発信・受信の双方向で「伝え合う力」を育てるワーク 小学4年

発信・受信の双方向で「伝え合う力」を育てるワーク 小学4年

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日常的な学習活動で相手の思いを理解できる子どもを育てる。

双方向の「言語行動」を通して「伝え合う心と技」を磨く。ステップワークはステップアップする各学年の段階ごとに学習方法を厳しくチェックし的確に自己評価できる。各学年の基礎的技能、能力、統合発信力ごとに結成。


復刊時予価: 2,475円(税込)

送料・代引手数料無料

電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-696413-0
ジャンル:
国語
刊行:
対象:
小学校
仕様:
B5判 148頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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序 文  中京女子大学名誉教授 /瀬川 榮志
はじめに  熊本21世紀の国語教育を創る会代表 /吉本 清久
本書の特色  熊本21世紀の国語教育を創る会代表 /吉本 清久
T 伝え合う力を育てる4年生の基礎的技能ワーク
@ 気持ちや様子を読んだり聞いたりしよう
A ていねいな言い方に気をつけて書いたり読んだりしよう
B 段落に気をつけて書いたり読んだりしよう
C 中心に気づきながら話したり聞いたりしよう
D 指示語や接続語に気をつけて書いたり読んだりしよう
■ワーク解答例
U 伝え合う力を育てる4年生の基本的能力ワーク
@ 相手や目的に応じて伝えたいことの中心を
A 伝えたいことの中心をしぼって
B 心に残る場面や感動を
C 目的に合うじょうほうを集めて
D 話だいやじょうほうを取材して
E わかりやすい組み立てを考えて
F 考えが伝わるようにすじ道を立てて
G 順序を考えて
H 話だいの変わり目を意識して
I 読み方や聞き方の工夫を
■ワーク解答例
V 伝え合う力を育てる4年生の統合発信力ワーク
@ 漢字のおもしろさを伝え合おう
A 手紙の「よさ」を伝え合おう
B 日本語のリズムやひびきのおもしろさを伝え合おう
■ワーク解答例
あとがき  福島県福島市立杉妻小学校 /佐久間 裕之

序文

「伝え合う力」を行動学習で鍛え「人間関係力」を育成
   ――双方交流の「言語行動」を通して「伝え合う心と技」を磨く――
      中京女子大学名誉教授 /瀬川 榮志


 学習指導要領(国語科)の目標に「伝え合う力」という用語が加わりました。お互いの考えや立場を尊重し合って自分の言葉で伝え合う技能・能力・態度・行動を育成することが重視されたのです。

 「伝え合う力」は、何のために(目的)だれに(相手)いつ、どこで(情況・場面)どのように(方法)を意識し、言語を駆使・運用する行動で一貫することが欠かせない条件です。つまり、双方向的交流をするために必要な知識や技能だけでは「伝え合う力」は獲得されません。

 具体的な「言語行動」の展開によって「生きて働く『伝え合う力』」が確実に育ちます。言語行動観に立つ国語科教育の実践理論に基づく「言語行動」の重視は新学習指導要領の「自ら考え正しく思考・判断し『表現・行動』する人間の育成」に連動します。

 子供が自力で展開する「言語行動」重視の国語学習は、言語行動主体・学習者主体の「行動学習法」によって価値的内容と技能・能力を「言語行動」で統一して確実に身につけます。例えば「スピーチ」するという活動が展開される場合は、話題・主題に対する興味や関心と、そこで必然的に作動する順序・要点・要約・段落・中心・心情・想像力が組み込まれていなければならないのです。しかも、この活動は相互に協力・協調し人間関係を温め深め、心優しく逞しく実践する子供の育成に直結する目的的な価値ある行動言語で終始一貫することが求められます。

 このような学ぶ行為としての「行動学習法」の具体化がワークシートによる学習です。

 ワークシートによる「行動学習法」は、子供自ら創り出す言語行動力を軸にした学習方法です。この特色ある学習法は言語機能による学び方を最大限に発揮することができます。それは、易しい学習から難しい学習へと階段をのぼっていくようなステップを設定することです。学習をステップアップすることによって子供たちは「伝え合う力」が驚異的に向上していくことを意識することができるので成就感や達成感を満喫します。

 ステップワークによる「行動学習法」は、「活動あって学習事項なしの国語学習」〜と批判されているような、無計画・無秩序に活動するものではありません。ステップアップする各段階で学習方法を厳しくチェックし的確に自己評価します。成功しないときはもう一度挑戦したり、前の学習に戻ったりします。つまり、フィードバックとアタックを繰り返していく学習システムですから「行動学習法」で自分を鍛え心と技を錬磨することになります。

 このように考えていくとレベルアップの「行動学習法」は人間関係に深く関わっていることがわかります。

 価値ある「言語行動」を通して相手の立場を尊重し、助け合い、励まし合い、磨き合い、高め合って、向上的変容を確認して自己変革を図っていく過程で新世紀を生き抜くために必要な「人間関係力」が育っていきます。

 「伝え合う力」の指導は、人と人との望ましい関係で知的・情的交流を通して「生きる力」に連動する「生きて働く『人間関係力』」の育成を目指すことが大切です。にぎにぎしく騒然とした雰囲気の中で自制・自律・自立の姿が見えない活動に流れていくような軽薄な学習は許されないのです。

 「伝え合う力」は、「話す・聞く」音声言語による指導が最適です。しかし、「書く」「読む」文字言語による指導にも力を傾倒する必要があります。例えば、手紙文の読み書きを通して心の教育が徹底されます。文章力・表現力も定着します。しかも、手紙を書く⇒投函する⇒返信を読む⇒手紙を書く〜の勝ちある言語行動の連続で、友愛・親子の愛・師弟愛が芽生え、海外の友達との文通では国際協調の精神を高め人類愛の涵養にも及んでいきます。

 本書は以上のような高い教育理念と確かな国語科教育の理論を基に、子供たちが「生き生きとステップアップワークによる『行動学習』で確実に国語科で身につける「基礎的技能」・「基本的技能」・「統合発信力」を定着・習得・獲得する」具体的な学習法を提示しています。

 全六巻の統括責任者としての吉本清久先生は、終始精力的に対応し、実践研究者に必要な企画・調整・推進力を十二分に発揮し見事にその大任を果たされました。吉本先生は、全国国語科教育研究会東京大会で国語科指導の原理原則に基づくユニークな授業を度々公開し、大きな反響が全国的に広がりました。例えば「言語感覚を磨く」ことをねらいとした授業で熊本から一人一人の子供に車エビやウナギを』運び、具体的な体験を通して学習者主体、言語行動主体の授業を確立し紹介しています。21世紀を拓く国語教育を創造していくためには、このように価値ある課題に積極的に取り組む研究実践者が求められます。すばらしい吉本先生との出会いを嬉しく思います。

 最近、学校現場は忙しくなったといわれています。実践的研究は余計なものであり教科書通りに教えておけばよいという風潮があるとしたら子供たちの学力は低下します。教師が授業力、研究力を付けることの重要性を認識する必要があります。

 編著者並びに指導・助言者の向田宏男・野口久雄・佐久間裕之・倉光浄晃・宮原久直・和田耕一・吉本清久の諸先生方には各巻ごとの研究グループで学力向上のための国語科教育の在り方を追究し「理論と実践を統一」したステップワークを完成していただき感謝しています。

 明治図書の「明治図書出版企画開発室代表」の江部満様には、全六巻の企画から編集・出版に至るまで温かいご指導と力強いお励ましを頂戴しました。厚くお礼を申し上げます。本書が子供たちの人間関係力を高め学力が向上することを心から祈念しています。

著者紹介

瀬川 榮志(せがわ えいし)著書を検索»

現在 中京女子大学名誉教授 全国小学校国語教育研究会名誉顧問

   日本子ども文化学会会長 全創国研名誉会長

   21世紀の国語教育を創る会代表

 1928年鹿児島県に生まれる。東洋大学国文学科卒業。鹿児島県・埼玉県・東京都の公立学校教諭,東京都教育委員会指導主事,東京都墨田区立立花小学校・中野区立鷺宮小学校・同鷺宮小学校長を歴任。その間,文部省教育課程教科等特別委員・教育課程調査研究協力者並びに副委員長。学習指導要領指導書作成委員,NHK学校放送教育番組企画委員、現在も全国的規模で授業理論の確立に活躍中。

吉本 清久(よしもと きよひさ)著書を検索»

現在 熊本県八代市立麦島小学校教諭「熊本21世紀の国語教育を創る会」代表

 1964年熊本県に生まれる。熊本大学教育学部卒業。平成元年より熊本県公立学校教諭。

 『言語行動観に立つ国語科教育』を実践し,言語感覚を磨くモデル授業を公開している。

佐久間 裕之(さくま ひろゆき)著書を検索»

 福島県の公立小学校に勤務。全日本言語教育学会福島支部長や郵政省東北地方文通教育研究協議会常任委員長等を務める。全国小学校国語教育研究全国大会においても静岡県浜松市、新潟五泉市、東京都渋谷区、豊島区、杉並区、中野区の小学校において、「詩」の授業・「情報発信」の授業・「対話」の授業・「たとえ」の授業・「俳句」の授業・「メモの方法」の授業・「手紙」の授業・「パンフレット」の授業等、国語科の本質を捉えた斬新な切り口によるモデル授業を数多く公開している。

 国語科の教育における指導理念とともに具体的な指導法も開拓している。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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