数学科新授業メソッド 習得・活用・探究型学習のプリント教材 1年

数学科新授業メソッド 習得・活用・探究型学習のプリント教材 1年

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「習得・活用」「活用・探求」の二本立てで効果的な学習法を提案

数学科の改訂で打ち出された授業方法の新しいアイテム。その習得・活用・探究という学習の流れにそった確かな学力育成に役立つ1年の教材を、コピーしてすぐに使える形に編集してお届けする、役立つ授業の参考資料。この1冊が力になる。


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ISBN:
978-4-18-596898-0
ジャンル:
算数・数学
刊行:
対象:
中学校
仕様:
B5判 104頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

まえがき
1章 なぜ数学科で活用・探究型学習なのか
§1 数学科における効果的な学習法
1 数学科学習への批判
2 数学科学習の原理
§2 習得型学習・活用型学習・探究型学習
1 教育課程部会の報告
2 習得型学習の必要性とその目的
3 活用型学習の必要性とこれまでの対応
4 探究型学習の必要性とその在り方
§3 全国学力・学習状況調査
1 「全国的な学力テスト」の背景とそのねらい
2 全国学力テストの実際
3 問題に込められたメッセージの読み取り
2章 数学科学力観の転換と活用・探究型学習
§1 学力観の転換
1 臨時教育審議会の第一次答申
2 第15期中央教育審議会の答申
§2 学力低下論の台頭
1 大学生の数学力
2 大学生の学力の実態
§3 数学的リテラシー
1 PISA2003,TIMSS2003ショック
2 PISAの評価の枠組み
3章 習得・活用・探究型学習の指導とプリント教材
§1 正の数と負の数
出題のねらいと評価規準/ 解答例と予想される反応・設定通過率
評価に当たっての留意点/ 学習指導上の留意点/ 遅れがちな生徒への配慮のポイント
〔正の数と負の数〕
§2 文字の活用
出題のねらいと評価規準/ 解答例と予想される反応・設定通過率
評価に当たっての留意点/ 学習指導上の留意点/ 遅れがちな生徒への配慮のポイント
〔文字の活用〕
§3 1次方程式
出題のねらいと評価規準/ 解答例と予想される反応・設定通過率
評価に当たっての留意点/ 学習指導上の留意点/ 遅れがちな生徒への配慮のポイント
〔1次方程式〕
§4 基本の作図
出題のねらいと評価規準/ 解答例と設定通過率
学習指導上の留意点/ 遅れがちな生徒への配慮のポイント
〔基本の作図〕
§5 図形の移動
出題のねらいと評価規準/48 解答例/ 評価に当たっての留意点
学習指導上の留意点/ 遅れがちな生徒への配慮のポイント
〔図形の移動〕
§6 空間図形
出題のねらいと評価規準/ 解答例と設定通過率
評価に当たっての留意点/ 学習指導上の留意点/ 遅れがちな生徒への配慮のポイント
〔空間図形〕
§7 変化のとらえ方
出題のねらいと評価規準/ 解答例と設定通過率
評価に当たっての留意点/ 学習指導上の留意点/ 遅れがちな生徒への配慮のポイント
〔変化のとらえ方〕
§8 比例・反比例
出題のねらいと評価規準/ 解答例と予想される反応・設定通過率
評価に当たっての留意点/ 学習指導上の留意点/ 遅れがちな生徒への配慮のポイント
〔比例・反比例〕
§9 資料の収集と活用
出題のねらいと評価規準/ 解答例と予想される反応・設定通過率
評価に当たっての留意点/ 学習指導上の留意点/ 遅れがちな生徒への配慮のポイント
〔資料の収集と活用〕
探究課題「0で割ること」
「0で割ること」について
出題の意図/ 解答例/ 採点の基準/ 学習指導上の留意点
題材の発展と開発の方法
探究課題「負の数を掛けること」
「負の数を掛けること」について
出題の意図/ 解答例/ 採点の基準/ 学習指導上の留意点
題材の発展と開発の方法
探究課題「直線による分割」
「作図」
「直線による分割」「作図について」
出題の意図/ 解答例と解説/ 採点の基準/ 学習指導上の留意点
探究課題「ひもの長さ」
「体積」
「ひもの長さ」「体積」について
出題の意図/ 解答例と解説/ 採点の基準/ 学習指導上の留意点
探究課題「水量」
「時間と回転する角度」
「水量」「時間と回転する角度」について
出題の意図/ 解答例と解説/ 採点の基準/ 学習指導上の留意点
探究課題「オリジナルTシャツの制作」
「オリジナルTシャツの制作」について
出題の意図/ 解答例/ 採点の基準/ 学習指導上の留意点
探究課題「テストの得点」
「テストの得点」について
出題の意図/ 解答例/ 採点の基準/ 学習指導上の留意点
探究課題「相関関係」
「相関関係」について
出題のねらいと評価規準/ 解答例と予想される反応・設定通過率
評価に当たっての留意点/ 学習指導上の留意点/ 遅れがちな生徒への配慮のポイント
探究課題「二つの変量x,yの関係」
「二つの変量x,yの関係」について
出題の意図/ 解答例/ 採点の基準/ 学習指導上の留意点
題材の発展と開発の方法

まえがき

 報道によりますと,「自ら学び自ら考える力」というメッセージが学校現場に混乱をもたらし,結果として「ゆとり教育」の偏重という,文科省が思い描かなかった誤解を生じたとの反省に立った改訂のように伝えられています。

 しかし,このメッセージは,「生きる力」の中核として継承されるわけですから,このメッセージがもたらした災いのように,単純化してしまうのでは,納得しにくいところが残ります。

 また,反省しているのはよいのですが,一方的に,学校現場の混乱のせいにしてしまっては,常識的には,ほとんど反省の体をなしていないようにも思われます。

 理由を説明しにくい,聞いて素直に納得しにくい改訂といえるのではないでしょうか。

 「要求が多く,あれこれ取り込み,構造が複雑になって,分かりにくい」と言われるのではないかと懸念されます。

 「要求が多い」のは,教育基本法を改正して,20もの徳目を目標として掲げたことによるものと思われます。

 「あれこれ」というのは,前回の改訂で厳選を強要して,学力低下の批判を受けたことに懲りて,習得も活用も探究もと手を広げざるを得なかったことによるのでしょう。

 このような状況のもとで,指導方法の改善をも促そうとすると,「構造は複雑」にならざるをえなかったと想像されます。

 結果として,実践者の立場からは,主張が焦点化しにくく,目指すところが絞り込みにくいとの印象を受けざるをえませんから,「分かりにくい」ということにならざるをえないのではないでしょうか。


 このような状況のもとで,学校現場の混乱を最小限にとどめるにはどうすればよいかについて,真剣な検討が必要であると考えました。

 「要求が多い」と「あれこれ」については,可能な限り「焦点化」を図りました。

 例えば,習得も活用も探究もについては,次のように二つにまとめて考えることにしました。

 数学科においては,基礎・基本の習得が欠かせないことは,ご承知の通りです。だが,活用(あるいは,ここでは応用)を前提にしない習得は考えにくいのです。一次関数を学習したとしても,グラフをかいてみるだけでは,それほど役には立ちません。身のまわりの事象の解明に用いてはじめて意味が納得できるのではないでしょうか。このように考え,まず,習得・活用(応用)を図ることにしました。

 「習得・活用」は,数学の内容から発した学習です。従来は,数学科としては,これさえしっかりできれば,将来,必要になったときに活かされるであろうと楽観的であっても許されていたのでした。

 だが,前回の改訂で,特に露骨な批判を受けることになったのですが,「小説を書くのに,2次方程式はいらない」などが,取り上げられるようになりました。となりますと,解決すべき課題から発して,解決するために数学の内容が必要であることを示すことが求められるようになったと覚悟しなければならないようです。

 これに応えるために,「探究課題」をおいて,数学の活用を図る「活用・探究」によって,生徒の能力・適性に応じた取り組みができるようにしました。

 「活用・探究」は,課題から発して活用できる数学の内容へたどり着く学習です。

 このようなことから,「習得・活用」については,通常の学習の順序に配列し,繰り返し学習することによって,「完全取得」を期することとしました。

 一方,「活用・探究」については,生徒の興味・関心・能力・適性による選択を原則と考えましたので,学習の順序には必ずしもこだわってはいません。

 「習得・活用」と「活用・探究」の2本立てで計画を進めることが必要と考えました。


 「複雑で」「分かりにくい」例として,「数学的活動」を取り上げてみましょう。

 前回の改訂において,目標に「数学的活動の楽しみ」の文言が初めて登場しました。ここでは,生徒が楽しむことができるような理想的な数学の学習として期待されていたようです。これを,数学的活動@(目標概念として)と表すことにしましょう。

 今回の改訂では,目標の冒頭に「数学的活動を通して」が入りましたので,数学のすべての学習は,数学的活動を通して行われることを期待していると読み取ることもできますので,これを,数学的活動A(方法概念として)と表すことにしましょう。

 ところが,さらに,各学年の内容のA,B,C,Dに続いて〔数学的活動〕が新たに登場し,「数学的活動に取り組む機会を設けるものとする」となっています。これは,数学的活動@,数学的活動Aとは違うもののようですから,数学的活動B(内容概念として)と表すことにしましょう。

 ここで,数学的活動Aには「習得・活用」を,数学的活動Bには「活用・探究」を対応させて,この両者をバランスさせることにより,数学的活動@の実現を期すると考えるようにすれば,もつれた糸をほぐすこともでき,これで十分とも言えそうです。

 利用の方法についてご検討いただき,ご叱正いただきますようお願いいたします。


   編者 /正田 實

著者紹介

正田 實(しょうだ みのる)著書を検索»

21世紀数学教育研究所長

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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