現代国語教育論集成・輿水実集国語科の基本的技能基本的指導過程他

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言葉の教育への志向/国語科の特徴の探究/国語科教育の近代化の構想(基本的技能・基本的指導過程)を解説・輿水実国語科教育論の立場=渋谷孝。


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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-657512-6
ジャンル:
国語
刊行:
対象:
小・中・高
仕様:
A5判 368頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

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現代国語教育論集成刊行にあたって!
I 言葉の教育への志向
(1)国語教室の活力
1 うま味のある授業から力強い授業へ
2 私の実地授業について
3 国語教室の活力はどこから来るか
(2)日本言語教育の出発
1 問題の状況
2 国語機能
3 日本語の優秀性
4 日本言語教育の構想
U 国語科の特徴の研究
(1)国語の能力表
1 能力表の性格
2 アメリカにおける国語能力表の実例
3 国語能力表作成上の問題
(2)教育課程の作り方
1 学習指導要領と教育課程
2 国語の教育課程の範囲
3 国語の教育課程の内容
(3)国語学力の見方
1 基礎学力としての国語の力
2 国語の力の分類法
3 国語の学力の見方の歴史
4 近代的国語学力観の特色
5 新指導要領の国語学力観
6 国語学力の本質に対する考察
V 国語科教育の近代化の構想
(1)国語科の基本的指導過程
@基本的指導過程の理論と実践
1 国語科の指導過程に何か標準的なものは存在しないか
2 国語科において、単元の指導過程および一時間の指導過程に定型を考えることはむずかしい
3 基本的指導過程は、聞く・話す・読む・書くの活動について設定されなければならない
4 教材「火の発明」(小三)の読解の基本的指導過程の実際例
A価値目標対能力目標の問題からみた基本的指導過程設定の必要性
1 価値目標と能力目標との区別
2 戦後における国語教育目標観の変遷
3 いわゆる能力主義的目標観の批判
4 国語科は能力養成だけが目標ではない
5 現行国語科制度における必要としての基本的指導過程
B国語科の授業研究の近代化
1 よい授業とは何か
2 授業研究の仕方
(2)国語科の基本的技能
1 国語科と技能養成
2 技能の直接指導と間接指導
3 基本的技能とは何か
4 基本的技能の一覧表
(3)国語科の基本的指導過程入門
@基本的指導過程とは何か
1 指導過程とは何か
2 基本的指導過程の性格と根拠
3 国語科の基本的指導過程の設定
A国語科の基本的指導過程はなぜ六段階になるか
1 読解の基本的指導過程はなぜ六段階になるか
2 作文の基本的指導過程はなぜ六段階になるか
3 書写、話す、聞くの基本的指導過程はなぜ六段階になるか
(4)国語科教育学入門
@国語科教育学とは何か
1 国語科教育学の性格
2 国語教育の近代化、科学化と国語科教育学の樹立
A国語科教育の基本的考え方
1 国語科教育学の基本概念
2 国語科教育の本質
3 国語科教育における主要概念の規定
B国語科教育の構造
1 国語科教育の分野構造
2 国語科教育の目標構造
W 輿水実の国語科教育論の立場
輿水理論というものがあるか―還暦を迎えて―
1 わたしの主張と、これまでにしてきた仕事
2 わたしの言語哲学研究
3 機能的国語教育の提唱
4 国語学力の規格づくり
5 国語科学習指導法の基本化・標準化
6 国語スキル学習の開発
7 国語科教育学の志向
8 国語教育における理論と実践-わたしを導いてくれた人、わたしに協力してくれた人への感謝
解説・年譜
解説
1 『垣内先生の学説』と『言葉は伸びる』の時代
2 太平洋戦争後の新教育の出発時の仕事
3 国語科教育の近代化の構想
4 輿水実の国語科教育論の立場
輿水実年譜
あとがき

現代国語教育論集成刊行にあたって

 国語科教育を含めた国語教育の、より正しいあり方を求めての実践的、理論的研究の歩みの足跡は、第二次世界大戦後の新時代に入ってからも四十年有余になりつつある。この間、小・中・高校の国語科教育の場において、大学および研究機関において、また、民間の団体および国語に関わる職場において、日本人の、のぞましい言語生活のあり方が理論的、実践的に追究されてきた。

 そこに、研究者の層の広がりとともに質の深化もみられるが、もちろん、明治以降の、近代化の過程の中に生起した国語教育上の諸問題に献身的に関わってきた先覚の貴重な業績が、有力な先達をなしていることは感謝をこめて銘記しておきたい。国語教育の研究が学問であるか否かは、諸々の問題の解明に本質的な意味において役に立つか否かによって判断さるべきものであるが、少なくとも国語教育の仕事が学問的になりつつあることは否定できないであろう。

 ところで、昨今では、ことばを中心とする「情報」の伝達手段の機能的更新によって、学校の内と外とを問わず、言語環境は大きく変貌しつつある。それは、必ずしも好ましい方向にだけ作用していないことは周知のところである。生活主体からのことばの遊離、ことばの洪水の中における語彙力の貧困、読み書き能力の低迷など、焦眉の問題が山積している。

 この時に当たり、私どもは将来の国語教育の追究の方向を誤りのないものにしたいと願う同時に、現在の問題の解明に直接に有効に作用する方法を決めるために、先覚からあらためて教えを受けたいと考えた。第二次世界大戦前の業績については、すでにいくつかの系統的な整理が試みられて刊行されており、現に恩恵を受けている。従って、今度あらたに、第二次世界大戦後の先覚の業績を直接の対象としたのである。

 もちろんこの仕事に際しては、諸先覚は私どもと同時代人であり、一つの立場から客観的に対象化しにくい困難さがある。その意味でも、私どもの力に余るところもあり、思わぬあやまちをおかす危険性を含んでいることも承知しているつもりである。にもかかわらず、識者の批正を得て、精いっぱいの仕事によって、一つの役を果たせるのではないかと考えたのである。今後、継続的な計画のもとに刊行される一冊、一冊の先覚の業績は、具体的で有力な指針を得ていくための一つの道標の役を果たし得るものであると考えるものである。


  一九八九年二月   編集委員 /渋谷 孝 /田近 淘一 /大槻 和夫

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      明治図書
    • 国語教育が時間に流される現在にあって、輿水実先生の考え方まで立ち戻って将来を考える基礎を確かめたい。
      2015/1/7

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