中学校「セルフ・エスティーム」をはぐくむ授業づくり
自己肯定から自尊感情への挑戦

中学校「セルフ・エスティーム」をはぐくむ授業づくり自己肯定から自尊感情への挑戦

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各教科で「自己肯定感」を育てる授業実践を紹介

豊かな時期であるにもかかわらず、「自分のよさ」に気付くことができない。各教科の授業を進めていく中で、生徒の自己肯定感をどのように培っていくか具体的な授業事例で提案します。


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ISBN:
978-4-18-834328-9
ジャンル:
授業全般
刊行:
対象:
中学校
仕様:
A5判 160頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

はじめに
第1章 求められる「セルフ・エスティーム」
1 セルフ・エスティームとは
【1−1 自尊感情として】
【1−2 自負心として】
【1−3 道徳・人権教育や特別支援教育において】
2 人間の成長から
3 自己肯定から自尊感情への挑戦
【3−1 小学校におけるセルフ・エスティームの実践】
【3−2 中学校におけるセルフ・エステイームの実践】
4 セルフ・エスティームをはぐくむ授業づくり
5 セルフ・エスティームを教育の中心に
第2章 「セルフ・エスティーム」をはぐくむ授業
@複数教材で生徒が読み浸る文学の授業  【国語】
A「ぐっと深まる対話をめざそう!」生徒が言葉の力を実感する授業  【国語】
B「難しいけど楽しい」生徒の自己肯定感を高める歴史授業  【社会】
C生徒一人一人が成長を実感できる地理の授業  【社会】
D困難を乗り越え,肯定感がもてる数学の授業  【数学】
E生徒一人一人が自分なりのモデルで表現できる物質の学び  【理科】
F生徒が地球環境に生きる「ヒト」のあり方を深く見つめていくために  【理科】
G「価値ある自分」を実感する生徒を育てるボディパーカッションの授業  【音楽】
H「友達,教師,そして自分…」生徒が作品を通して成長する「心の美術科授業」  【美術】
I「走るのって楽しいな!」生徒の目が輝く長距離走の授業  【保体】
J生徒の思いを表現するLEDの制御学習  【技術・家庭】
K「伝わった」「通じた」という実感がもてるコミュニケーション活動  【英語】
L3分間英語で楽しく話し続ける生徒  【英語】

はじめに

 教育基本法そして学校教育法と,60年振りの改訂がなされた。

 “ゆとり教育”が要因で学力低下が起きたのだろうか。私は,これまで一貫して述べてきたが,従前と現在の学習指導要領で求めてきた学力観から概観すると,決して学力低下が生じていると思っていない。学力について論じられてきたのは,国際比較などの対象となった知識力,理解力,思考力などの能力だけで,教育現場で求めてきたのは,比較された能力に,表現力や判断力および意欲や態度までを含んで学力と位置づけている。したがって,トータルとしての子どもの学力は決して低下したと言い切れないと思われる。昨今の子どもは,大勢の前でプロジェクターなど最新の教育機器を用いて,堂々と自分の考えを発表する。この辺りにも,新しい教育成果をうかがい知ることができる。

 決して教師の指導力や子どもの学力が低下していると悲観する必要はないと思う。日ごろ取り組んでいる実践は,諸外国と比較しても劣るものではなく,もっと自信や前向きな希望をもつべきである。そして,今以上に指導力が高まるようしてがんばることが大切である。

 現状は,教師に過剰な仕事や役務が増えるとともに,保護者や社会から学校へ厳しい要求が出され,教師からゆとりを奪い,教育する意欲を低下させている傾向が見られる。子どもは,多様な興味や関心事に接し,欲しいものが簡単に手に入り,恵まれ過ぎているため,一途で素朴な向上心や努力を必要とせず,将来への夢や希望すら抱く必要性を感じなくなっている状況が概観される。

 私たち教育に携わるものが問題としなければならないのは,現実社会から生じる教育課題である。それは,少子高齢化や高度情報化などの現実社会と,交通や通信などの高速化や簡便化が当然になり,ものがあふれ競争力を競う世の中で,いろいろなことの二極化が進み,生きることへの自己矛盾や自分の存在感の薄さから生じる意欲の欠如など,あらゆる場面でゆがみが生じている。そのため,近年,生き方として自分を肯定することや自己の存在を意識することなど,「セルフ・エスティーム」のあり方が話題になり,現在の学校教育に求められる重要なポイントで,高度な学力向上推進プランから一人一人の生徒をはぐくむ生徒指導上の問題解決まで,広く対応できる課題である。


 セルフ・エスティームとは,「僕は,みんなのために役に立っているよ」「お母さん産んでくれてありがとう」「わたしって,なかなかたいしたものだね」「ほめられるとうれしくて,生きていてよかったと思う」など,純粋に子どもが成長期に抱く自分自身の肯定的な心の描写と考えられる。自分の存在感が自分自身で理解できるときに,生きる夢や希望などに発展するものと考えられる。セルフ・エスティームをはぐくむことは,一人一人の存在意識を大切にし,豊かな社会の形成にまで影響を及ぼすものと推察される。


  2007年 7月   /安東 茂樹

著者紹介

安東 茂樹(あんどう しげき)著書を検索»

1950年  兵庫県明石市に生まれる

1974年  大阪教育大学教育学部 卒業

1974年〜 公立・国立大附属中学校 教諭

1995年〜 兵庫教育大学 学校教育学部 助教授

2002年〜 京都教育大学 教育学部 教授 博士(教育学)

     京都教育大学附属高等学校校長を兼務

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
    •  とかく道徳や学級活動のみで語られる「自尊感情」や「自己肯定感」だが,すべての教科で,しかも中学校で行っているところがすばらしい。学校で子どもたちが最も多の時間を過ごす授業でこそ,自尊感情を育む実践が生きてくるのだと感じた。1時間の授業だけでなく,3年間を見通した実践も紹介されていて大変参考になった。
      2008/2/11コンちゃん

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