- まえがき
- T 「B 鑑賞」の授業づくりのポイント
- U 新しい題材,指導観,学びを創る「B 鑑賞」の授業例
- (1) 日本の見方,ヨーロッパの見方
- 比較して見る
- (2) あのモニュメントを学校に
- 地域の文化的環境の鑑賞
- (3) 学校美術館を作ろう
- 鑑賞に親しめる校内の環境づくり
- (4) 美術館がやって来た! ―アートな空間「スクールARTミュージアム」
- 地域の作家とのティームティーチング
- (5) 生徒がつくる美術鑑賞ワークショップ ―「竹喬展」を見て
- 美術館における鑑賞授業
- (6) 「ゲルニカ」を読む
- ものの見方を育てる鑑賞
- (7) 美術って何だ?彫刻って何だ? ―拾う・運ぶ・置く
- 批評や討論を活かした鑑賞
- (8) 水墨画に挑戦 ―鳥獣戯画を見て
- 鑑賞と表現の一体化
- (9) 絵巻物を味わう
- 日本の美術の鑑賞
- (10) 美術文化タイムトリップ ―禅和尚との美術問答を通して
- 地域の美術文化財の鑑賞
- (11) 名画案内人になろう ―画集や鑑賞絵本を利用して近現代の名画を楽しむ
- 生徒自らがガイドする鑑賞ワークショップ
- (12) 私は美術評論家
- 私が発見する作品の価値
- (13) 10分間鑑賞
- 美の発見と鑑賞の視点を広げる工夫
- (14) インターネットを利用した美術鑑賞の可能性
- インターネットで鑑賞素材を集める
- V 美術の新しい評価
- 生きる力を育てる指導と評価
- 評価の二側面と四つの目
- 資料 中学校美術科の評価の観点と評価規準
- 評価参考例 「日本の美術のステキな世界」
- 「僕も私も鑑定士」
まえがき
中学校美術科の新学習指導要領は全面的に改訂され,目標も内容も大きく変わった。目標に新たに「幅広い活動を通して」「感性を豊かにし」「美術の基礎的能力を伸ばし」などが入り,表現及び鑑賞の各内容も大きく変わっている。このことをふまえた上で,次の4点の取り組みを重視して教材開発や指導方法の改善を図っていく必要がある。
(1)必修教科としての存在の位置付けを確かなものにする,(2)選択教科としての2時間授業の開設,総合的な学習の中での美術を生かした課題の開発など美術の関われる範囲を大きくする,(3)生涯にわたり美術を愛好していく意欲・態度を育てる,(4)心豊かな生活を創造していくに必要な「平素の生活の中で生かされる(生活化できる)」美術の能力,感性,基礎的知識・技術等を身に付ける学習の充実のために,教材観や指導観,授業の在り方を転換していかなければならない。つまり,美術科の掲げる目標及び各内容の十分な理解に基づく新しい教科性の明確化,指導観・教材観・指導方法の転換,開発が必要になる。
そのためには,(1)美術に対する生徒の願いをつかむ,(2)美術の教科性を明らかにする,(3)楽しさ(意欲),確かさ(基礎基本の確実な体得),新しさ(創造的能力),(4)美術の生活化(平素の生活の中で生きて働く美術の力を育てる)の四つを合い言葉として,これまでの作品づくりの活動一辺倒の指導観・教材観・指導方法の転換,新しい授業や題材,指導方法などの開発が求められる。
本書に収められた各実践事例は,どれをとっても新学習指導要領を先取りしたユニークで確かな実践事例であり,どなたにでも大いに参考になるものを紹介している。
読者の方々はこの考え方や実践事例を基に各学校の実態に応じて,ユニークで生徒が表現や鑑賞の喜びを感じつつ,意欲的,創造的に取り組み生涯にわたり美術を愛好していく意欲と目標をもち,美術の能力を生かして心豊かな生活を創造していくことができるよう,授業の工夫改善のために活用されることを願ってやまない。
/遠藤 友麗
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明治図書
















