もくじ
- 第Ⅰ章 中学校国語科・学習指導要領改訂のポイント
- １．学習指導要領改訂のねらい
- (1) 学習指導要領の変遷に示された内容
- (2) 新しい学習指導要領で求める学力
- ２．中学校国語科・改訂の重点
- (1) 新しい学習指導要領の学力観と「習得・活用・探究」
- (2) 国語科の目標・及び内容の構成と系統化
- (3) 言語活動の充実の意味
- 第Ⅱ章 中学校国語科・指導計画作成のポイントはここだ
- １．指導計画全体にかかわる作成上の課題―どのように位置付けるか
- (1) カリキュラム・マネジメントという発想
- (2) 各学校の教育目標と国語科の目標―すべての教育活動と言語活動―
- (3) 付けたい力と評価規準を位置付けること―指導過程をどう改善するか
- (4) 学習過程を示す責任―学習の実際を改善するために―
- ２．目標にかかわる作成上の課題―どのように位置付けるか
- (1) 基礎的・基本的な知識・技能の習得―どのように位置付けるか
- (2) 思考力・判断力・表現力等の育成―知識・技能を活用する学習活動をどのように位置付けるか
- ３．内容にかかわる作成上の課題―どのように位置付けるか
- (1) 教育内容の組織化・系統化をどう行うか
- (2) 領域関連的な指導をどう扱うか
- ４．方法にかかわる作成上の課題―どのように位置付けるか
- (1) 「言語活動の充実と具体化」をどのように位置付けるか
- (2) 「伝統的な言語文化に親しませる指導」をどのように位置付けるか
- (3) 「読解力の育成」にどう取り組むか
- 第Ⅲ章 中学校国語科・指導計画作成と授業づくり
- １．年間指導計画作成のポイント
- (1) 年間指導計画の作成＝作成上のポイント
- ① これまでの年間指導計画の問題点
- ② どのような年間指導計画が必要か＝内容・目標に照らした作成上の留意点
- ③ 領域の指導計画の必要性
- ④ 第１学年 年間指導計画の具体例
- ⑤ 第２学年 年間指導計画の具体例
- ⑥ 第３学年 年間指導計画の具体例
- (2) 領域別指導計画作成のポイント
- ① 「Ａ話すこと・聞くこと」領域の指導計画
- ② 「Ｂ書くこと」領域の指導計画
- ③ 「Ｃ読むこと」領域の指導計画
- ④ 「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」の指導計画
- ２．第１学年 新学習指導要領の特色を活かした授業づくり＝実践のポイント
- (1) 「習得―活用」の授業づくり
- ① ロジックツリーを習得し，説明的文章にて活用しよう
- ② 話合いを基にして，案内文書を書こう
- (2) 「伝統的な言語文化に親しませる」授業づくり
- ① 古典調べカードづくりで，情報を集める力を身に付けよう
- ② 音読の発表をして，古文を読む力を身に付けよう
- (3) 「国語の特質を身に付けさせる」授業づくり
- ① 日本語の発音練習をして，正しく話す技術を身に付けよう
- ② 対話劇を体験して，「対話する力」を身に付けよう
- (4) 「言語活動の充実・具体化を図る」授業づくり
- ① 学級スローガンをつくろう
- ② 私の好きな芸術作品を紹介します
- (5) 「読解力・記述力向上を目指す」授業づくり
- ① 説明的文章の内容について，図表を用いたプレゼンテーションをしよう
- ② 地域の方たちに向けて，文化祭の案内の手紙を書こう
- ３．第２学年 新学習指導要領の特色を活かした授業づくり＝実践のポイント
- (1) 「習得―活用」の授業づくり
- ① 自作の短歌を持ち寄って歌会をひらこう
- ② 憧れのヒーローに手紙を書き，サインをもらおう
- (2) 「伝統的な言語文化に親しませる」授業づくり
- ① ペアで朗読劇を演じて，古典芸能のおもしろさを味わおう
- ② お互いの読みを交流して，古典の価値に気付く力を身に付けよう
- (3) 「国語の特質を身に付けさせる」授業づくり
- ① 「職業体験学習シミュレーション」を体験し，敬語について考えよう
- ② 共通語と方言について学び，フリップを活用して「方言紹介」のプレゼンテーションをしよう
- (4) 「言語活動の充実・具体化を図る」授業づくり
- ① 『羅生門』を読んで，近代文学の楽しさに触れよう
- ② 描写を工夫して，物語を書いてみよう
- (5) 「読解力・記述力向上を目指す」授業づくり
- ① 童話や昔話を題材として，意図を伝える記事を創作しよう
- ② 教材に関する評論文を読み，自分の考えを述べよう
- ４．第３学年 新学習指導要領の特色を活かした授業づくり＝実践のポイント
- (1) 「習得―活用」の授業づくり
- ① 図表やグラフを根拠に用いて，主張文を書こう
- ② ラジオＣＭをつくり，プロポーザルコンペティションをしよう
- (2) 「伝統的な言語文化に親しませる」授業づくり
- ① 情報を補いながら読むことで，理解を深める力を身に付けよう
- ② 古典を引用して書くことで，考えを述べる力を身に付けよう
- (3) 「国語の特質を身に付けさせる」授業づくり
- ① 「外来語」について考え，自分の日本語を見直そう
- ② 慣用句の意味や用法を知り，自分の日本語を豊かなものにしよう
- (4) 「言語活動の充実・具体化を図る」授業づくり
- ① コメンテーターを体験して，意見を発表しよう
- ② 結婚披露宴でスピーチをしよう
- (5) 「読解力・記述力向上を目指す」授業づくり
- ① 小説１冊を読んで，人物の設定，語り手の視点等を作品を批評しよう
- ② 二十歳の私へ，十五歳の私からの手紙
- あとがき
まえがき
新しい学習指導要領が平成20年３月に告示されました。時代が求める学力は，これまでの「覚える」という学力から，「考える」という学力に大きく変わろうとしています。それは，PISA型「読解力」に象徴されるように，知識の習得と再生という学力から，「受信→思考→発信」というプロセスの中に存在する学力でもあります。
国語科においても，これまでの素材中心にいわゆる読解を行ってきたことから，学習指導要領に示された「内容」（指導事項）を，学力としていかに育成していくのか，ということが問われています。このことは，「付けたい力」とか「育成すべき学力」が言われるようになったことからも，その状況を認めることができます。
これまで，多くの国語科の授業は，１時間を単位として行われ，授業研究においてもその対象は，１時間とすることが多く行われてきました。しかし，１時間を単位としたものでは，育成すべき学力の一部しか見ることはできません。教材や単元全体を通して育成すべき学力を明確に位置付けたものが求められています。そこで，これからの学校教育においては，教育課程（カリキュラム）の編成を，各学校ごとに，生徒の実態に合ったものをつくることが求められる時代状況となりました。教育課程の目標と内容（指導事項）とは，学習指導要領に示されています。カリキュラムの編成は，学年，さらには，中学校３年間を通して，どのような学力を育成するか，に機能します。
指導計画の作成は，このカリキュラム編成そのものでもあります。目の前の生徒に，どのような学力を育成するのか，そのためには，年間を通してどのような「付けたい力」を系統化したり，関連をもたせたりするのか，このことが新しい学習指導要領では求められます。
本書は，新しい指導要領における教育課程編成の考え方と，それを具現化する授業をどのようにつくっていくか，ということの提案です。
／髙木 展郎
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明治図書
