読書力をつける 下巻
読書活動のアイデアと実践例16

読書力をつける 下巻読書活動のアイデアと実践例16

好評6刷

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読書力を理論的に体系付け、実践を展開。実践のためのアイデアを90例網羅、その中から16を実践、考察。コラム・図書資料多数収録。評価規準に基づく指導案と評価。


紙版価格: 2,400円+税

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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-628702-3
ジャンル:
国語
刊行:
6刷
対象:
小学校
仕様:
A5判 196頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2020年1月29日
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目次

もくじの詳細表示

前書き――全ての教師と司書活動のために
1 人物を読もう
一 人物を読むという読書活動
1 子どもたちは個性を楽しむ
2 人物を多面的にみるおもしろさ
二 プロファイリングの方法
三 プロファイリングの観点を活用した授業のアイデア
実践例 10 名コンビをさがせ/ 11 物語の世界へ出かけよう
コラム 人物相関図一〇のパターン
2 この本読んでみませんか
―読書紹介活動―
一 読書紹介活動の広がり
二 読書紹介活動が育てるもの
三 読書紹介活動を多様化する
1 読書紹介の様々な活動一覧
2 読書紹介活動についての調査
3 読書紹介活動のアイデア
四 相手意識や目的意識を持たせた紹介文の書き方
実践例 12 読みたくなるような紹介文を書こう/ 13 本屋さんになってポップを作ろう
コラム 紹介文を飾る「ことば」たち
3 記念館活動を通して読書活動を総合する
一 記念館とは
二 実際の記念館の催し
三 読書行為を促す記念館活動
1 作家に着目する
2 作品に着目する
3 情報の映像化
4 イベント的な読書活動
5 作家、作品に関連する印刷物やグッズを制作する
6 記念館を運営する
四 記念館活動のアイデア
実践例 14 あまんきみこ記念館を開こう
コラム 火野葦平旧居探訪記 ――人々の思いが支える文学館――
4 読書記録活用術
一 読書記録を生かす
二 読書記録の見出し
三 読書記録活用のアイデア
1 読書マラソンカード
2 読書マップ
3 読書日記
4 読書データベース
5 その他の読書記録
実践例 15 偉人伝を読み、生き方を考えよう/ 16 読書して感じたことを交流しよう
コラム 読書記録アラカルト
付録 子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画
読書活動のアイデア90一覧

前書き

全ての教師と司書活動のために

 国語力の確かな定着が、最近話題に上ることが多い。だが、それは時代を超えての社会的要求でもある。何故なら、国語力は、人間となるための言語能力を与える営為であるからだ。言語能力は、人間に認識力や思考力を与え、文化や芸術を創造する力を拓く。言語能力は、〈自己理解〉や〈自己表現〉を他者から学ぶと同時に、他者に伝える力を与える。これらの言語能力は、一人一人にとって母国語となり、全ての生きる基盤ともなる。もし、それが日本であるのならば、母国語習得は、日本語力でもある。日本語の歴史を伝承し、活性化させる役割も要求するが、一部には伝承が崩壊し、豊かな日本語が途絶えたりもしている。

 読書力は、このような国語力の一つとして重要な領域となるものだ。読書行為力と読書生活力を統合し、「読者としての子ども」という言語主体を育成する課題が聳えている。従って、断片的な読書技術の習得をもって事足れりとするほど単純ではない。作品を読み、内容をまとめたり、感心したり、あるいは情報を得るだけのような読み方しか知らない、あるいは教えない、のでは、豊かな読書力を育てることは出来ない。

 そこで、読書力はどのように育成されるべきか、理論的な根拠として文学理論である読者論を援用しながら、「読者としての子ども」育成のための授業方法を提唱してきたのであった。


1 『実践国語研究別冊 「一つの花」の教材研究と全授業記録』編著、明治図書、一九九一年

2 『読者としての子どもと読みの形成―個を生かす多様な読みの授業―』明治図書、一九九三年

3 『実践国語研究別冊 「ヤドカリの引っこし」・「ありの行列」・「『わたし』とはだれか」の教材研究と全授業記録』一九九三年

4 『実践国語研究別冊 「きりかぶの赤ちゃん」の教材研究と全授業記録』編著、一九九四年

5 『読者としての子どもを育てる文学の授業―文学の授業研究入門―』明治図書、一九九五年

6 『実践国語研究別冊 読者としての子どもを育てる文学の授業集成1』編著、一九九五年

7 『実践国語研究別冊 読者としての子どもを育てる文学の授業集成2』編著、一九九六年

8 『多様な読みの力を育てる文学の指導法』低・中・高学年編、全3巻、明治図書、一九九八年

9 『くどうなおこと子どもたち―詩人の生き方・子どもの読み方―』編著、明治図書、二〇〇一年

10 『文学の授業力をつける―7つの授業と自己学習を進める学習資料 ―』明治図書、二〇〇二年


 これらにおいては、作品を選択する力はもとより、多様な読書行為を可能とする言語活動を具体化してきた。教科書を中核とする読書行為に読書生活を拓いていくような授業構想を行ってきたのである。教科書教材では、精読したり、それらをモデルとして表現活動を展開したりする。これらと並行して、多彩な読書活動を行い、精読に役立つようにした。精読から多読への過程ではなく、多読と精読が相互に有効に働くように工夫しているのである。

 一方、国語力のもう一つの重要な領域である表現力の育成についても、次のような文献において提唱を行ってきた。


1 『実践国語研究別冊 「話す力・聞く力」を育てる国語科授業』編著、明治図書、一九九六年

2 『総合的な読みの力を育成する国語科の授業』編著、明治図書、二〇〇〇年

3 『実践国語研究別冊 総合的な学習を支える自己表現力の育成』編著、二〇〇一年

4 『ことばが生まれる―伝え合う力を高める表現単元の授業の作り方―』明治図書、二〇〇二年


 表現力についても、同様に表現行為に表現生活が結合するように関連付けて構想してきたのであった。単発の表現活動ではなく、日常化することが表現力の育成には重要だからだ。特に、自己表現を重視し、オリジナルを目指すことで創造力につながるように工夫してきた。

 最近、国語力を充実させるために多くの努力が払われるようになった。二〇〇二年、新しい学習指導要領による教育課程の実施。文化庁においては、「これからの時代に求められる国語力について」(二〇〇二年二月二〇日)が諮問されている。二〇〇二年八月には、「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」が策定され、今後は、各自治体における取り組みが始まる。各学校においては、二〇〇三年度から、一二学級以上の学校で確実に司書教諭が配置される。

 本書は、このような流れに応じ、国語力育成という広い視野に立って「読書力をつける」ことをテーマに編集した。本書の特徴は、次のようなところにある。


(1) 読書力を理論的に体系付け、それらに応じた実践を展開した。

 従来からある指導方法については、新しい視点で工夫した。例えば、読書紹介などでは、紹介のための評価語彙を入れる、など。また、従来あまり行われなかった「人物のプロファイリング」や「記念館活動」といった新しい指導方法を開発した。

(2) 実践のためのアイデアを九〇例網羅した。

 従来提唱したアイデアに加え、本書で構想したアイデアを合わせて、各領域の読書活動を網羅した。

(3) 九〇例の中から一六の実践を行い、実践についての考察を行った。

 本書で新たに構想したアイデアの中から一六の読書活動を実践し、考察も含めた具体的な展開を示した。

(4) 新しい評価規準に基づく学習指導案の構想及び評価を行った。

 多彩な読書活動を通してどのような読書力を定着させるのか、平成一〇年版学習指導要領で示された新しい学力観に立った学習指導案、特に、評価規準を明示したもの、を示し実践展開した。

(5) 読書活動に関連するコラムや図書資料も多く収録した。

 「入門期の学級文庫」、「速読にチャレンジ」、「人物相関図」、「読書記録アラカルト」など、読書活動を支える参考となるようにコラムや図書資料を示した。


 読書力と言えば、直接的には理解領域が関係するが、表現領域における取材にも関連することから、国語力全般に関わるものとした。また、「読書」としているが、対象となるテクストは、文献資料のみならず「読むこと」の力に関わり、「マルチメディアテクストを読む」力を付けるものである。当然、その結果教科書以外の作品やメディアテクスト、あるいは、文字言語に加え、音声言語も対象となる。司書活動としての視野を持ち、全ての教師が取り組まなければならないことが、これらの対象からもよく分かるのである。


 本書は、私が主宰する「国語教育カンファランス」の北九州支部との共同研究の成果である。「北九州国語教育カンファランス」は、一九九五年六月二四日に発足し、様々な実践研究を発表してきた。まとまったものとしては、『多様な読みの力を育てる文学の指導法』低学年編の「お手紙」の実践研究を担当している。

 本書のテーマとなる読書力育成の読書活動研究は、一九九八年から始まる。五年間にわたる研究は、次のような過程を辿った。


(1) 一九九八・一九九九年―読書力の体系化についての研究。

(2) 二〇〇〇年―読書の体系に即した教材開発として、体系表に応じた妥当な教材を収集する。

(3) 二〇〇一・二〇〇二年―読書活動の授業構想と予備実践から本実践。さらに執筆。推敲から完成。


 この間には、月例会の研究に加え、多くの合宿を行った。一九九八年四月長崎ハウステンボス、一九九九年二月大分・湯布院、二〇〇〇年三月沖縄、二〇〇一年一一月長崎、二〇〇二年四月熊本・黒川、などそれぞれの段階での研究課題を持って臨んだ。厳しい日程の中で夜遅くまで何度も構想したり、推敲したりした当時の様子が今も思い浮かぶ。長期に亙る厳しい指導に耐え、本書の原稿を完成させた北九州国語教育カンファランスの研究会員の努力に、敬意と賞賛を送りたい。実践現場にあって、子どもの指導に躓いたり悩みを抱える時もあったろうが、多様な実践で見せる子どもの笑顔だけをエネルギーとして実践を試行する姿に、指導する私の方がリードされる気持ちであった。体系的研究、教材収集、構想及び実践、研究やコラムの執筆、何度も各グループで集まっての下準備、など、費やした時間の大きさに感動すら感じるのである。

 五年の間に状況も変化した。五年前には、まだまだ中核教材一つの作品を読むことが中心であったが、読書活動が不十分であること、読書力が弱いことを受けて、今は読書活動の推進が追い風となっている。本書の刊行が、そのような流れの中で少しでも積極的な役割を果たすことを期待して止まない。なお、本書は、上・下巻に分冊しているので、前書きは両巻に、序文は上巻にのみ収録した。

 最後に、本書の刊行に当たっては、明治図書の石塚嘉典・松本幸子氏にお世話になった。完成原稿をどのように世の中に送り出すか、最後の仕上げが大きな影響を持つ。美しく特徴のある上・下巻にまとめて下さったことに深い感謝を申し上げたい。


  二〇〇二年一〇月   /井上 一郎

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