- まえがき
- 序章 新単元学習への私の願い
- 一 個別学習を支援する「学習の手引き」
- 二 交流活動……学習者一対一による対話の場
- 三 他教科・特別活動との関連
- T 『大きなかぶ』の読みにおいて応援歌をつくる(一年)
- 一 はじめに
- 二 単元の構成
- 1 単元の意義
- 2 単元のねらい
- 3 この単元で育てたい学力
- 4 学習材と学習活動
- 三 指導の実際
- 1 自己評価をもとに学習課題を作る
- 2 『大きなかぶ』の登場人物に応援歌をつくる
- 3 病気の友に応援歌をつくる
- 4 自分への応援歌(自己賛歌)をつくる
- 四 生活科『うちのひとだいすき』の実践
- 五 評 価
- 1 教師が行う評価
- 2 子どもが行う評価
- 六 まとめ
- U 『はたらく じどう車』の子どもパンフレットをつくる
- ──情報を生かして発信する(一年)──
- 一 はじめに
- 二 単元の構成
- 1 単元の意義
- 2 単元のねらい
- 3 この単元で育てたい学力
- 4 学習材と学習活動
- 三 指導の実際
- 1 学習課題をつくる
- 2 情報収集の方法を考える
- 3 全校生から本を集める
- 4 「子どもパンフレット」をつくる
- 5 替え歌づくりで説明文の構成をつかむ
- 6 説明文を書く
- 7 「もし・・・がなかったら」
- 8 自己評価・相互評価
- 四 おわりに
- V クイズで情報操作力を育てる
- ──説明文『めだか』『魚の身の守り方』の主体的学習(三年)──
- 一 はじめに
- 二 単元の構成
- 1 単元の意義
- 2 単元のねらい
- 3 この単元で育てたい学力
- 4 学習材と学習活動
- 三 指導の実際
- 1 教科書教材『めだか』『魚の身の守り方』からクイズをつくる
- 2 さあ、クイズにこたえて!
- 3 「わくわく水族園―クイズにちょうせん―」店開き
- 4 図書室そのものがクイズ箱 九三
- 5 説明文を書こう─モデルが思考をさせる─
- 四 評 価
- 1 教師が行う評価
- 2 子どもが行う評価
- 五 まとめ
- W 学習者が自らの力で言葉を獲得し、活用する手法
- ──『55言葉図鑑ゲーム』『おにたのぼうし』『ソメコとオニ』を学習材に(三年)──
- 一 はじめに
- 二 単元の構成
- 1 単元の意義
- 2 単元のねらい
- 3 この単元で育てたい学力
- 三 指導の実際
- 1 「55言葉図鑑ゲーム」
- 2 鬼の思いを三つの言葉で表そう
- 3 三つの言葉を話題にして読みを交流する
- 四 評 価
- 1 教師が行う評価
- 2 子どもが行う評価
- 五 まとめ
- X 子どもを主体的な学び手に
- ──「ことわざ」を学習材として(四年)──
- 一 単元について
- 1 単元設定の意図
- 2 ことわざの教育力
- 3 単元のねらい
- 4 学習材と学習活動
- 二 指導の実際
- 1 絵を読む
- 2 入れ替え制犬棒かるたとり
- 3 クロスワードパズルで
- 4 ことわざの創作
- 5 一日一ことわざ(ことわざのあてっこ遊び)
- 三 おわりに
- Y 「母とわたし」の思いを俳句にして
- ──その、指導と支援(五年)──
- 一 はじめに
- 二 単元の構成
- 1 単元の意義
- 2 単元のねらい
- 三 学習の実際
- 1 「指導中心のAの道すじ」から
- 2 「支援中心のBの道すじ」から
- 四 まとめにかえて……「A」「B」「AとB」の道すじから
- 五 おわりに
- Z 「学習の手引き」による文学作品の指導
- ──『川とノリオ』と対話する(六年)──
- 一 はじめに
- 二 単元の構成
- 1 単元の構造図
- 2 単元のねらい
- 3 この単元で育てたい学力
- 4 学習材と学習活動
- 5 指導の手立て
- 三 対話の実際
- 1 「二人の対話」(一対一で読みを交流)
- 2 「つかみOK」の表現
- 3 ニュースキャスターになって
- 四 まとめ
- 解説 /浜本 純逸
まえがき
「言葉の海で迷ったら、星を見て進むんだよ」と言って送り出した子ども(学習者)たちに、目的の港に着くことができる力をつけてやりたい。そして、目的の港に着いたときには、
言葉の力と
自己学習力が育ち、
自己(人間)・社会・自然の認識を深めている。
そして、「ああ、楽しかった。早くまた、航海がしたい」と言って言葉の海にでることを待ち望む。
そんな子どもの姿を願いとして単元を構想してきた。自分の中の指導観が以前と大きく変わったとつくづく思う。このような指導観の変革は、浜本純逸先生との出会いによるものである。一九九〇年、先生に校内研究(尼崎市立武庫庄小 学年共同研究)で『ごんぎつね』の最終場面の授業を見ていただく機会を得た。「ごんはうれしかったでしょうか、悲しかったでしょうか」をゆさぶり発問にした展開を参観された先生は、「今日のところは大変成功しているが、これから私が話すことについて意のあるところを汲んで下さい」と前置きされ、11項目について話された。その後、私は浜本先生の意のあるところの奥をじっくり知りたいと思い、先生主宰の「両輪の会」に加えていただいた。両輪の会では、これからの社会の展望とそれに対応する教育の在り方についてご指導いただく中で前述の指導言の奥にあるものを見定めていった。そして、新単元学習をめざすようになって四、五年になる。まだ、実践の数は少ないが、一つの単元を終える毎に子どもの姿に喜びを覚えてきた。新単元学習での喜びは、以前の指導法で得た喜びや満足感とは質がちがっていた。新単元学習では、学習に取り組む子ども全員が顔を輝かせる。子ども一人ひとり(全員)が学習の主体者であるからである。「必然の場」と「実の場」は、子どもが夢中になって取り組む中で学力を確かに育んでいる手応えがある。学習活動のいろいろな場面で思考・判断し自ら決定してきた子どもの内に、無意識に学習が子ども自身の責任において成立しているからであろう。自分の考えをもった子どもたちは、他者の考えを聞きたいと願う。自分と異なる気づきや考えに出会うと驚き、本文を読み直して確かめるなど次の主体的活動を開始する。そして、子どもの中に生き方が育つのである。
よい学習との出会いが子どもの生き方に及ぼす力は大きい。
私には、素晴らしいお二人の先生との出会いがあった。本書をまとめるに当たり、長年あたたかく育てて下さった浜本純逸先生に心よりお礼を申しあげたい。また、私が尼崎市教育総合センターの研究員であった当時、同センターの指導主事(現尼崎市教育委員会職員課管理主事)をしておられた小笹雅幸先生にずいぶんご教示いただいた。本書の実践の多くは、小笹先生にご指導を受けて実現したものであることを記して、感謝の意を表したい。
この度の出版に格別のご配慮をいただいた明治図書の江部満氏にあらためて感謝を申し上げる。
一九九八年一月三一日 /廣岡 なをみ
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- 明治図書