- ○まえがき○
- 1章 図画工作科における絶対評価の基本
- §1 観点別学習状況の絶対評価
- §2 評定の絶対評価
- §3 授業の中の絶対評価― 事前・事中・事後の評価
- §4 評価計画と評価のポイント
- 2章 図画工作科全学年主要題材の絶対評価の実際
- §1 第1学年の主要題材の絶対評価の実際
- 1 ざいりょうとなかよし(4時間)
- 2 たのしかったよ(3時間)
- 3 みて みて いっぱいつくったよ(2時間)
- 4 わくわくすいぞくかん(6時間)
- §2 第2学年の主要題材の絶対評価の実際
- 1 うつして うつして(2〜6時間)
- 2 すてきながようし みつけたよ(4時間)
- 3 おはよう,とうめいライオンさん(4時間)
- 4 ボトルのへんしん(6時間)
- 5 だいすき たからものばこ(4時間)
- §3 第3学年の主要題材の絶対評価の実際
- 1 長ーい紙,つくって(2時間)
- 2 しゅ人公になって(5時間)
- 3 木切れ,あつまれ!(6時間)
- 4 布から生まれた(4時間)
- §4 第4学年の主要題材の絶対評価の実際
- 1 むすんで,つないで,それから…(2時間)
- 2 気がつくとそこにいた,ひみつの話(6時間)
- 3 彫ったり刷ったり(8時間)
- 4 友だちみたいなうちゅう人(6時間)
- §5 第5学年の主要題材の絶対評価の実際
- 1 布,ふくらむゆめ(4時間)
- 2 ときめきのしゅんかん(6時間)
- 3 あなあけタワー(2時間)
- 4 アートにちょうせん(4時間)
- §6 第6学年の主要題材の絶対評価の実際
- 1 光のマジックダンス(4時間)
- 2 みんなに伝えよう(6時間)
- 3 板を生かして(8時間)
- 4 くらべてみると(2時間)
まえがき
これからの社会に生きる子どもたちには,豊かな感性と創造性を育てる教育が一層重視されなければならない。心豊かな人間性の基礎を形成する小学校教育では,造形的な創造活動によって柔軟な発想や表現,創造的な技能を培い,感性と知性の調和を図る教科指導として図画工作科教育の果たす役割は重要であるといえる。
図画工作科では,教科の基礎・基本となる目標や内容と関連させた題材を通して,子ども自らが創造活動を楽しみながらつくりだす喜びを実感し,造形的な基礎能力を身に付けることがねらいである。
◎授業を充実させる
厳選された教育内容,限られた時間数の中で,造形的な創造活動の基礎・基本となる資質や能力を育成するために,次のような点を考慮し,図画工作科の授業を充実させることである。
・図画工作科の目指す目標と子どもの理解
・学習内容の組織化,重点化
・題材の選択と開発
・指導と評価の計画を明確にした授業づくり
・多様な活動に対応する指導方法の工夫
・子どもを生かす指導と評価の一本化
・絶対評価のあり方,方法の工夫
○目標と内容を明確にした授業
授業で,子どもにどのような資質や能力を身に付けさせたいのかを明確にすることである。そのためには,2学年にまとめて示された目標と内容を踏まえ,今目の前の子どもたちに,どの内容を取り上げることが適切なのかを判断して題材を選択することになる。この2年間は,子どもの成長や発達による変容をとらえながら,どのような全体計画をもとに,題材を関連させ,個に応じた指導と評価を展開していくか,毎時間の授業を工夫改善していく必要がある。
○子どもを生かす指導と評価の一本化
子どもの創造活動の広がりや深まりに応じて内容を弾力的に扱う題材が求められる。多様な材料や表現方法の広がりが見られる活動に対応する指導と評価の一本化が重要である。一人一人の表現の意図や方向などを把握し,目標に照らして個に応じた指導と評価を工夫して創造活動による自己実現を後押ししていくことができるようにする。
○これからの評価
平成13年度児童指導要録の改訂で示された,これからの評価の基本的な考え方を次のようにまとめることができる。
・学習指導要領に示す目標に照らして実現状況を評価,評定(いわゆる絶対評価)する。
・観点別学習状況の評価を基本とする。
・子どものよい点や可能性,進歩の状況を肯定的にとらえ個人内評価する。
これからの評価は,教師に「何をどのように学ばせたか」「何をどの程度身に付けさせたか」が問われるとともに,指導の改善に役立てるものとすること。また,子どもが「何を学んだのか」「何がわかり,何ができるようになったか」「どのように学んだらよいか」を自分で振り返って評価する力を付け,学習の改善に役立てるものとすることが求められている。
○目標に照らした評価(いわゆる絶対評価)
ここで示された絶対評価とは,教科の目標や内容に照らし,その実現状況を見て評価するものである。指導要録に示された各教科の観点別学習状況による評価と評定を絶対評価に転換することになった。したがって,4つの観点から分析的な評価と総括的な評価を行い,工夫し,学習や指導の改善に生かせるものにする必要がある。そこで,絶対評価を行うには,評価の拠り所として評価の尺度となる評価規準を作成することになる。評価規準は,各学校が次に示す資料を参考にし,子どもの実態などを踏まえ作成するものである。
・小学校学習指導要領・第7節図画工作および同解説・図化工作編
・教育課程審議会答申(平成12年4月)
・評価規準,評価方法等の研究開発<国立教育政策研究所>など
評価は学習や指導を改善するためのものである。実践を通して検証,修正し,より適切なものとするための研究開発を継続していかなければならない。
本書が,各学校の図画工作科の評価規準の作成の手掛かりや参考となることを願い,各学年の主要な題材を取り上げ,その評価規準を示し,絶対評価ができるようにした。この実践事例をもとに,よりよい授業と指導,評価の工夫改善に役立つようするため,ご意見,ご指導を賜りたくお願いする次第である。
末筆になりましたが,ご多用のなか玉稿を賜りました諸氏に対して心からお礼申し上げます。また,企画の段階からお世話になりました明治図書の安藤征宏氏,増渕説氏に対し,特に名を記して感謝の意を表します。
2003年9月 編者 /片岡 眞幸
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- 明治図書