- ◎はじめに
- ◎本書の活用の仕方
- 第1章 紙工作の考え方
- [1] 紙工作の楽しみ
- [2] 紙工作の意義
- [3] 紙工作の基礎・基本
- 第2章 紙工作の実際
- 1 紙と親しむ
- @ 紙を飛ばしてみよう 【低〜中 30分】
- A 紙を動かしてみよう 【低〜中 20〜45分】
- B 紙を鳴らしてみよう 【幼〜中 30分】
- C 紙を切ってあそぼう 【幼〜中 45分】
- D 紙の不思議を楽しもう 【中〜高 45分】
- E 紙がつくる表情(石膏を使ったオブジェづくり) 【高〜中学 30分】
- 2 動く紙工作
- @ 紙バネの仕組みをいかす(首ふりくまさん) 【低〜中 15分】
- A 折りをいかして(クワガタさんこんにちは) 【中〜中学 45分】
- B おきあがりこぼしの仕組みをいかす(ゆらゆらピエロ) 【中〜高 45分】
- C 揺れる小物入れ 【中〜中学 60分】
- D 飛び出す仕組みを使って(とびだす建物) 【中〜高 30分】
- E 二つ折りの形から(もちつきうさぎ) 【中〜中学 45分】
- F 紙コプターと飛行リボン 【低〜中 30分】
- G 優雅に舞い降りるグライダー(鳥たち) 【高〜中学 45分】
- H ペーパーグライダー 【中〜中学 45分】
- I 動くペーパークラフト(はね上げる手/かきよせる手/ボールをける足/しこを踏む金太郎) 【高〜中学 120分】
- 3 飾る紙工作
- @ 切り起こしでつくる(ハリセンボン) 【中〜高 20分】
- A 方眼の切り起こし 【中〜高 45分】
- B シンメトリーをいかしてつくろう!(昆虫) 【中〜中学 45分】
- C シンメトリーをいかして未知の生物をつくろう! 【小〜中学 60分】
- D 不思議の世界へようこそ 【中〜中学 90分】
- E 三角すいのモビール 【低〜中 90分】
- F 円すいからつくる半立体 【中〜高 90分】
- G ハーフカットからつくる紙彫刻 【中〜高 45分】
- H 「波型ピース」によるペーパーレリーフ・壁飾り 【高〜中学 30分】
- I 鳥のバランス 【高〜中学 15分】
- J ダンボールアニマル(木馬/オウム/卵からかえったひな鳥) 【高〜中学 60分】
- 4 紙のゲーム・パズル工作
- @ 六角変身 【中〜高 30〜45分】
- A 切り起こした形から(おさるの輪投げ) 【中〜中学 90分】
- B 平面ユニット(平面から立体へ) 【高〜中学 50分】
- C ペーパーブロック 【高〜中学 50分】
- D ロボット 【中〜中学 50分】
- E 不思議なキャンバスづくり(こちらと向こうで2つの世界) 【中〜中学 60分】
- F 立ち上がる模様づくり(平面模様の立体化) 【中〜中学 40分】
- G つくり変え(並べ替え)ができる模様づくり 【高〜中学 60分】
- H おもしろマスク 【中〜高 30分】
- I 目の錯覚をいかしたおもしろ工作(摩天楼を体験しよう) 【中〜高 20分】
はじめに
竹の葉がひらひらと舞い,木の葉が踊る。タンポポのふわふわとした綿毛や,楓の実などが優雅に飛ぶ様子にあこがれをもち,紙飛行機や紙トンボ,紙のヘリコプターなどに空を飛ぶ夢を託します。ほうずきの袋,キキョウの花,朝顔の花などに「ものを包みこむ」ための基本の形を見つけ,かぼちゃやりんご,みかんなどからは,紙風船やソフトボールなどの球体の構造を教えられます。自然のもつ,豊かで美しい造形性に驚きや感動を覚えます。このような思いを,身近で扱いやすく,しかもこのうえなく美しい素材である「紙」を用いた工作に生かすことができたらと思っています。
ご存知でしょうか? 小さな紙を裂いただけのものでも空中に放つと,美しい舞いを見せてくれるということを。紙のこま,風車,紙のヤジロベエ,紙笛などの伝統的な紙工作,そこには目を見張るような不思議さがあり,子どもたちの興味・関心をひきつけ,創造性を豊かにしてくれます。
また最近では,高度な仕掛けをもった飛び出す絵本やカードが市販されているほか,新しい発想の立体切り絵や創作折り紙なども次々と考えられており,身の回りには楽しく美しい紙工作があふれているといえるでしょう。
一方,日本の芸術の特質として,非合理性,不規則性などが挙げられますが,日本古来の伝統芸術である折り紙の文化を考えると合理的で規則にかなうまとめ方も見逃すことのできない一面であると考えられます。紙に無限の可能性や夢を託して,折る,切る,丸めるなどの紙工作のもつ普遍的・創造的な技術を生かして培われてきた,日本人の感性や文化を大切にしたいものです。また,これまで受け継がれてきた伝承遊びも残していきたいものの一つであるといえるでしょう。
そして,紙工作は幼児から大人にいたるまでいつでも,どこでも,だれでもが手軽に楽しめるものであり,二次元の世界から三次元の世界へと素材を転換させるスリルを体験することができるとともに,はさみやカッターナイフなどの道具の使い方を身につけ,手の巧緻性を伸張させることにもなるのです。
ものづくりの大切さが再認識されつつある現在,紙工作のよさや可能性を授業の中に積極的に取り入れ,子どもたちの創造性を,ぜひとも引き出し,伸ばしていってほしいと考えます。
なお,本ワークシート集の題材は主に小学校での利用を想定してまとめてありますが,用い方によっては幼稚園や中学校でも十分に活用できると思います。一人でも多くの子どもたちに,自分の手でつくる喜び,期待感,満足感を感じてほしいものです。
最後になりますが,私は,兵庫教育大学で美術の教育に携わり24年になり,今年度定年退職を迎えようとしております。立体造形の美とそれを伝える教育の大切さについて,制作を通して考えてまいりましたが,これを機会に卒業生・修了生の皆さんと力を合わせ,紙工作の指導書を上梓する運びとなりました。
本書を先生方の授業実践に,少しでも役立てていただければ幸甚です。
2007年3月 /笹山 幸徳
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明治図書
















