言葉の仲間分けをしよう……中学年
- I 組になる言葉を見つけよう……低・中学年
- J 慣用句集めをしよう……中学年
- K 漢字集めをしよう……中学年
- L なんて読むのかな……中学年
- M ぼくたちも一茶になってみよう……中学年
- N わたしたちも芭蕉になってみよう……中学年
- O 「四字熟語」で遊ぼう……低・中学年
- 四字熟語カード@〜C/ 四字熟語意味カード@・A/ 四字熟語カードを作ってみよう!/ しらべてみたい四字熟語
- P 「ことわざ」で遊ぼう……低・中学年
- ことわざカード@〜C/ ことわざ意味カード@・A
- Q 「対になる言葉」で遊ぼう……低・中学年
- 対になる言葉カード@〜C
- R 「にた意味のカタカナ言葉」で遊ぼう……中学年
- にた意味のカタカナ言葉カード@〜B
- 第U章 「語彙力アップ」の楽しいゲーム作りワーク
- @ わたしはだれでしょう……低・中学年
- A にせもの熟語を作ってみよう……中学年
- B おもしろ漢字クイズ……中学年
- C 知ってるつもり(四字熟語編)……中学年
- D 熟語でゴー錘(しりとりゲーム)……低・中学年
- E 熟語がいくつできるかな@……低・中学年
- F 熟語がいくつできるかなA……低・中学年
- G 問題を作ってみよう……低・中学年
- H 熟語でめいろ……低・中学年
- I 問題を作ってみよう……低・中学年
- 〈答え合わせをしよう〉熟語がいくつできるかな/ 熟語でめいろ
- 第V章 「語彙力アップ」の楽しいお話作りワーク
- @ あなたも今日から作家です(例)……中学年
- A あなたも今日から作家です……中学年
- B 四コマまんがでお話作り……低・中学年
- C 言葉遊びをしよう@……中学年
- D 言葉遊びをしようA……低・中学年
- E 一まいのイラストから@……中学年
- F 一まいのイラストからA……中学年
- 第W章 「語彙力アップ」の作文表現ワーク
- @ ようすをあらわそう@……低・中学年
- A ようすをあらわそうA……低・中学年
- B 音を書こう……低・中学年
- C 耳をすませて聞こえてくる音を集めよう……低・中学年
- D 季節の言葉を集めよう……低・中学年
- E 言葉のイメージマップを作ろう……中学年
- F ちらしを作ってみよう……中学年
- G 名前をつけてあげよう……低・中学年
- H 手紙を書こう@……低・中学年
- I 手紙を書こうA……低・中学年
- J 手紙で聞いてみよう……低・中学年
- K 友だちのことを書いてみよう……低・中学年
- L 先生のことを書いてみよう……低・中学年
- M 「かなしい」「くやしい」という気もちを、べつの言葉であらわしてみよう…中学年
- N 一行詩を作ってみよう……中学年
- O なりきり詩を作ってみよう(例)……中学年
- P なりきり詩を作ってみよう……中学年
- 第X章 「語彙力アップ」資料
序文
言葉で心を耕し思考力を伸ばし国語学力を高める語彙指導法の開拓
――「行動学習法」の実践理論に拠る語彙学習法・ステップワーク開発――
中京女子大学名誉教授 /瀬川 榮志
情緒の安定した心豊かな子どもには、的確な判断力や論理的な思考力も働くと言われています。感動的な体験を積み重ねると、それをクッションにして価値ある言語行動ができるとも言われています。
豊かな情緒を育てるには、「語感を駆使して語感を磨き育てる」指導を繰り返し行うことが大切です。このたび、提言された文化審議会答申に「これからの時代に求められる国語力」として、二つの領域が示されました。第一は「考える力、感じる力、想像する力、表す力から成る、言語を中心とした情報を処理・操作する領域」、第二は「考える力や表す力などを支え、その基盤となる『国語の知識』や『教養・価値観・感性等』の領域」です。
答申は第一を「国語の中核」とし、第二を「前者の基盤となる国語の知識等」の領域である、としています。
この二領域を支持しているのは、学習指導要領に位置づけられている言語にかかわる事項であることは言うまでもありません。つまり、情報活用能力も国語の知識等も、豊かな語彙力がないと成立しないということです。
具体的には、第一の領域における思考力・感性・想像力・表現力の語彙が乏しいと、情報処理・操作する能力等も充実向上しないということです。
言語にかかわる事項は国語力を支える基礎的技能です。文字力・発音・発声・間・リズム・強弱・転調や、語句・指示語・接続語や文法的事項・敬語・言葉遣い……などが含まれます。その中でも語彙力は、きわめて重要な役割を果たしています。最近の国語科教育においては基礎的技能の指導が不徹底であると言われています。つまり、活動中心の学習展開となり、言語事項にかかわる基礎的技能や、大体・順序・要点・要約・細部・精叙・略叙・段落・中心……などを的確に駆使・応用した、説明・解説・紹介・意見・小論文……などの「読み・書き」「話す・聞く」の基本的能力は習得されないという批判もあります。
このような基礎的技能と基本的能力が完全に身に付かないと文化審議会の答申で強調されている「情報を操作・処理する力」も獲得されないことになります。「基礎的技能⇔基本的能力⇔統合発信力(情報活用力と人間関係力)」の段階的な能力の発達を押さえた、螺旋的系統による体系化に基づく学習法でないと、新しい視点に立った国語科教育における語彙指導とは言えないと考えます。
前述した研究理念に基づいて、なぜ語彙指導がこれからの国語科教育にとって重要であるか――について解明し、語彙力向上の具体策を考えてみることにします。
語彙は語句の集まりです。一人ひとりの子どもが持っている語句の総体です。語彙には日常必要な範囲で使われている頻度の高い基本語彙があります。その数は一五万語以上もあると言われています。また、語彙は、理解語彙・聴解語彙・使用語彙などに分類されています。語彙量を増やすことを目的とする研究は重要な課題であると思います。
しかし、高度情報化時代においては子どもの語彙量も急速に拡充されています。新世代に冴えた知性と豊かな感性で、人間らしく充実した人生が送れるような価値ある言語生活ができる語彙を精選・系統化し確実に習得させたいものです。
教育現場においては、語彙の精選・系統化を教科書の単元や教材によることが多いようです。さらに、日常生活で使われている語彙を調査し、学年の発達過程に即して新出語彙表や重要語彙表を作成することも必要であると考えます。
語彙指導の究極のねらいは、一人ひとりの子どもが、自己表現に必要とする言葉を知り、目的や場面に応じて適切に使いこなす力を身に付けることです。具体的には、
◎価値ある言語行動ができる言葉を選び、その意味を理解し自由に使うことができる。
◎文字言語で読む活動を通して、そこに使われている言葉に意味を深く理解し行間を洞察し、想像の世界を広げることができる。
◎音声言語で話す活動を通して、言葉を的確に選び効果的に使うことができる。
◎文字言語で書く活動を通して、書く目的に沿った言葉を精選し、説得力のある文章を書くことができる。
◎興味のある話題を選び、関連する類似語・対義語・類縁語等の意味や由来についての知識を得ることができる。
◎いろいろな言葉に関心を持ち多様な場面で活用することができる。
等々が考えられます。
語彙の具体的で効果的な指導においては、要するに、一語一語の語句についての意味や由来を理解し、必要な目的・場面に応じて適切に活用する学習法を開発することが重要課題です。
具体的には、
◎言葉のスケッチや言葉あつめ ◎言葉の意味や由来調査表作成
◎言葉の量を増やすための繰り返し学習 ◎教科書教材に提出されている重要語句の段階的習得法
等々、多様な方法があります。最も効果的な方法はワークシートの開発による指導法です。
これまでのワークシートは、サイドラインを引かせたり、吹き出しを書かせたり、脚注を記入させたりするなどの単調な方法が多かったようです。特に、大きな枠の中に文章を書かせるワークシートが大部分を占めたワークブックもあったようです。これでは学習者の負担が大きく、ワークシートによる学習を敬遠するようになると思います。
よい学習とは、生き生きと言語行動を展開する過程で、確実に国語力を習得しなければならないのです。つまり、学習者主体・言語行動主体の「子どもが創る学習」を目指す必要があります。
ワークシートは、よい学習の必要条件を十分に整えなくてはならないわけです。そのためには、ワークすることによって学習法を学ぶという原理を適用することです。ワーク・アクションの伴わない学習は、教師の一方的な説明に終始することになります。子どもたちが国語の学習が嫌いだという原因も、このような授業形態であったからではないかと想像されます。活力みなぎる学習者主体・言語行動主体の授業の創造は「行動学習」の原理・原則を導入することが最適であると確信しております。
「行動学習」は、他の介入を必要としない自己学習が原則です。しかし、学習の仕方や相互評価の場面で、ペアの学習やグループ学習形態で共同学習を組み入れ、情報交流過程で「伝え合う心と技」を練り合い、人間関係力を付ける「ワーク行動学習法」を研究開発しなければなりません。「行動学習」の条件として、
◎国語科の「基礎・基本・統合発信力」の螺旋的系統に即した多様な言語を精選し系統化する。
◎語彙完全習得の達成感を満喫し自己表現を図るステップ・アップのプロセスを編成する。
◎「言語活動」と「技能・能力」が密接不離の関係で連動したワークシートを作成する。
◎自力で評価できるように絶対評価の具体的基準や評価方法を開拓する。
◎国語力・語彙力の学年発達段階に即した一人ひとりの習熟度に応じてワークの質や量を調整する。
等々、いきいきとワークさせるためには、楽しく面白い内容構成が要求されます。カットやイラストを拓みに組み入れて、子どもの興味・関心・意欲を高揚させ、主体的な学習態度が育成されるように「新行動学習法」を開拓することがこれからの実践課題であると考えています。
単調なワンパターンに終始するワークでなく、多様な「語彙学習法の学習」を体得させる指導法を開発するにはどうすればよいかを工夫することも大切です。多様な「語彙行動学習」には、抜粋法・試写法・視写法・要約法・連結法・絵画法・関係把握法・囲み法・抜き書き法・入れ換え法・会話挿入法・分類法・比較法・短作文法・構図法……などで、語彙を習得し拡充していくためのワークシートを開発したいものです。
山本直子先生は、これまでに、「生き生きと活動する過程で確実に国語力が定着する」ワークシートを多く開発してきました。『国語教育スペシャル・ファックス版 楽しく学ぶ「話し方・聞き方」ワーク』『学び方技能が育つ「総合的な学習」ワーク』『伝え合う力を育てる「対話」「対話集団」ワーク』『基礎学力を高める「音読・朗読・暗誦」ステップワーク』などを企画編集発行しました。いずれも高い評価をいただき、多くの学校で活用されて、子どもたちの学力向上に大きな役割を果たしています。
強力なスタッフの武市幸子先生、草村久美子先生、藤田恵子先生方の教室経営・言語環境の構成や研究授業も直接参観しました。授業研究も共にして、「確実に国語力が定着する授業モデルの条件」について確認し、共感し感動しました。また、全国創造国語教育研究会主催・国語科教育研究全国大会(会場:東京都中野区立鷺宮小学校)においては、『基礎学力を高める「音読・朗読・暗誦」ステップワーク』を活用した公開授業でも、大きな反響がありました。「よい授業はよい学級経営から」「よい教材やワーク開発もよい授業から」――という、充実した授業実践を軸とする原理・原則を実証しています。
山本直子先生の研究力・組織力・指導力を中心として、「実践研究を通して結ばれた『敬・愛・信・義』の精神で一貫した『人間関係力』を基盤」に、これからも授業研究を中核に据えた国語科教育の実践研究を充実させていくよう心から期待しています。
明治図書企画開発室の江部満様には、国語教育の今日的課題に挑戦するよい機会を設定していただき、ありがとうございます。編著者・執筆者一同、深く感謝しております。
(21世紀の国語教育を創る会 代表)
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