新教科書を補う算数科発展学習教科書 第2巻 第3・4学年編

新教科書を補う算数科発展学習教科書 第2巻 第3・4学年編

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検定教科書に致命的に欠落している内容を補い、克服する。

第3学年の発展学習の内容として、「3桁数の加法と減法」「液量とl・mlの活用」を重視した。第4学年では「多桁数の乗法と除法」「応用問題の新展開」「長方形模様を描く」などを発展学習の内容として重視した。


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ISBN:
4-18-687216-3
ジャンル:
算数・数学
刊行:
対象:
小学校
仕様:
B5判 152頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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序文
第3学年 「新教科書を補う算数科発展学習教科書」第2巻 第3学年編の内容
単元T 3桁数の加法と減法 ――「バラ数」に基づいた計算法とその発展――
「バラ数」の計算法の意義と有効性
1 3い数のたし算・ひき算
【1】 <バラ数>ってなんだったっけ?
【2】 3い数の計算
【3】 まとめのテスト
2 3けた数のたし算・ひき算
【1】 3けた数について
【2】 3けた数のたし算・ひき算について
【3】 3けた数のけい算のおうよう
【4】 まとめのテスト
単元確認テスト
解答
単元U 液量とl・mlの活用 ――液体・粒状体における体積の概念からl・ml――
液体の体積と・の教材構成並びに授業展開
1 物の“かさばり”とその大きさ
【1】 “かさばっている”のはどこの大きさ?
【2】 液体の体積を測る
【3】 1lより少ない量を測る
【4】 液体の体積を測る単位の仕組み
【5】 まとめのテスト
2 液量を合わせたり除いたりする計算
【1】 2つの容器とその液体の量
【2】 まとめのテスト
単元確認テスト
解答
単元V 平面上の点と直線
1 平面上の点
まとめのテスト
2 直線の交点,平行線
まとめのテスト
3 領域(蟻の世界の物語から)
まとめのテスト
4 半直線と線分
まとめのテスト
単元確認テスト
解答
第4学年 「新教科書を補う算数科発展学習教科書」第2巻 第4学年編の内容
単元T 多桁数の乗法と除法 ――「バラ数」によるかけ算,わり算――
「バラ数」の計算法の意義と有効性
1 バラ数のかけ算
【1】 〈バラ数〉ってなんだったっけ?
【2】 九九を使った暗算!!
【3】 バラ数のかけ算!
【4】 まとめのテスト
2 バラ数のわり算
【1】 暗算でわり算!!
【2】 筆算でわり算!!
【3】 まとめのテスト
単元確認テスト
解答
単元U 応用問題の新展開 ――四則計算や括弧のある式を用いて――
1 加減計算だけ,乗除計算だけの式
まとめのテスト
2 四則混合計算の式
まとめのテスト
3 括弧のある式
まとめのテスト
4 式を作って応用問題を解く
まとめのテスト
5 式から応用問題を作る
まとめのテスト
単元確認テスト
解答
単元V 長方形模様を描く ――対称・回転の運動模様――
幾何教育(運動模様)の中学年の導入の意義と有効性
1 長方形の運動
【1】 長方形はどうやったらもとにもどる?
【2】 長方形はどのように運動した?
【3】 連続した運動に挑戦
【4】 まとめのテスト
2 長方形模様
【1】 運動すればどうなるの?
【2】 模様はどれだけ描けるの?
【3】 模様を分けてみよう
【4】 模様を描いてみよう
【5】 まとめのテスト
単元確認テスト
解答

序文「新教科書を補う算数科発展学習教科書」全4巻の趣旨

 2002年度より使用されている現行検定教科書の内容,従ってまた,検定教科書が依拠した学習指導要領の内容は,私共の教育実践をともなう研究から言えば,次のような重要な欠陥を持っている。ただ,初めに注意したいが,私共はこうした重大な欠陥を言挙げするのを直接の目的とはしていない。私共は,それぞれの学年の子どもが,本来学ぶべき算数の内容を,まっとうに学習できるようにすることが願いである。そのために取り急ぎの対応として,現行の検定教科書の内容に発展的内容を加え,それら全体の学習を通して,子どもたちが本来会得すべき学力を,可能な限り獲得することを願っているのである。

 現行の検定教科書の内容,従って検定教科書が依拠した学習指導要領には次のような重要な欠陥がある。主要な点を箇条書きすると下記のようになる。

 (1) 学習内容の水準が極めて低い。事例を挙げよう。

 (a) 数計算において,特に事態は顕著である。例えば,4年で整数の四則計算が一応完結するが,前学習指導要領にあった×3位数や÷3位数は出てこない。これらの筆算は日常的にも必要であり,指導法を工夫すれば十分に4年生が学習できるのに,週5日制に合わせて機械的にカットするという誤りをしている。

 (b) 平面図形の基本は,点,直線,円であり,これらの作図と活用は1年生で十分に学習し得る。検定教科書はそれを怠り,円に至っては4年生に出る始末である。

 (c) 拡大,縮小の概念,つまりは相似の概念は,遅くても4年には学習し得る。検定教科書はそれを怠り,従来の検定教科書にあった相似の概念も用語も小学校から消えた。

 (d) 4年生後期から代数的思考が始まり文字を使った演算式が入って当然である。また応用問題の問題構造は文字を使った演算式で一段と明確になる。検定教科書は,これらを怠り,文字を使った演算式は6年になっても出てこない。

 (2) 平面や空間の領域では極端な程に,内容が貧弱である。事例を挙げよう。

 (a) 2年生は工作用紙に展開図を描き,スポーツカーなどを作成するというのに,検定教科書はそれを怠り,展開図の用語は6年に出る始末である。

 (b) 平面上の図形については,平行運動,回転運動,線対称運動といった運動自体の学習が必要である。そしてこれらの運動の把握や,それに基づく模様作りは,1,2年生が大好きである。また長方形などの平面図形の模様では,模様作りの基本となる運動とそれら運動関係構造が重要であり,5年生には,それが把握できる。しかし検定教科書は,上記の何れをも欠落させている。

 (3) 今日の子どもは高度に発展した社会に生き,そうした社会への対処を願っている。検定教科書は全くと言ってよいほど,これに対応していない。事例を挙げよう。

 (a) 地球時代,宇宙時代の今日,高学年には是非とも「地球の数学」が必要である。検定教科書はそれを欠落させている。

 (b) 確率の概念は天気予報などで小学生にも日常化している。しかし検定教科書では確率は6年になっても姿を見せない。

 (c) 今日の社会現象は多変数関数に満ちている。これら関数に対応するソフトとしてExcelの活用が低学年から学習されてよい。検定教科書はそれを欠落させている。

 (4) 子どもは各年齢に対応して数学的認識の発展を進める。検定教科書の内容は,こうした各年齢発展過程に対応してはいない。多くの場合,子どもたちの認識を,一段と低次の認識へ追いやるようにして理解を求めている。いわば蛹から出た子どもを再び蛹に戻している。事例を挙げよう。

 (a) 低学年の子どもは体ごとの実践を通して数学的法則を把握する。例えば,1年の子どもが数7の分解を把握するのは,箱に大きな口を開けた猫の絵を描き,箱の端から7個の餌を弾き,猫の口に入らないで外に転がる餌の数を数えて,口に入った餌の数を推定し,箱を持ち上げて,口に入っている数を確かめ,推定の正しさを確かめるといった活動の繰返しの中で,7は3と4に分解されるという事実を,確信をもって把握するのである。体ごとで確信すると言ってよい。ところが検定教科書は7が3と4に分解される事実を,絵を見せて子どもに保障させようとしている。つまり,皮相的な視覚的記憶に依存している。これでは分解の事実は確信あるものとして身につかない。

 (b) 子どもは4年生後期から論理的体系的理詰めを通して数学的法則を把握するという認識の段階に達する。ところが,検定教科書は,この認識過程を忘れ,高学年の数学的法則の認識を,低学年の皮相的認識に堕させようとしている。例えば6年での分数の除法計算の法則は,単位分数と逆数の性質を使えば,理詰めを通して短時間に把握できるのに,それを怠っている。

 (5) 3年生以降の子どもは,とりわけ創造力が急速に発展する時期である。それであるのに検定教科書には,創造力の育成に関する配慮が欠落している。あるのは精々,誰それはこういう計算の仕方をしたとか,誰それは,それとは別の計算の仕方を工夫したとか,言わば,同一水準での多様な思考の並列に終始している。創造力の育成で重要なのは,質的に高い水準に向かって,子どもの思考を高めることである。例えば5年生の長方形の運動模様の学習であれば模様の型は幾種類に限られるかを理詰めで裏付けて明らかにすることである。あるいは,学習していない正三角形の運動模様には,幾種類の模様の型があるのか,それを理詰めで発見することである。本来の創造性の育成とは,同一次元の中で,あれか,これかを発見することではなくて,一段と高い段階での数学的発見を招来することである。検定教科書は,こうした配慮を欠落させている。

 この「新教科書を補う算数科発展学習教科書」全4巻は,いささかでも,上記の欠陥を克服しようとして作製されたものである。執筆者には予てから,私共と共に算数教育の研究をされてこられた方々にお願いした。是非,「新教科書を補う算数科発展学習教科書」全4巻を活用されることを願っている。


   /横地 清

著者紹介

横地 清(よこち きよし)著書を検索»

1922年,愛知県生まれ

1945年,東京文理科大学 数学科卒

和光大学・山梨大学・東海大学・各教授を歴任。現在,北京師範大学・内蒙古師範大学・東北師範大学・華中科技大学の各客員教授

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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