国語学力を測る「到達度」チェックカード 中学校1年

国語学力を測る「到達度」チェックカード 中学校1年

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一人一人の到達度を正確に把握し、個に応じた学力を高める。

評価規準と到達度チェックを位置づけた指導計画で授業を展開し、生徒の的確な学力把握をめざす。1年生では「話す・聞く」「書く」「読む」領域ごとにチェックカードを示し、到達規準に達しない生徒への支援等を提示。


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ISBN:
4-18-682800-8
ジャンル:
国語
刊行:
対象:
中学校
仕様:
B5判 112頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

序文 充実した授業展開には児童・生徒の的確な学力把握が前提条 /瀬川 榮志
はじめに /植田 恭子
T 中学第一学年国語科の絶対評価規準
1 学習指導要領の内容に基づく到達規準
2 到達度チェックカードの作成と活用
3 到達度チェックの結果による補充指導
4 到達度チェックの結果と評定への活用
U 中学第一学年の「到達度」チェックカード
一 言語の基礎的技能のチェックカード
古文の音読との出会い ―『竹取物語』の冒頭文を暗唱する―
私の見つけた季節の言葉
漢字力の定着と活用 ―漢字テストを効果的に取り入れて―
単語 ―接続詞に注目して―
話し言葉と書き言葉 ― 一分間スピーチにチャレンジ―
二 言語の基礎的能力のチェックカード
◆「話す・聞く」領域
自己を語る会 ― 一年間を振り返ろう―
「○○体験報告会」をしよう ―「事実」と「意見」についてとらえよう―
メディア比べてみれば ―ポスターセッションをしよう―
取材の達人になろう ―人生の先輩に学ぶ(「聞き書き」をしよう)―
◆「書くこと」領域
「環境リポート」を書こう ―わたしの考える環境問題―
自己を見つめて ―自分史新聞を作ろう―
◆「読むこと」領域
『竹取物語』を読もう
新聞を読む達人になろう ―新聞情報の読み方―
文章の柱を見つけよう ―「事実」と「意見」を読み分けよう―
情報収集から情報発信へ
三 言語の統合発信力のチェックカード
◆情報処理能力
映像メディアと人間
わが町再発見 ―私たちの町のガイドブックを作ろう―
◆伝え合う力
伝え合いトーク
ファミリーフオーカス ―親子で新聞を読もう―
V 到達規準に達しない生徒への支援
到達規準に達しない生徒への支援
あとがき /植田 恭子

序文

充実した授業展開には児童・生徒の的確な学力把握が前提条件
   〜児童・生徒の国語力到達度チェックが学力を保障する〜
      中京女子大学名誉教授 /瀬川 榮志


 学力向上に大きな役割を果たす教科は国語科です。国語学力がついていないと他教科の学習における読み書き活動や話す・聞く活動が円滑に行われないはずです。また、新学力としての「課題追究解決力」も言語による「情報操作力」と「人間関係力」を統一した「統合発信力」を国語科で習得させないと「生きる力」に連動する「生きて働く学力」として育たないことになります。


 この重要な新国語学力の実体を的確に捉え、各学年の発達段階で設定された規準に一人ひとりの児童・生徒がどの程度到達しているかを測ることを可能にしなければなりません。これが21世紀の国語科教育を拓く最大の課題であると信じています。

 この価値ある課題を解決するためには次の事項を明確にする必要があります。


○ 学習指導要領に示された目標・内容・活動例を精選し国語学力の実体を明らかにする

 学年の発達段階に即して最適な言語活動を精選する。しかし、学習指導要領の活動例からその学年に適した活動を選ぶだけに止まってはならない。精選した活動過程でどんな基礎・基本が定着するかを明らかにすることが大切である。そうしないと、活動があって指導事項がない「空転学習」となる。


○ 具体的な言語活動を設定して技能・能力の「段階的組織」を明確にする

 これまでの国語教育の実践においてはこの事項の研究が欠落していた。例えば、学習指導要領の「手紙を書く」という活動を学習者の具体的な生活場面や目的・相手意識に応じて、その活動の展開過程で基礎的技能や基本的能力をどのように作動させ、定着するかという技能・能力の「段階的組織」を分析構造化していなかったのである。


○ 技能・能力の「段階的組織」によって到達規準(基準)を設定し指導計画を作成する

 「生き生きと言語活動を展開する過程で確実に基礎・基本が定着する」〜これがよい授業の条件であり、指導の原理・原則である。技能・能力の上位・下位関係を的確に構造組織化してこそ初めて国語学力の実体が明らかになる。「絶対評価徹底」可能の国語科指導計画もこのような能力観・評価観・指導観によって作成される。


○ 評価規準(基準)と到達度チェックを位置づけた指導計画で授業を展開する

 評価規準(基準)は、「国語への関心・意欲・態度」「話す・聞く」「書く」「読む」「言語事項」等の観点によって精選・構成される。指導計画にはこの項目が記載される。学習活動・技能・能力を重点化し、一単位時間学習の評価基準の項目も設定する。加えて評価方法と教師によるチェック欄を設けることも重要な条件である。


○ 授業の展開過程で評価基準を設定し学習者が自力で到達度をチェックする

 授業の展開に当たっては、「わかる→かわる→できる」や「レベル@→レベルA→レベルB」「ホップ→ステップ→ジャンプ〜」などの自己実現過程並びに易から難へ生きて働く力のレベルアップによる行動過程を重視する。このプロセスに即して評価基準を設定し評価方法を工夫する。

 この学習で習得した「価値ある言語行動力」としての学力を他教科や、総合的な学習並びに日常の言語生活に波及・応用する。


○ 学力向上の「説明責任」を果たす「到達度チェックカード」を開発する

 文部科学省は学習指導要領の「最低基準化」や「目標に準拠した絶対評面」の重要性を提示した。また、公教育における学力保証の「説明責任」も求めている。国語学力向上の「結果責任」を完全に果たすためには日々の授業で評価規準(基準)特にB段階の基準を具体的に明確にし、絶対評価事項を段階的に設定して到達度を個に応じて高めていくチェックカードが必要である。


 本書『国語学力を測る「到達度」チェックカード』は以上の理論的根拠に基づいて小学校九巻・中学校三巻計一二巻を企画編集しました。国語科教育における小・中学校の関連重視は今後の重要な課題です。「21世紀の国語教育を創る会」においては、これまで国語科教育の体系化(螺旋的系統による「基礎・基本・統合発信力」)と「生きて働く国語力」を獲得する指導法の組織化(レベルアップによる学習のシステム化)について研究してきました。本書では、その実践理論をさらに発展させ「到達度チェック法」の開発によって一人ひとりの児童・生徒の可能性を信じ伸ばすために「生きて働く国語力」が、定着→習得→獲得〜される保証や「授業成果説明責任」を果たす具体策をまとめました。


 尚、本企画は、「国語学力アクションプラン」シリーズの一環として位置づけています。つまり、「国語学力を高める『基礎・基本・統合発信力ワーク』」〈全七巻〉並びに『第○学年の国語学力・絶対評価で鍛える』〈全六巻〉『日常の評価話動を授業に生かす』〈全四巻〉『国語学力を高めるモデル学習指導案』〈全四巻〉『個に応じた「習熟度別指導」のワークと教材開発』等を連続的に編集出版して二一世紀の国語科教育の改革を構想し新しい道を拓く努力をしています。


 学力低下の世論が頂点に達しているといわれています。学力向上に大きな役割を果たすのはいうまでもなく国語科教育の充実です。国語学力がついていないと他教科の学習や総合的な学習での読み書き活動や「話す・聞く」活動が円滑に行われません。国語力は萬学の「礎」であり「基盤」です。

 文化審議会国語分科会国語教育等小委員会の審議報告には「国語教育を中核に据えた学校教育」を提言しています。国語科の授業時数の増加も検討しており、急速に進展していく時代には、母語、日本語教育の重要性が更に強化されていくのではないかと確信しています。


 本書の企画・編集に当たっては、各領域・各学年の編著者並びに編集担当者の先生方に「児童や生徒を愛し研究に徹する」理念・信条、熱い情熱をもって全力投球で対応していただきました。何回も原稿を送って貰い検討を重ねました。研究情報を交換していく過程で質的に高く具体的な内容に変わっていくことに、研究を共にしていく過程で実感し緊密な人間関係力が醸成されて、よき研究者との出会い再会に感謝しているところです。


 榊原良子先生には企画から編集まで、確かな理論を踏まえ豊かな実践を支えに本書の質的向上に誠心誠意尽力しました。吉本清久先生は、全巻の編集推進を効率的にするためにサンプル原稿作成やいろいろな情報提供並びに事務連絡を献身的に協力してくれました。


 このように、国語教育を愛し児童・生徒の幸せの実現を願う先生方の努力と協力によって本書は誕生しました。心からお礼を申し上げます。

 明治図書の教育図書企画開発室の江部満様には本書の企画から出版まで心温まるお励ましと力強いご支援を頂戴しました。全一二巻の編集執筆に関わった先生方も研究のよい機会に恵まれましたことに深く感謝しております。

 本書が「国語教育立国論」の理念究明と研究構想並びに実現に連動することになれば……と祈念しています。

著者紹介

瀬川 榮志(せがわ えいし)著書を検索»

現在 中京女子大学名誉教授 全国小学校国語教育研究会名誉顧問

   日本子ども文化学会名誉会長 21世紀の国語教育を創る会代表 全創国研名誉会長


 1928年鹿児島県に生まれる。東洋大学国文学科卒業。鹿児島県・埼玉県・東京都の公立学校教諭、東京都教育委員会指導主事、東京都墨田区立立花小学校・中野区立上鷺宮小学校・同鷺宮小学校長を歴任。その間、文部省教育課程教科等特別委員・教育課程調査研究協力者並びに副委員長。学習指導要領指導書作成委員、NHK学校放送教育番組企画委員。現在も全校的規模で授業理論の確立に活躍中。

植田 恭子(うえだ きょうこ)著書を検索»

1957年和歌山県に生まれる。大阪教育大学大学院国語教育専攻修了。

堺市立晴美台中学校などを経て,現在大阪市立天王寺中学校教諭。

・近畿NIEフオーラム(2003年8月)にて公開授業・京都NIEセミナー(2004年2月)にて模擬授業・第4回朝日NIE講座―わたしのNIE授業―にて模擬授業・第4回NIE全国大会にて公開授業「新聞エクスプレス―NIEのたび―」・第7回NIE全国大会にて発表『国語科を核としたNIEカリキュラム―「情報活用」と「自分探し」を基軸として』など公開授業を通して,新聞の学習材として可能性を提案している。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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