思考力・表現力を育てる算数的活動の実践
新学習指導要領対応!

思考力・表現力を育てる算数的活動の実践新学習指導要領対応!

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算数的活動を教育課程に位置づけた授業実践20例を紹介

今回のキーワードとなっている「思考力・表現力」「算数的活動」を教育課程の中に位置づけ、授業実践を通して八幡山小学校の開発研究が行われた。その実践の中から20の事例を取り上げ、さきがけて実践した授業に基づく実践事例を紹介している。


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ISBN:
978-4-18-580714-2
ジャンル:
算数・数学
刊行:
対象:
小学校
仕様:
B5判 128頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

はじめに
1学年の実践事例
@ かずのひょうのひみつをみつけよう
数表の数の並び方のきまりを見つけ,数についての感覚を豊かにする活動
A こたえが13になるたしざん・ひきざん
学習し,身につけたことを,より進んだ算数の学習へ活用していく活動
B ひろさをくらべよう
身の回りにあるものの面積を比べて,量に対する感覚を豊かにする活動
C コロンコロンもようづくり
立体の面の形を使った模様作りで,図形についての感覚を豊かにする活動
2学年の実践事例
D 50円でいろいろなおかしを買おう
2位数のたし算を身近な生活に活用する活動
E 九九表のきまりをみつけよう
九九タワー作りなどの体験的活動をもとにして,発展的にかけ算の仕方を考える活動
F おり紙からできる形
折り紙を使った形作りで,三角形や四角形についての多面的な見方を育てる活動
3学年の実践事例
G かけ算を数直線に表そう
たし算のテープ図をもとにして,かけ算を数直線に表す活動
H 調べたいことをグラフで表そう
実生活の課題の解決のために,データを収集し,分類整理し,グラフ化する一連の活動
4学年の実践事例
I どんな式になるかな
数直線を使って立式の根拠を説明する活動
J 身の回りのものの面積を求めよう
身の回りにあるものの面積を,工夫して測定する活動
K 校庭に大きな図形をかこう
定義や性質にもとづいて大きな図形をかくことで,論理的に考える力を育てる活動
L 大きな箱で商店街を作ろう
立体を内側から見て位置関係をとらえ,空間観念を深める活動
5学年の実践事例
M 小数のわり算の仕方を説明しよう
数直線を用いて計算の仕方を説明する活動
N いろいろな図形の面積の公式を作ろう
導き出した求積公式が適用できる図形を見つけ,公式の意味の理解を深める活動
O しきつめもようを作ろう
合同な図形の対応関係に目をつけ,敷き詰め模様を創り出す活動
P お城づくり
建造物の形を,基本的な立体図形の複合図形と見て構成する活動
6学年の実践事例
Q 生活の中にある比の秘密を見つけよう
生活の中にあるものを数理的にとらえ,調査し,きまりを見つける探究的な活動
R 比例・反比例
比例と反比例を対比しながら,伴って変わる2数量の関係の特徴を調べる活動
S 文字を使った式
計算法則を様々な表現様式で表すことで,文字式のよさを味わう活動

はじめに

 本書は,平成17年度〜19年度の3年間,文部科学省の研究開発学校の指定を受け,教育課程の開発研究に取り組んだ,東京都世田谷区立八幡山小学校の授業実践をもとにして,平成20年3月に告示された新学習指導要領の内容に合わせて加筆修正した実践事例集である。研究開発学校は,教育課程の改善に資する実証的資料を得ることを目的として,学習指導要領等,現行の教育課程の基準によらない教育課程の編成・実施が認められ,その実践研究を通して新しい教育課程・指導方法を開発する役割を担っている。八幡山小学校は,「算数の学習への意欲を高め,筋道立てて考える力を育てるために,小学校算数科に,算数的に表現する活動や体験的な活動を豊富に取り入れた教育課程の研究開発」を研究主題として,算数科に「算数的表現」の領域を設けて実践研究に取り組み,学習指導要領改訂の改善に資する研究資料の提供に努めてきた。

 新学習指導要領においては,算数科の内容は,中央教育審議会の答申を受け,「算数的活動を一層充実させ,基礎的・基本的な知識・技能を確実に身につけ,数学的な思考力・表現力を育て,学ぶ意欲を高めるようにする」ことを基本方針として改訂されている。具体的には,

@ 目標に「筋道を立てて考え,表現する能力を育てる」というように,「表現する」という文言が挿入され,根拠を明らかにし筋道を立てて体系的に考えることや,言葉や数,式,図,表,グラフなどの相互の関連を理解し,それらを適切に用いて問題を解決したり,自分の考えを分かりやすく説明したり,互いに自分の考えを表現し伝え合ったりすることなどの指導を充実すること

A 算数的活動の具体例が各学年の内容として示され,算数的活動を通して,基礎的・基本的な知識・技能を確実に身につけるとともに,数学的な思考力・表現力を高めたり,算数を学ぶことの楽しさや意義を実感したりする学習の実現を図るという方向性が明確にされたこと

B 生活の基盤である基礎的・基本的な知識・技能の確実な定着,国際的に通用する科学技術の習得を観点として,算数・数学の内容の系統性を重視しつつ,学年間や学校段階間で内容の一部を重複させて,発達や学年の段階に応じた反復(スパイラル)による教育課程が編成できるようにすること

C 子どもたちが算数・数学を学ぶ意欲を高めたり,学ぶことの意義や有用性を実感したりできるようにするために,素地的な学習活動を取り入れて,数量や図形の意味を実感的に理解できるようにすること,学習し身につけたものを,日常生活や他教科等の学習,より進んだ算数・数学の学習へ活用していくことなどを重視すること等による改訂がなされている。今回の改訂は,理数教育の充実を図る観点から,算数科や理科の授業時数の増加が図られ,算数科では,各学年20〜25時間という大幅な時数増となり,現行学習指導要領において縮減された内容が,元に戻されるなど,誰もが経験したことのないほどの大規模改訂となっており,具体的な授業の在り方を理解することが急務となっているのが現状である。


 八幡山小学校の開発研究は,その動静を踏まえ,今回の改訂のキーワードとなっている「思考力・表現力」「算数的活動」を教育課程の中に位置づけ,授業実践を通して行ったものである。本書では,その実践の中から20の事例を取り上げ,新学習指導要領の内容項目に合わせ,また,算数的活動の意義や実践の結果等,これから新学習指導要領に対応して具体的な指導の在り方を考える上で参考となるよう加筆修正している。移行期に入るこの時期,学習指導要領の改訂の趣旨の理解や自校の教育課程編成のための研修・研究が精力的に行われているものと思われるが,実践は“これから”という状況にあるのではないかと思われる。本書は,研究開発学校の特色を生かして,さきがけて実践した授業に基づく実践事例を紹介するものである。各校の教育課程編成や実施の際,特に,算数的活動の在り方を考えたり,思考力・表現力の育成を目指した授業実践を計画する際の参考になれば幸いである。


  平成21年1月   編著者 /廣田 敬一

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