- 新教育課程のねらい
- 教育課程改善の四つの視点
- 学校教育と「生きる力」
- 美術教育の改善のねらいと教師の視点
- 鑑賞について
- 選択幅の拡大
- 美術教育の基礎・基本 〜美術表現の五つの基礎
- 鑑賞の時間のとり方
- 日本美術をもっと取り上げて
- 表現の多様性とグロテスクな表現などの是非
- これからの美術科
- 〜スケッチの重視から
- 自分の判断で決めていく美術科の授業
- 問題解決能力と美術科
- 「生きる力」と美術科
- 資料1 中学校美術科学習指導要領 新旧対比表
- 資料2 新学習指導要領―美術の新しい課題
- 資料3
- 付録1 中学校学習指導要領
- 付録2 教育課程審議会「答申」
はじめに
新教育課程が告示され,2002年から学校週5日制とともに完全実施になります。それまでの期間はそのための研修,移行,試行期間であるといえましょう。
今次の教育課程改訂の基本的な精神は次のようなことです。
「生きる力」を育てる教育を実現するために,
@ 自ら学び,考え,課題解決をしていく能力・態度を育てる
A 美しいものに感動し,他者を思いやる柔らかな感性に裏付けられた豊かな心を育てる
B たくましい体を育てる
そのために,
@ 教育内容を厳選し,基礎基本の確実な定着を図ること
A 個性を生かす教育の充実を図ること
B 豊かな人間性とたくましい体の育成を図ること
C 横断的・総合的な学習の時間を設けること
などの視点から学習指導要領が改訂されました。
これからの学校ではさまざまな教育活動を展開していくに当たり,教育の目的や目標をもち,計画的にそれを実現させていかなければなりません。すなわち,各学校,各教科等において,
@ どのような子に育てるのか,どのような資質・能力を育てるのか
A そのために教育課程や実際の指導をどのようにしていくか
B それを3か年のなかでどのように実現させていくか
C その定着度をどのように看取り,一人一人の生徒に応じて手だてを講じていくか
などについて,確かな計画を立て,継続的な指導を展開していくことが大切になります。
美術科はこれらの基本的な考えに基づき,教育の内容として次の三つの側面をもっていると考えて今回の学習指導要領の改訂を行いました。
@ 表現学習としての側面
A 文化・国際理解の側面
B 心を育てる教育としての側面
これらは美術科の全学習過程を通じて総合的に行われますが,もともと教育の理念や目標,計画のないところに教育の成果は望めません。これからの美術科においては,教師個人の実技の技能や教育に対する考え方・価値観を生徒に教え込むといった感覚的な授業ではなく,このような幅広い教育の視点から美術の教育課程と実際の授業を構築していく必要があります。
国民の生涯学習に関する意識調査においても生徒の美術に対する意識調査においても,いずれも最も多いことが「自分の思うように描いたりつくったりできない」とか,「絵を描いたり,ものを作る道具の使い方や作り方などの基礎,鑑賞において美術作品の基礎的な見方を学びたい」という学習欲求が大変多いという結果が出されています。このような国民の願いに応える美術教育を展開していかなければなりません。
今度こそ,美術についての苦手意識の大量生産を何としても防ぎ,楽しく学べて,しかも自分なりに表現・鑑賞の基礎力を身に付けていくことができ,一人一人が人と違う自分だけの答を見つけ創造し,自分のよさを発見していくことができるような,楽しく手ごたえを感じられる確かな授業が求められます。
このような授業を構築していくに当たって,本書は幅広い視点から示唆を与えてくれるものになるでしょう。学習指導要領がどのような願いの基に作られているのか,どのような考えで美術教育を進めていく必要があるのか,特にそれらのベースとなる美術教育の基本的な視点や考え方を本書から読み取っていただければ幸いです。先生方の意欲的な研修と実践を期待しています。
/遠藤 友麗
-
明治図書















