学力向上フロンティアスクールの実践1
算数科:習熟度別少人数指導ハンドブック3・4年編

学力向上フロンティアスクールの実践1算数科:習熟度別少人数指導ハンドブック3・4年編

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少人数指導の先進校のノウハウすべてをここに公開。

「学力向上フロンティアスクール」指定の日高小学校での3・4年少人数指導ノウハウのすべてをここに紹介。そのまま使える習熟度別コース分けプリント、評価規準表(単元別:九九の表とかけ算/わり算/たし算とひき算の筆算/小数/折れ線グラフ/面積/他)付き。


復刊時予価: 2,244円(税込)

送料・代引手数料無料

電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-695712-6
ジャンル:
算数・数学
刊行:
2刷
対象:
小学校
仕様:
B5判 116頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

もくじの詳細表示

はじめに  愛知教育大学 /志水 廣
第1章 講演記録「算数科の授業力アップを目指して」 /志水 廣
第2章 算数科習熟度別少人数指導実施の手引き
少人数指導の広がり
T だれでもできる習熟度別少人数授業
1 保護者・児童への説明
2 たしかめプリントを作る
3 オリエンテーション授業
4 コースを決定する
5 習熟に応じた授業
6 授業の開始
7 評価の蓄積
8 授業力の向上
U 習熟度別少人数授業のQ&A
Q1 子供が自分で選んだコースが、その子にあっていない時は、どのようにしたらよいのでしょうか。
Q2 習熟度別のコースを指導する教師は、どのように決めていけばよいのでしょうか。
Q3 習熟度別のコースの分け方で迷っています。どのように分けるとよいのでしょうか。
Q4 本校は、5学級あります。習熟度別少人数授業を行うには、どのようにすればよいのでしょうか。
Q5 少人数指導には、十分な打ち合わせの時間が必要であると聞いていますが、どうしたらよいのでしょう。
Q6 少人数指導では、みんな同じような授業をしないといけないのでしょうか。
Q7 習熟度別少人数授業では、学習意欲の低い子は、どう指導すればよいのでしょう。
Q8 習熟の低い子が算数嫌いになってしまう傾向があるのですが、どうしたらよいのでしょう。
Q9 習熟の高いコースだと、学習内容がすぐに終わり、教材の準備が大変です。よい方法は、ないでしょうか。
Q10 途中でコースを変わりたいという子がでてきました。コース変更を認めてよいのでしょうか。
Q11 コースによって、扱う教材や扱い方が違ってしまいます。評価は、どうしていくのでしょうか。
Q12 単元ごとに指導者が変わってしまうと、通知票や指導要録の評価は、どうしたらよいのでしょう。
Q13 習熟度別指導を進めていくと、子供たちの間に、ますます学力の差が広がる心配があるのですが。
Q14 習熟度別少人数授業で、子供たちの数学的な考えを伸ばすには、どのようにすればよいのでしょうか。
Q15 習熟度別指導もいいけれど、もっと子供たちの間での学び合いを大切にするべきではないでしょうか。
Q16 習熟度別少人数学習で、問題解決の授業ができるのでしょうか。
第3章 確かな学力をつける習熟度別少人数授業
本校の考える学力と基礎基本
T 授業力の向上
授業診断の実施
○つけ法講習会
復唱法・ヒント包含法
模擬授業の実施
教科書を大切にした授業
U 算数科習熟度別少人数授業の取り組み
本校のめざす習熟度別少人数授業
習熟度別少人数授業実施までのあゆみ
習熟度別のコース
オリエンテーション授業によるコース分け
国語科習熟度別少人数指導の取り組み
第4章 そのまま使える「習熟度別コース分けプリント」(啓林館準拠)
3年
1 九九の表とかけ算
2 わり算
3 たし算とひき算の筆算
4 大きな数
5 時間と長さ
6 あまりのあるわり算
7 たし算とひき算
8 かけ算の筆算敢
9 表とグラフ(3コース)
10 かけ算の筆算柑(3コース)
4年
1 大きな数
2 わり算敢
3 小数
4 折れ線グラフ(2コース)
5 面積
6 式と計算
7 変わり方
8 わり算柑
9 もとの数はいくつ
10 調べ方と整理のしかた
11 何倍でしょう
12 分数
第5章 習熟度別少人数授業の評価規準表
3年
1 九九の表とかけ算
2 わり算
3 たし算とひき算の筆算
4 大きな数
5 時間と長さ
6 あまりのあるわり算
7 たし算とひき算
8 かけ算の筆算敢
9 表とグラフ(3コース)
10 かけ算の筆算柑(3コース)
4年
1 大きな数
2 わり算敢
3 小数
4 折れ線グラフ(2コース)
5 面積
6 式と計算
7 変わり方
8 わり算柑
9 もとの数はいくつ
10 調べ方と整理のしかた
11 何倍でしょう
12 分数
おわりに

はじめに

 日高小学校とは不思議な出会いであった。

 平成14年1月に、岡崎で学校数学研究会が開かれた。土曜日の自主的な研究会で、筆者が1時間講演をした。「基礎学力のアップ」というような演題だったように思う。

 このとき、筆者が講演をするというので、日高小学校の野々山里美校長と濱田毅研究主任が、刈谷から岡崎までわざわざお越しになり、講演を聴いてくれたのである。休憩時間にお二人と面談して、顧問依頼を受けた。基礎学力をつけるために、習熟度別学習に取り組み始めたということであった。

 そうこうするうちに、文部科学省の「学力向上フロンティアスクール」の指定を受けたという連絡が入った。それもまた良し、という感じだった。3月末に大学の研究室で正式な相談を受けて、顧問校としての研究指導が始まった。同時に、学年チューターの派遣依頼も受けて、私のゼミを派遣することになり、今日まで続いている。

 顧問の目的は、「ッ教師の授業力アップ」である。よって、教師全員の授業を参観して、個別にアドバイスしていった。1日に12人ぐらいは指導したと思う。その記録は、「授業診断カルテ」として、日高小学校に残されている。ある人には教材の見方について、ある人には指導技術について、ある人には精神エネルギーについて、……と、多岐にわたった。

 平成15年になってようやく効果が表れてきて、安心して授業が見られるようになった。授業力は、不断の努力の賜物である。素直にアドバイスを受け入れてくれたことが大きい。

 気がついてみたら、「学力向上フロンティアスクール」としては、全国的にもトップを走っていたといえるだろう。日高小学校は、数学の免許を持っている教師は一人か二人しかいない。つまり、ごく普通の小学校教師が相互協力すれば可能な姿、ここでは、習熟度別学習のシステムができあがっていくことが証明されている。

 何よりも素晴らしいのは、子供たちが生き生きと学習に取り組んでいることだ。「ゆっくりコース」は、決して学力の低い子が集まっているのではない。その子の性格として、ゆっくりと着実に学習したい子供たちが集まっているのである。もちろん、他のコースも同様である。

 日高小学校の実践の素晴らしさは、文部科学省、渥美教育長、神田県知事等々の視察が相次いで行われていることからも推察できよう。

 この、日高小学校の教職員・子供たちの日々の実践の成果を世に問うため、ここに2分冊にして公刊する次第である。

 ただ一言付け加えるならば、習熟度別指導は、単にコースに分けたらできるというものではない。教師には、コースの特性に応じた日々の改善努力が求められるのである。

 そうやって生まれたこの書を参考にしていただければ幸いである。

 最後になったが、明治図書の石塚嘉典氏、木山麻衣子氏、多賀井寿雄氏には、無理な日程で本づくりをお願いし、刊行していただいたことに感謝したい。


  2004年5月   愛知教育大学 /志水 廣

著者紹介

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1952年、神戸市生まれ、大阪教育大学卒業。神戸市の公立小学校に勤務後、兵庫教育大学大学院修了(数学教育学専攻)。筑波大学附属小学校教諭を経て、現在愛知教育大学教授。各地の小学校で示範授業を行ったり指導講演を行ったりして活動中。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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