- はじめに
- T 自然に焦点をあてた鑑賞の授業
- @ アートめがねでお散歩しよう 3・4年
- A 雪ってほんとにきれい−吉田六郎「雪の結晶」より 3・4年
- B どんな波が好き?−静と動の波 5・6年
- C アート動物園で遊ぼう−描かれた動物たち 5・6年
- U メディアに焦点をあてた鑑賞の授業
- @ ポケモンの秘密をさがせ 3・4年
- A みんなで何食べてるの?−絵本「14ひきのかぼちゃ」より 3・4年
- B 色と形これなあに?−絵本「あおくんときいろちゃん」より 3・4年
- V 地域・生活に焦点をあてた鑑賞の授業
- @ 私たちの街・アートウォッチング 5・6年
- A いろいろな凧を鑑賞しよう 3・4年
- B ナイフの鑑賞−自作ナイフのデザイン 5・6年
- C どのケーキがおいしそうに見える? 3・4年
- W 美術作品に焦点をあてた鑑賞の授業
- @ いろんな顔を見てみよう 3・4年
- A 子どもの遊び−ブリューゲル「子供の遊戯」より 5・6年
- B 子どもの表情から読み取ろう−土田麦僊「罰」より 5・6年
- C 「考える人」を考えてみよう−ロダン「考える人」より 5・6年
- X 表現活動の中の鑑賞
- @ 鑑賞の授業の中から豊かに育つ子どもたち 全学年
- A 鑑賞指導のいろいろ 全学年
- 鑑賞教育Q&A
- Q1 鑑賞とはどのようなことをいうのですか?
- Q2 鑑賞の教材はどのようにして探せばいいの?
- Q3 鑑賞はどのようにすすめていけばいいの?
- Q4 自然に焦点をあてた鑑賞をすすめるには?
- Q5 メディアに焦点をあてた鑑賞をすすめるには?
- Q6 生活・地域に焦点をあてた鑑賞をすすめるには?
- Q7 美術作品に焦点をあてた鑑賞をすすめるには?
- Q8 表現活動と鑑賞活動との関係はどのように考えればいいの?
- Q9 鑑賞はいつ,どこですればいいの?
- Q10 鑑賞の教材や資料の集め方はどのようにしたらいいの?
はじめに
鑑賞教育とは作品との出会いを通じて「あたかも人と人が出会い,対話がはずみ,喜びを感じ合うよう」なものであるといえます。その感動は,子ども達の見る目を養い,感性をはぐくみ,人格形成にさまざまな影響を及ぼしていくものであると言うことができます。
この意味で,造形作品との出会いが子ども達の感性を揺り動かし,主体的な学習意欲をもっていくものであるなら,言うことはありません。しかし,現実問題としてそれらが子ども達にとって興味や関心をいだくようなものならともかくも,通常は子ども達の作品だけや美術作品を見ることでそのような状況が生まれにくいといえます。例えば,子ども同士の作品を鑑賞するというのには,制作を前提とした鑑賞活動のヒントにはなっても,先に述べた鑑賞活動の中身に迫るというのには身近すぎます。かといって,安易に名画といわれる作品を見せるというのには,子ども達と作品との間に距離がありすぎるように思います。そこには少なくとも,子ども達の日常生活をベースにしたリアリティのある内容を構築していかなくてはならない多くの課題が残されているといえます。
本書では,このような課題意識に少しでも近づくことができるよう,子ども達の日常を観察し,興味や関心を抱くと思われる面白そうな教材をあれこれ考えてみました。目次を見ていただければわかるように,結果として,自然物,地域・生活,美術作品,表現活動の中の鑑賞,メディアなど,大きく5つのテーマに分けることができました。ここに取り上げられた教材は,結果的に従来の鑑賞教材の枠組を少し越えたものになっています。しかし,本書をつくるプロセスで共通して見られたのは,この教材を通して鑑賞の面白さを知り,生き生きとしていく子ども達の姿,それに,楽しい授業ができたと報告し合う実践者の姿です。その意味で,これらは先に述べた鑑賞教材の解釈を出来るだけ広げ,子どもにとってふさわしい鑑賞教材の姿を模索した結果と考えていただければ幸いです。それゆえ,本書を参考に,さまざまな鑑賞教材を工夫していただけるなら,存外の喜びです。
最後に本書の執筆にあたってお世話いただいた明治図書出版編集部,石塚嘉典氏,そして,煩雑な編集の労をとっていただいた鈴木嗣子さん,そして,それぞれお名前をあげることができませんが,本書の貴重な作品を提供していただいた皆様に心より御礼申し上げます。
2001年7月 編 者
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- 明治図書