目次
- ○はじめに 新しい算数授業のキーワード「算数的活動」と「活用力」
- 序章 第１学年・算数科の指導のねらいと重点
- １ １年での算数指導の主なねらい
- ２ １年「Ａ 数と計算」の重点
- ３ １年「Ｂ 量と測定」の重点
- ４ １年「Ｃ 図形」の重点
- ５ １年「Ｄ 数量関係」の重点
- Ⅰ 第１学年・算数的活動の効果的な指導
- １ 算数的活動の意義
- ２ 算数的活動のパターン
- ３ 算数的活動を進めるポイント
- Ⅱ 第１学年・算数的活動の実際
- １ 具体物をまとめて数えたり，等分したりし，それを整理し，表す活動
- ■１ いくつあるか かぞえましょう
- ■２ おなじ かずずつ わけましょう
- ２ たし算の意味を具体物，言葉，数，式，図を用いて表す活動
- ■１ ふえると いくつになるか
- ■２ あわせると いくつになるか
- ３ ひき算の意味を具体物，言葉，数，式，図を用いて表す活動
- ■１ のこりは いくつになるか
- ■２ どれだけ おおい
- ４ たし算（９＋４）の計算の仕方を考え，具体物，言葉，数，式，図を用いて表す活動
- ■１ けいさんの しかたを かんがえよう
- ■２ けいさんの しかたを かんがえよう
- ５ ひき算（13－９）の計算の仕方を考え，具体物，言葉，数，式，図を用いて表す活動
- ■１ けいさんの しかたを かんがえよう
- ■２ けいさんの しかたを かんがえよう
- ６ たし算やひき算の問題を作る活動
- ■１ たしざんの もんだいを つくる
- ■２ ひきざんの もんだいを つくる
- ７ 身の回りにあるものの長さを直接比べたり，他のものを用いて比べたりする活動
- ■１ ながさを くらべよう
- ■２ どちらが どれだけ ながいでしょう
- ８ 身の回りにあるものの面積や体積を直接比べたり，他のものを用いて比べたりする活動
- ■１ おおきさ くらべ（ひろさ）
- ■２ おおきさ くらべ（かさ）
- ９ 身の回りのいろいろな形を見つける活動
- ■いろいろな かたち
- 10 身の回りのいろいろな形を，具体物を使って作ったり，分解したりする活動
- ■１ つくってみよう
- ■２ ぶんかい してみよう
- 11 数量についての具体的な場面を式に表す活動
- ■１ どのようなしきに なるかな？
- ■２ しきは なにを あらわしているかな？
- 12 式を具体的な場面に結びつける活動
- ■しきに あう はなしを つくろう
- 13 具体物を10にまとめて数え，それを整理し，表す活動
- ■１ いくつ あるか かぞえましょう
- ■２ くふうして いくつあるか かぞえよう
- 14 数表（０～100）から様々なきまりを見つけ，説明する活動
- ■いろいろな きまりを みつけよう
- Ⅲ 第１学年・活用力を育てる効果的な指導
- １ 活用力を育てることの意義
- ２ 活用の仕方のパターン
- ３ 活用力の育て方のポイント
- Ⅳ 第１学年・活用力を育てる指導の実際
- １ 20までの個数を数え，いくつあるか書き表したり，比べたりできる
- ■１ いくつ あるか かぞえよう
- ■２ かずを くらべよう
- ２ たし算の仕方を考え，説明できる
- ■たしざんの しかたを かいて せつめいしよう
- ３ たし算を使って問題（増加，合併）を解決できる
- ■つぎの もんだいが できるかな？
- ４ ひき算の仕方を考え，説明できる
- ■ひきざんの しかたを かいて せつめいしよう
- ５ ひき算を使って問題（減少，比較）を解決できる。また，たし算やひき算が活用できる
- ■１ つぎの もんだいが できるかな？
- ■２ つぎの もんだいが できるかな？
- ６ 身の回りのものの長さを，何かのいくつ分で表すことができる
- ■いろいろな ながさを はかろう
- ７ 生活の中で，時計を使って，話ができる
- ■とけいを つかって はなそう
- ８ いろいろな形を使って絵をかくことができる
- ■かたちを つかって えを かこう
- ９ 増える，合わせる場面を式に表すことができる。式を見て話ができる
- ■１ しきに かきましょう
- ■２ しきを みて はなそう
- ■３ もんだいを つくろう
- 10 減る，比べる場面を式に表すことができる。式を見て話ができる
- ■１ しきに かきましょう
- ■２ しきを みて はなそう
- ■３ もんだいを つくろう
- 11 図や式を用いて数量を表すことができる
- ■ずや しきに あらわそう
- 12 100までの個数を数え，いくつあるか書き表したり，比べたりできる
- ■１ いくつ あるでしょう
- ■２ どちらが おおいでしょう
- 13 ２とび，５とび，10とびで，手際よく数えることができる
- ■１ くふうして かぞえましょう
- ■２ まとめて かぞえましょう
- 14 ２位数のたし算やひき算の仕方を図に表したり，説明したりできる
- ■１ けいさんの しかたを せつめいしましょう
- ■２ けいさんの しかたを せつめいしましょう
はじめに新しい算数授業のキーワード「算数的活動」と「活用力」
新小学校学習指導要領に引き続いて，移行措置も告示され，さらに文部科学省「小学校学習指導要領解説・算数編」が発行されました。いよいよ算数教育は私たち教師の手に委ねられることになりました。
今回の算数科に関する改訂のポイントは次のように整理することができます。（文部科学省平成20年２月15日公表［案］の説明を基に小島宏が構成）
① 基礎的・基本的な知識・技能を確実に定着させる。
そのため，子どもの発達段階や学年の特性に応じて，複数学年にわたり指導内容の一部を重複させるなど反復やスパイラルによる指導を充実する。
② 国際的な通用性を視野に置いて指導を充実する。
そのため，算数科においても言語活動を重視し，言語力を育てるとともに，思考力・判断力・表現力などを育成して，表現したり，説明したりするなど問題解決能力やいわゆるＰＩＳＡ型読解力の育成にも配慮する。
③ 内容の系統性を確保し小・中学校の学習の円滑な接続を図る。
そのため，合同や対称，文字式や統計など図形や数量関係に関する指導を充実する。
④ 知識・技能を活用する力を育成する。
そのため，問題解決的な学習を通して，数量や図形についての既習事項（知識・技能，考え方等）を生活や学習に実際に活用できるよう指導を充実する。
⑤ 学ぶことの意義や有用観を実感させる。
そのため，新しいことを学び取る場面に既習事項を活用させる活動を充実させるとともに，実際の場面で既習事項を活用する活動などの「算数的活動」を指導内容として学習指導要領に規定し，一層重視する。
このように整理してみると，これからの算数教育の重要なキーワード「算数的活動」と「活用力」が鮮明に浮かび上がってきます。
○既習事項を活用して考え，判断し，表現するなどの活動 →「算数的活動」
○思考力・判断力・表現力など問題解決力の育成 →「活用力」
もちろん，算数科の目標や指導内容に示された事柄は，全てが基礎的・基本的な内容であり，どれも子ども達に十分に「考えさせ，分からせ，できるようにし，そして使えるようにする」ものばかりでありますが，特に，「算数的活動の充実」と「活用力の育成」は，強く意識していく必要があると思います。
つまり，最近までの全国学力調査（文部科学省による平成18年の特定の課題に関する調査，平成19年及び20年度悉皆調査）や国際的な学力調査（ＴＩＭＳＳ及びＰＩＳＡ）の結果分析によると，計算などの知識・技能の習得は良好であるもののその意味の理解や既習事項（身につけた知識・技能，考え方など）を日常生活や他教科の学習，より進んだ算数・数学の学習へ活用していくことに課題があり，授業の充実が求められているのです。
また，知識・技能を身につけたり，数学的な思考力・表現力を高めたり，算数・数学を学ぶことの意義や有用感を実感したり，新しい内容を主体的に学び取ったりするために「算数的活動」が有効に取り入れられることが重要です。
そこで，本書では，全国で，算数教育の実践者としてご活躍の先生方にご協力をいただき，「算数的活動」と「活用力」を重点的に取り上げ，以下の構成で，教室の中で実際に使用できる展開例と具体的な教材を提供することに致しました。
＜算数的活動＞
Ⅰ 算数的活動の効果的な指導
１ 算数的活動の意義 ２ 算数的活動のパターン ３ 算数的活動を進めるポイント
Ⅱ 算数的活動の実際
１ 算数的活動の例 ２ 実際に使える実物大の学習シート
＜活用力＞
Ⅲ 活用力を育てる効果的な指導
１ 活用力を育てることの意義 ２ 活用の仕方のパターン ３ 活用力の育て方のポイント
Ⅳ 活用力を育てる指導の実際
１ 活用の仕方の例 ２ 実際に使える実物大の学習シート
本書が，多くの先生方の目にとまり，算数授業の充実のために活用されることを願っています。また，批判的に読み解いていただき一層充実した授業づくりと教材開発に役立てていただければ幸いです。
教育課程が新しく変わる節目の大変お忙しい中から，実践に基づいた玉稿を賜りました多くの先生方に厚くお礼を申し上げます。有り難うございました。また，企画の段階から粘り強く支えていただきました編集部の安藤征宏氏に対して特に名を記して感謝申し上げます。
2009年３月 ／吉川 成夫 ／小島 宏
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明治図書
