- 編者のことば
- はじめに
- T 単元名(水泳)
- U 目標
- V 水泳指導の原理・原則について
- 1 水泳指導の「常識」を疑う
- 2 底に流れている理論
- 3 酸素摂取網力とは呼吸の負荷のステップ
- 4 指導の効果
- 5 追試者はどこでつまづくか
- W 指導のステップ
- 1 ステップ1・背浮き(仰向けで浮く)
- 2 ステップ2・背浮きで進む
- 3 ステップ3・ちょうちょう背泳ぎ
- 4 ステップ4・背泳
- 5 ステップ5・ふし浮きの呼吸法
- 6 ステップ6・平泳ぎ
- 7 ステップ7・クロール
- 8 ステップ8・バタフライ
- 9 ステップ9・着衣の泳法
- 10 ステップ10
- X 指導計画
- Y 授業の展開
- 1 第1時〜4時(背浮き・ちょうちょう背泳ぎ)
- 2 第5時〜8時(背泳)
- 3 第9時〜13時(平泳ぎ)
- 4 第14時〜17時(クロール)
- 5 第18時〜21時(バタフライ)
- 6 第22時(着衣の泳法)
- 7 第23時以降
- Z 追試者からのコメント
- /小田 博史
- あとがき
はじめに―授業の中で全員を泳げるようにすることは無理か
小学校においては1シーズンの水泳の授業は約10単位時間である。
かつての私は、授業の中で泳がせられないのは指導時間が絶対的に足りないからだと考えていた。練習量さえこなせばだれでも泳げるようになるのだと考えていた。
そして授業で泳げるようにならなかった子がスイミングスクールの指導を受けるようになると泳げるようになったという事実に対して、「スイミングスクールでは指導時間がたっぷりあるからだ」と考えていた。
だが、放課後や夏休みの特別指導でいくら時間をかけても全員を泳げるようにすることはできなかった。
このことは、「泳げない子の水泳教室」の指導を経験したことのある方なら、おわかりであろう。8割〜9割の子を泳がせられることはできても残りの2割〜1割の子どもを泳がせられないのである。
今から6年前、向山洋一氏の「向山式とび箱指導法」を知った。半信半疑で追試すると、1時間の授業で本当にクラス全員がとび箱を跳べたのである。
この事実から私は水泳指導にも何か原理・原則があるはずだ、指導のコツがあるはずだと考えるようになった。ちょうどその年、愛知県岡崎市の鈴木勘三氏の背浮き指導法を知った。追試し、その効果に目を見張った。どの子もちょうちょう背泳ぎでスイスイと泳げるようになったのである。
ところが平泳ぎやクロールへどうつないでいけばいいのかわからなかった。仰向けの泳法からうつ伏せの泳法になるのだから、息つぎをしなければいけない。この息つぎをどう指導するのかわからなかった。
本書は6年間の私の実践を追試できるよう「発問・指示」の形でまとめたものである。
そうして「ちょうちょう背泳ぎの後、どうやれば子どもたちが平泳ぎ・クロール・バタフライで泳げるようになるのか」「どう授業を組み立てれば、授業時数内で泳げるようになるのか」という疑問にこたえようとしたものである。
多くの教師にとって、そして多くの泳げない子にとって価値のある本になればと願っている。
/鈴木 智光
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- 明治図書