- まえがき
- 1 磁石の力を活用してつくる・はなれたりとびついたり(中・高学年)
- 材料と用具
- 第一次 はなれたりとびついたりする動きからおもしろい組み合わせを連想する
- 第二次 二つの磁石を使って動く仕組みをつくる
- 第三次 ミニカップや割りばしにはるものをつくる
- 発展
- 2 おもしろい動きをしながら走る・あきかんコロコロ(低・中学年)
- 材料と用具
- 第一次 動く仕組みをつくる
- 第二次 色画用紙で飾りをつけたり,ストローをつけ加えたりする
- 発展
- 3 指先にのせたり、机の上に飾ったりできる・やじろべえ(全学年)
- 材料と用具
- 第一次 基本形をつくる
- 第二次 自分で考えた形を色画用紙でつくって基本形にはりつける
- 発展
- 4 紙玉が驚くほど遠くへ飛ぶ・ボールペン紙でっぽう(全学年)
- 材料と用具
- 第一次 ボールペン紙でっぽうをつくる
- 第二次 的をつくる
- 発展
- 5 いろいろなおもしろい形が簡単にできる・紙ひこうきのファッションショー
- 材料と用具
- 第一次 基本形Aからつくる
- 第二次 基本形Bからつくる
- 発展
- 6 ふわりふわりと空中を飛びまわる・タコダンス(全学年)
- 材料と用具
- 第一次 ゴム風船が空中に浮かぶ様子を見て,つくるものを思い浮かべる
- 第二次 思い浮かべたものをつくる
- 発展
- 7 静電気のいたずら
- ―さわるとビリッとくる・まほうどんぶり
- 材料と用具
- 第一次 “ビリッとくるしかけ”から何をつくるか発想する
- 第二次 “さわるとビリッとくるしかけ”をつくる
- 第三次 “さわるとビリッとくるしかけ”から思い浮かべたものをつくる
- 発展
- 8 いつもの夕食が、ご馳走になるよ・すてきなキャンドルスタンド
- 材料と用具
- 第一次 マーブリングの技法を使って和紙(障子紙)に彩色する
- 第二次 ペットボトルやアルミ皿を使ってキャンドルスタンドの基本形をつくる
- 発展
- 9 おもしろいおばけたちが暗闇に光る・おばけちょうちん
- 材料と用具
- 第一次 ボールなどの容器に油粘土をつけておもしろいおばけをつくる
- 第二次 彩色する
- 第三次 ろうそく台をつくる
- 発展
- 10 新一年生へのすてきなプレゼントになる・パタパタカード
- 材料と用具
- 第一次 アイデアスケッチを描く
- 第二次 カードをつくる
- 第三次 カードをつなぐ
- 第四次 カードに絵や文字をはる
- 発展
- あとがき
選び抜かれた10教材
北海道教育大学函館校 /酒井 臣吾
ここにある10教材は厳選されたものである。
これは文字どおり「厳選」であって,その他の何物でもない。
第一集も厳選された教材であったが,この第二集の教材は,その比ではない。
一読して,目を見張るばかりの教材群である。
前衛芸術家のマネゴトのような,無目的なはい回る工作をやめよう,子どもの目が輝く,単純でわかりやすい工作に取り組もう――という動きは,今全国に広がりつつある。著者のもとには,第一集の追試の結果が次々と届けられている。
「おじいちゃんの誕生日に,この工作を贈ったら大喜びされた」「びっくりバタバタを,お兄ちゃんに試してもらったらゲンコツをもらった」等々のほほえましい子どもの手紙も届いたという。
もともと,子どもは「もの作り」が好きなのだ。自分の手で作ったもので遊ぶことが,一番楽しいことなのである。
作ったもので遊ぶ子どもの姿には,子どもの「命の輝き」がある。
どんなに精巧に作られたオモチャでも,子ども自らの手で編み上げ,完成したオモチャにはかなわない。
それが,どんなにつたないものであっても,自分で作った喜びには代えがたいからだ。
その子どもの「命の輝き」を,もう一度子どもの手に取り戻してやろうという強い思想が,この10編の教材からあふれるように感じられる。
一方,今子どもたちの手が本来の機能を失っている現実がある。
全ては,スイッチ一つで用が足りる。テレビゲームは,スイッチを押す速さに対しての感性を養ってくれるが,それは一部の感性にすぎない。
人間の手の働きは,もっと多様で広い機能を持っているはずだ。
その広い機能の中で,ギリギリに絞ってどんな機能が大切なのか。その中でも,「工作する」という行為の中で育てられる機能は何なのか――。
この教材群は,そのような手の技術の基礎基本も,しっかりと提起されている。
前記二つの問題提起は,必ず熱意のある教師たちによって補強され,より強い問題提起を呼び起こすことだろう。
この教材で制作した後の子どもたちの目の輝きこそが,実践者を支えるはずだ。
新しい工作の夜明けがやってきた。
多くの熱心な実践家の追試が楽しみである。
1999年9月10日
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- 明治図書