生きる力を育む実用作文5情報収集・活用力が育つ記録文・報告文の指導

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記録文・報告文を意欲的に書く技能・能力の指導/表現技術を磨く指導/書き方がわかる教科書教材の記録文・報告文指導の実際例、文種別指導例。


復刊時予価: 2,497円(税込)

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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-655501-X
ジャンル:
国語
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 152頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

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まえがき
第T章 実用的な文章表現技術の獲得
一 「生きる力」に連動する実用作文
二 子供の可能性と文章技術の指導
三 文種別作文指導のメリットと学習法
1 記録文の実用性と指導・支援のポイント
2 報告文の実用性と指導・支援のポイント
3 説明文・解説文の実用性と指導・支援のポイント
4 日記文・感想文の実用性と指導・支援のポイント
5 意見文の実用性と指導・支援のポイント
第U章 記録文・報告文を意欲的に書く技能・能力の指導
一 記録文・報告文で思考力・表現力を磨く指導法
1 記録文・報告文で育つ技能
2 各学年の重点指導事項
二 意欲的に書く題材を選ぶ
三 記録文・報告文の年間計画の作成と活用
1 教科書教材の活用と年間計画の作成
2 作文指導年間計画例
第V章 記録文・報告文の表現技術を磨く指導
一 「ポップコーンを作ったよ」
(見たり聞いたり、体験したことを順序をたどって書く)【報告文】〈第一学年〉
二 「春みつけたんけん」
(見つけた物を順序よく書く)【記録文】〈第二学年〉
三 「学校のひみつをたんけんして知らせよう」
(事柄ごとの区切りや中心を考えて書く)【報告文】〈第三学年〉
四 「インタビュー名人になろう」──働く人にインタビューして報告しよう──
(書きたいことを整理して書く)【記録文】〈第四学年〉
五 「ぼくたち・私たちにとって楽しい学校とは……」
(意図がはっきり伝わるように事実を明確に書く)【報告文】〈第五学年〉
六 「維新の町・探検記」
(目的に応じた文章を書く)【記録文】〈第六学年〉
第W章 「書き方が分かる」教科書教材の記録文指導の実際
一 「はなが さいたよ」生活科と関連した指導
二 「大きく育て野菜さん」生活科と関連した指導
三 「ヤモリをつかまえた」と関連した指導
四 「せいそう工場の見学」と関連した指導
五 「記録に残そう」と関連した指導
六 「今年の作文計画」と関連した指導
第X章 「書き方が分かる」教科書教材の報告文指導の実際
一 「ようすがわかるようにかく」と関連した指導
二 「じゅんじょをおって」と関連した指導
三 「まとまりを考えて」と関連した指導
四 「組み立てを考えて」と関連した指導
五 「構成をふまえて」と関連した指導
六 「環境保護と人間」と関連した指導
あとがき

まえがき

 激しく変化する社会に対応する「実用作文教育」の必要性
   ──子供の可能性を引き出し、文章力を高めるジャンル別の作文指導法──


 国語科の授業で習得した力が、他教科の学習で応用されなかったり、日常生活で必要に応じて役に立たないとしたら、それは生きて働く言語技術ではないと考えます。ある学校で、全教科を対象に「基礎・基本の定着」を研究テーマにして充実した研究活動を展開していました。その学校の学習指導案の本時の展開図には「要点をおさえて聞く話す読む書く」欄が設けられていたのです。つまり、理科や社会科・生活科等の全教科の学習で、国語の要点力・要約力等が働かないと、それぞれの教科の学力は獲得されないということを前提とした研究でした。

 「萬学の基礎」とも言われている国語科の授業で獲得した言語技術は、他教科の学習においては勿論のこと、日常の生活においても波及・応用されなければならないということを実証した研究だったのです。

 特に作文の授業で得た文章技術が、日々の言語生活で実際に駆使されているかについては明確な解答が出ない状況にあると思います。応用されるどころか、作文嫌いの子供も多く、目的や必要に即して、内容・形式の整った文章を書く技術が習得されていないのではないでしょうか。

 何となく役立っている──という考え方ではなく、どんな文章技術がどのような場面で、組織的・体系的に役立っているかということが的確に把握できないようでは、確実に言語技術が獲得される作文指導とはいえないはずです。

 このような見解は極端である──という声もあるかもしれません。勿論、作文の基礎的技術を耕しそれを生きて働く力として基本的能力に応用・波及するような意図的・体系的な指導をしている学校で学ぶ子供たちは、自力で作文力を獲得・創造することができます。しかし、意図的・計画的な作文指導体制のなかった学校で学んだ子供たちは、中学校・高等学校まで作文嫌いが続き、的確な文章を書く技術が身に付いていないことが多いようです。この現象は大学生にもみられると言われています。即ち研究論文を作成しても、それが生活文や感想文あるいは説明文であるかの弁別もつかないような文章しか書けない学生もいるということです。

 激しく変化していく社会においては、目的や必要に即して、意見文・説明文・解説文・感想文・手紙文・論説文等々の実用的なジャンルの文章技術が重要になってきます。

 現在の小学校における作文指導は、文種に応じた的確な指導法が確立されていないようです。例えば、事柄や事象を正確に相手に分かるように文章表現するためには、感想文や生活文的な発想でなく、論理的で説得力のある説明文で読み手に知的理解を図る必要があります。

 これまでは、低学年では生活文を中心に書く、中学年では説明文を中心に書く、高学年では意見文・感想文を中心に書く指導を──という考え方もありましたが、一年生でも興味のある事柄については意欲的に説明する場面も見かけます。二年生でも長文の感想文をまとめる子供もいます。このような実情を踏まえ、文章力を高めるためにも、新しい視点に立って授業改革をする必要に迫られています。子供たちには無限の可能性があります。既成の概念や方法にとらわれず二一世紀を拓く教育における実用作文の指導法を開拓しなければなりません。

 本書はこのような画期的な理念・理論・方法で企画しました。

 出版に際して、明治図書出版企画開発室代表江部満様に、企画から発行まで温かいご配慮と力強いご支援を賜りました。厚くお礼申し上げます。


   中京女子大学教授 /瀬川 榮志

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