総合的学習を支え活かす国語科2
教室プレゼンテーションの20の技術

総合的学習を支え活かす国語科2教室プレゼンテーションの20の技術

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教室プレゼンテーションの提唱に基づく20の技術を提案する。基礎技術、抑揚技術、構成技術、叙述技術、聴衆技術を解説し、プレゼンテーション技術を培う授業づくりを示す


復刊時予価: 3,267円(税込)

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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-629205-1
ジャンル:
国語
刊行:
2刷
対象:
小・中
仕様:
A5判 260頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

まえがき
T 〈教室プレゼンテーション〉の提唱
一 〈教室プレゼンテーション〉の提唱
1 とどかない声、伝わらない内容/ 2 「パワーポイント」に酔う/ 3 〈教室プレゼンテーション〉を提唱する
二 〈教室プレゼンテーション〉の定義
1 国語教室に飛び交う用語を定義する/ 2 まずは自分自身で〈定義〉を試みる/ 3 「プレゼンテーション」の由来を知る/ 4 先行の 〈定義〉を確認する/ 5 〈教室プレゼンテーション〉を定義する
三 〈教室プレゼンテーション〉の目的
1「プレゼンテーション」は〈見返り〉を期待する/ 2 〈教室プレゼンテーション〉は行動意欲を喚起する
四 〈教室プレゼンテーション〉のプランニング
1 〈教室プレゼンテーション〉には綿密な準備が必要である/ 2 〈教室プレゼンテーション〉の準備には六段階がある
五 〈教室プレゼンテーション〉と「伝え合う力」
1 新時代の学力──伝え合う力/ 2 「伝え合う力」の要素──五つの言語意識/ 3 〈教室プレゼンテーション〉は五つの言語意識を総合的に培う/ 4 〈教室プレゼンテーション〉の本質は「臨機応変」の対応にある/ 5 「臨機応変」の対応には具体的な事前準備が必要である
U 〈教室プレゼンテーション〉を支える聴衆分析
一 〈教室プレゼンテーション〉の聴衆
1 「プレゼンテーション」の聴衆/ 2 「プレゼンテーション」を支える聴衆分析/ 3 〈聴衆分析〉で何がわかるか/ 4 〈教室プレゼンテーション〉の聴衆分析/ 5 〈教室プレゼンテーション〉の聴衆分析チェックリスト
二 〈教室プレゼンテーション〉の聴衆──四つの類型
1 聴衆を〈総体〉としてとらえる/ 2 聴衆を把握するための四つの類型/ 3 〈教室プレゼンテーション〉に聴衆四類型を活かす
V 〈教室プレゼンテーション〉を支える二十の技術
一 〈教室プレゼンテーション〉技術──五つの系列
1 〈プレゼンテーション・スキル〉を知らなければ何もできない/ 2〈教室プレゼンテーション〉技術には五系列ある
二 〈教室プレゼンテーション〉の基礎技術
1 「安定した自然体」が安定した話力を形成する/ 2 たっぷり息を吸い込まなければ声は出ない/ 3 聞き手に声を届けるのは礼儀である/ 4 正しい口形が正しい発音を形成する
三 〈教室プレゼンテーション〉の抑揚技術
1 声を大きくしたり小さくしたり……/ 2 声を高くしたり低くしたり……/ 3 スピードを速くしたりゆっくりにしたり……/ 4 「、」では止まり、「。」では休む
四 〈教室プレゼンテーション〉の構成技術
1 わかりやすい話には「組み立て」がある/ 2 ひとまとまりの主張に通し番号をつける/ 3 ひとまとまりの主張を短文やキーワードにまとめる/ 4 「枕」で方向づける
五 〈教室プレゼンテーション〉の叙述技術
1 体験に即して語る/ 2 〈数字〉はマジックである/ 3 「反論・例外の想定」が相手への配慮を生む/ 4 「静」から「動」へと歴史は進化してきた
六 〈教室プレゼンテーション〉の聴衆技術
1 目は口ほどにものを言う/ 2 たまには〈お芝居〉も必要だ/ 3 聴衆に語りかける/ 4 人は楽しい話に引き込まれる
七 〈教室プレゼンテーション〉技術は組み合わせが「命」である
W 〈教室プレゼンテーション〉技術を培う授業づくり
A 基礎技術を中心とした授業づくり
一 教卓の前に立ってみよう /金子 理
1 聞き手の姿勢を再確認する/ 2 話し手の姿勢を考えさせる/ 3 姿勢を意識しながら、実際に声を出そう
二 声には「力」がある /堀 裕嗣
1 先生が見えないように後ろを向いて下さい/ 2 声をかけられたのはだれ?/ 3 ゲーム感覚の授業だからこそ指導事項を明確にする
三 「いい声」をつくろう! /小木 恵子
1 こんな声で話されたらどう思う?/ 2 ボソボソ、デレデレはダメ!/ 3 ほら、「いい声」になった!
B 抑揚技術を中心とした授業づくり
一 「定義スピーチ」で抑揚を鍛える /山下 幸
1 「思いつき」から「つじつま」へ/ 2 スピーチ構想に見る自由連想法/ 3 スピーチの基本は「双括型」で/ 4 抑揚の意識を高める「変化」
二 「適切な間」の効果を実感しよう /藤原 友和
1 力めばいいってもんじゃない/ 2 「適切な間」でひきつける/ 3 もう一度やってみると……
三 音楽記号で楽しいスピーチ /石川 晋
1 合唱指導から学ぶこと/ 2 CM紹介スピーチ/ 3 中学一年生のスピーチを中学二年生が検討する/ 4 音楽記号で抑揚計画をたてる
C 構成技術を中心とした授業づくり
一 「グループスピーチ」で構成技術を教える /大内 哲夫
1 スピーチ授業の新提案「グループスピーチ」/ 2 個別連鎖型グループスピーチ/ 3 小集団検討型グループスピーチ
二 委員会の内容を伝えよう /太布 智子
1 貴子さんの失敗に学ぶ/ 2 貴子さんよりもうまく報告するポイント/ 3 委員会の内容を伝える達人になろう
三 発表の三つの段階で伝えるワンポイントレッスン /板橋 友子
1 〈冒頭〉でひきつける/ 2 具体的な説明で〈中心〉を充実させる/ 3 自分たちにしか見えないことで〈最後〉をしめる/ 4 全員に発表させる工夫をする/ 5 子どもたちに工夫の余地を残す
D 叙述技術を中心とした授業づくり
一 「テレビ・ショッピング」番組をつくろう! /浅野 克実
1 〈データ〉の効力を知る/ 2 セールス・ポイントは何だ?/ 3 「読む」「見せる」だけでなく、「うったえる!」/ 4 二回目だってびっくりさせられる/ 5 〈データ〉の効果を検討する
二 聴衆を意識して「エピソード」を盛り込む /對馬 義幸
1 技術を身につけさせるには?/ 2 どちらが伝わりやすい?/ 3 なぜ伝わりやすい?/ 4 相手に伝わった?/ 5 より伝わるように
三 〈モノ〉を使った「友人代表スピーチ」 /森  寛
1 花言葉は「わたしは幸せすぎる」/ 2 「自分の長所」をひとことで言い切る/ 3 「エピソード」で長所を伝える/ 4 「読むスピーチ」ではなく、「語るスピーチ」を/ 5 〈モノ〉の効果的な使い方を検討する
E 聴衆技術を中心とした授業づくり
一 視線を「8の字」に動かそう! /田中 幹也
1 「先生はいつも上の方を見て話すね」/ 2 セールストークでやってみせる/ 3 エクササイズ/ 4 「8の字」に動かす/ 5 留意点
二 「笑い」を入れて聴衆を惹きつける /藤澤 賢治
1 話すときは相手の目を見て/ 2 失敗は成功のもと/ 3 習うより慣れよ
三 キャッチコピー・プレゼンテーション /中村 貴子
1 惹かれるキャッチコピーとは?/ 2 聴衆を知るには……/ 3 どんなCMをつくる?/ 4 リハーサルで大失敗/ 5 さあ、どうなる
あとがき

まえがき

 私は新卒のころから、「発表学習」が好きだった。

 子どもたちが独自に調べたことを教室の前に出て発表する──こういった授業が、すべての子どもたちに「国語力」を、特に「音声言語の力」をつけると信じていた。

 年に十回程度の「発表学習」を、何年にもわたって実践した。

 子どもたちは回を重ねるごとに力をつけていく……はずであった。なのに、事態はいっこうにそうはならない。

 「調べ学習」が足りないのかと思い、その時間を増やしてみた。しかし、子どもたちは「調べ学習」の時間を増やせば増やすほど、その時間に飽きてしまっているように見えた。

 題材が興味を引かないのかと思い、漫画やイラスト、写真集といった〈視覚〉に訴える資料を与えもした。しかし、子どもたちは一時は盛り上がるものの、やはり長続きはしないのである。

 「発表学習」の質は、発表の内容の質もさることながら、もっと基本的な「話し方の技術」に影響されるのではないか。そう考え始めるまでに五年の歳月が流れていた。


 私はまず、音声言語関係の教育書を買いあさった。先達は「発表学習」をどう工夫してきたのだろうか、と調べたかったからだ。また、「発表学習」を伴う公開研究会の授業をできるだけ参観した。こういった活動を二年も続けただろうか。そして、私は次のような二つの現状に気づいた。


1 どうやら、「発表学習」の実態は、どの学校でもどの学級でもあまり芳しくないようだ。その証拠に参観したどの授業も自分の学級と大差はなかった。

2 「発表学習」に関する教育書は、どれも理念的なことは書いてある。また、指導すべき「観点」は書いてある。しかし、どのように指導すればよいのかは書いていない。もちろん、指導法が書かれてある教育書もあるにはあった。しかし、それはそのまま子どもたちに指導できるようにかみ砕いた言葉では書かれていないようだ。


 そして、私の得た結論は次のことだった。


  子どもたちに指導すべき「話し方」の技術は、自分で整理するしかないようだ。


 こうして、私が「話し方」の技術を整理するために、本格的に勉強を始めたのは教師生活八年目の四月からである。

 まず私は、「話し方」「スピーチ」「説得」「プレゼンテーション」などという名のついたビジネス書を買いあさった。百冊以上買ったが、金額はそれほどはらなかった。誤解をおそれずに言えば、ビジネス書は「読み捨ての書物」である。わざわざ新刊を買わなくても、「二分の一ブックス」や「ブックオフ」といった古本屋で、一冊百円で売っているのである。とにかく買って、片っ端から読んでいった。

 と同時に、私は毎日の授業の中で、子どもたちの「話し方」を徹底して分析した。そして、自分の指導を分析し始めた。子どもたちは何ができないのか、なぜできないのか、どういう指導をしたときに進歩があったか。

 こういった努力を積み重ねるうち、私にも少しずつ見えてきた。

 その結果、私は四年の歳月をかけて研究した成果として、「話し方」の技術を五系列二十に整理することに成功した。平成十二年八月のことである。


 本書は、私の整理した五系列二十の技術をサークルに提案し、サークル員の協力を得ながら実践的に検証した結果生まれたものである。多くの授業実践が中学校における実践だが、かなり基礎的な指導事項が多いので、小学生にも適した内容になっている。

 本書が、生き生きとした「発表学習」を展開させたいと願う多くの教師にとって、少しでも役立つならば、これにまさる幸せはない。


  平成十四年四月三日   「研究集団ことのは」代表 /堀 裕嗣

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      明治図書
    • 今年大学を卒業し、念願の教職に就いた者です。小学生からの夢であった教師という仕事ですが、その奥深さと「授業」の難しさを恐ろしいほどに感じながらも日々 模索し、努力している次第です。
       
       そんな中、中学2年生に対し、教科書の中の教材「プレゼンテーションをしよう」という単元で一体、どんな授業を組み立てればよいのか、全く検討もつがず、出口のないトンネルの中でさまよっていた私に出口への光を与えてくれたのが この本でした。
       

       指導すべき事項が具体的。何をどう教えたらどんな力がつくのか、明快。
       
       しかも、すぐに使える。明日の授業ですぐに使えるものばかり。
       実際にこの本の中で紹介されている授業を実践してみたところ、日常生活と結びつきがあったり、身近でしかも現実的な点がわかりやすさにもつながったようで、生徒の反応はとても良かった。教えている自分も楽しかった。


       活動あって指導なし。


       そんな授業から抜け出したい方に是非読んで頂きたい本です。
      2006/11/26のんの

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