- まえがき
- 保健指導事典の使い方
- T 保健学習の目的
- @系統性のある指導 /辻岡 義介
- ――小・中・高を見通した系統性
- A学年の段階に応じた指導 /平松 孝治カ
- ――学年の指導内容を踏まえてねらいにせまる
- B保健の内容の構造化 /大前 宣徳
- U 「特別活動」「体育・健康に対する指導」「総合的な学習」との関連
- @学級活動 /上川 晃
- A学校行事 /大中 州明
- ――知ってふせごう熱中症
- B総合的な学習 /川口 達実
- ――ストレスを知り、対応する
- V 学年別・保健学習の内容
- 1健康の大切さ、健康に良い生活の理解
- @1日の生活の仕方 /坂本 武男
- A朝食は大切!生活リズムに合わせて食事を摂ろう!! /中嶋 剛彦
- B目標を決めて体を動かそう /渡邊 晃代
- C休養及び睡眠 /松島 博昭
- ――早寝早起きの大切さを子どもと保護者に伝える
- D身の回りの清潔と環境 /橋本 拓弥
- E明るさの調節、換気 /森下 人志
- ――換気の効果と部屋の明るさを意識させる
- 2体の発育・発達についての理解
- @体の発育・発達の変化と個人差 /辻岡 義介
- ――これから自分の体に起こる変化について学び、心の準備をさせる
- A誰にでも訪れる大人への扉 /姫路 ゆかり
- ――初経・精通について知ろう異性へのときめき
- B適切な運動 /橋本 拓弥
- C適切な休養 /小西 亮人
- D睡眠 /辻岡 義介
- ――睡眠のはたらきと体の成長
- 3心の発達及び不安、悩みへの対処
- @成長する時期と個人差 /内藤 一紀
- ――「心」の3つの働きから心の発達を知る
- A心と体の関係 /小松 俊介
- Bなぜ、女子は背が高いの /畑中 芳文
- C男の子と女の子の違い /根津 盛吾
- ――個人差を伝えること、してはならぬことを伝えること
- D子どもの体・女の体 /根津 盛吾
- ――女子の体だけが持つ素晴らしさ・大切さを伝え、心の成長を促す
- 4けがの防止とけがの手当
- @安全な行動 /森下 人志
- ――実態を提示して、けが・事故のない安全な生活について考える
- A環境を整える /信藤 明秀
- ――活動させ、エピソード記憶として入れるから、解釈コードができる
- Bけがの簡単な手当 /小西 亮人
- 5病気の予防についての理解
- @病気の原因 /平松 孝治カ
- ――病原体を防ぐにはどうしたらよいのか
- A病原体が主な原因となる予防 /内藤 一紀
- ――病原体を体に入れない「手洗い」
- B生活習慣病などの生活行動が主な要因となる予防 /大前 宣徳
- C喫煙 /太田 輝昭
- ――たばこの害
- D飲酒 /太田 輝昭
- ――全学年が共通した考えで飲酒・薬物乱用防止に取り組む
- E薬物乱用 /三好 保雄
- ――薬物乱用の害
- W 保健と食育との関連
- @食育推進のねらいと指導内容 /丸亀 貴彦
- A食育推進のねらい /浦木 秀徳
- ――生涯にわたり健康に生活できる生活習慣の基礎を育む食育
- B各教科と食との関係 /□□□□□
- C各学年の一貫した指導 /篠崎 弘敬
- ――全学年で行う給食のマナー指導
- D指導方法や指導体制 /東郷 晃
- ――モノと人材の活用で、食育がさらに楽しくなる
- E学校給食の教材との関連 /大井 隆夫
- F食べすぎとダイエット /澁谷 貴子
- ――偏った食事は、なぜだめなの?
- G望ましい食生活の習慣 /井上 武
- H食べ合わせの慣用句 /光村 拓也
- X 保健と安全教育との関連
- @安全に関する情報の判断 /小松 俊介
- A安全のための行動 /渡邊 晃代
- ――隠れた危険を探そう
- B危険予測・危険回避能力 /畑中 芳文
- C指導内容の明確化 /福井 慎
- ――学習指導要領から読み解く保健と安全教育との関連〜安全に行動できる力を身につけ、事故を防ぐ〜
- D指導方法の工夫 /小松 和重
- ――教科書通りに進める「けがの防止」
- E指導体制の工夫 /小松 和重
- ――個人名まできちんと入っている計画が必要だ
- Y 保健と性教育との関連
- @性に関する科学的知識の理解 /岡 拓真
- ――望まない妊娠を防ぐ
- A性に関する科学的知識に基づいた行動 /岡 拓真
- ――妊娠と出産
- B心身の機能の発達に関する理解 /黒瀧 耕治
- ――人間も卵をつくる&大人への体の変化
- C性感染症の予防と知識の理解 /野崎 明
- ――誰でもできるエイズの予防他人の血にふれない! 自分の血にふれさせない!
- D健康教育と実践力の育成(1)ゲームの活用 /本宮 淳平
- E健康教育と実践力の育成(2)ロールプレイングの活用 /佐藤 泰之
- F健康教育と実践力の育成(3)ケーススタディの活用 /蔦谷 明日人
- G健康教育と実践力の育成(4)ブレインストーミングの活用 /石坂 陽
- ――ブレインストーミングで自身の睡眠の改善を
- H健康教育と実践力の育成(5)ディベートの活用 /原田 朋哉
- ――子どもたちに具体的な生活場面を想起させ、ライフスキルを向上させるためにディベートを!
- あとがき
まえがき
TOSS体育授業研究会代表 /根本 正雄
保健の教科書が使用されるようになった。性、エイズ、タバコなどに対する健康教育の必要性も叫ばれている。
保健の授業で、何をどのように教えていったらよいのかという問題がある。
学習指導要領では、5年生の保健で「体の発育と心の発達」で性の内容を指導するようになっている。
@ 体の発育と心の発達について理解できるようにする。
ア 体は、年齢に伴って変化すること。また、思春期になると体つきが変わり、初経、精通などが起こって次第に大人の体に近づくこと。
イ 心は、いろいろな生活経験を通して、年齢とともに発達すること。また、思春期になると異性への関心が芽生えること。
前の指導要領では「体の発育」となっていたが、今回では「体の発育と心の発達」となっている。
それでは、どこが指導のポイントなのであろうか。
ここで重視されたのは、「思春期に起こる体の変化」である。女子に起こる変化として初潮を「初経」とし、男子に起こる変化を「精通」としている。
問題になるのは、「初経」や「精通」をどのように指導するかである。
子どもの健康意識をみると、決して高いとは言えない。保健面での基本的な生活習慣が十分に身についていない子どもが多くみられる。
例えば、身なり(衣服の調節)ができていない、ハンカチを持たない子どもが多い、姿勢の悪い子どもが目立つなどの健康面で多くの問題を抱えている。
また、虫歯予防、肥満児指導、性指導、エイズ指導などの問題もある。
以上のような保健の問題について、学校・学級としてどのように取り組んでいくのかが課題である。
また、学習指導要領では、体育と保健を一層関係させて指導していくようになっている。
一層関係させるとあるが、どのように関係させていったらよいのかが、明らかではない。
体育の分野では発達段階に応じた体力の向上や運動の選択の幅の拡大を図るとしている。
体力との関連で、小学校の発達段階の子どもにとって、どんな内容をどのように選択して指導していったら適切なのか、もっと検討していくことが必要である。
それらの問題点について、本書では示されている。
さらに、保健面では健康なライフスタイルを確立する観点に立って内容の改善を図るとなっている。
心の健康、食生活をはじめとする生活習慣の乱れ、生活習慣病、薬物乱用、性に関する問題等について指導するようになっている。
それらの問題についても本書では示されている。
本書は、保健指導の経験が無く、困っている若い教師がすぐに役立つような内容が紹介されている。本書を活用して楽しい保健の授業をしてほしい。
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- 明治図書