- まえがき
- 本書の使い方
- Part1 理論編 活用力を育てる授業とは
- @ いま求められている活用力とは
- 1. 中央教育審議会答申(平成20年1月17日)で提起されたこと
- 2. 新学習指導要領でどのように実現されているか
- 3. 全国学力・学習状況調査で何が求められているか
- 4. 活用力のとらえ方
- A 授業で活用力を育てるポイント
- 1. 問題解決的な学習の充実
- 2. 算数的活動の充実
- 3. 言語活動の充実
- 4. 高学年として
- Part2 実践編 活用力を育てる授業プラン&ワークシート
- [5年]
- 見いだす/予想する
- 数や量の関係をとらえたり,図形を見いだしたりする
- @ 整数の見方
- どんなときに和や積が偶数や奇数になるのかな
- A 角柱と円柱
- 角柱について調べよう
- B 平行四辺形と三角形の面積
- 高さと面積の関係について,きまりを見つけよう
- 整理する/選択する/関連付ける
- ものの特徴に着目して分類整理したり,選択したりする
- C 比べ方を考えよう1
- 「比べ方」を考えよう!
- D 合同な図形
- 合同な三角形のかき方を考えよう
- E 割合とグラフ1
- グラフが表す情報を読み取ろう
- 帰納的・類推的・演繹的に考える/発展的に考える
- いくつかの具体例を調べて共通性を見つけたり,類似の場面から推測したり,根拠を明確にして考えたり,発展的に考えたりする
- F 立体の体積の表し方を考えよう
- くふうして体積を求めよう!!
- G 図形の角のひみつを調べよう
- 三角形の角のひみつを調べよう
- H 変わり方しらべ
- ストローの数は,どのようにふえているのだろう(きまりを見つけよう)
- 多様な表現を用いて事実・方法・理由を説明する
- 具体物,言葉,数,式,図などを用いて表現したり,説明したりする
- I 分数×整数,分数÷整数
- 計算のしかたを説明しよう
- J 面積の求め方を考えよう
- ひし形の面積の求め方を考えよう
- K 比べ方を考えよう2
- 帯グラフと円グラフを調べよう
- 総合的な活用
- 算数の世界で,また,生活に活用する
- L 割合とグラフ2
- 資料を使って考えよう
- M 平均
- 平均を使って,ものの重さを考えよう
- N 図形の活用
- 図形をならべて
- [6年]
- 見いだす/予想する
- 数や量の関係をとらえて規則性を見いだしたり,図形を見いだしたりする
- @ 整数・小数・分数の混ざったかけ算とわり算をくふうしよう
- 計算のしかたをくふうしよう
- A 対称な図形1
- 円を半分に折って切って開くとどんな形になるかな
- B 比例
- 二つの量の変わり方を調べよう
- 整理する/選択する/関連付ける
- ものの特徴に着目して分類整理したり,選択したりする
- C 速さの表し方
- 生活の中で使われている「速さ」について考えよう
- D 縮図と拡大図
- 学校のまわりを調べてみよう
- E 資料の調べ方
- ちらばり方の特ちょうは同じかな?
- 帰納的・類推的・演繹的に考える/発展的に考える
- いくつかの具体例を調べて共通性を見つけたり,類似の場面から推測したり,根拠を明確にして考えたり,発展的に考えたりする
- F 円の面積
- 円の面積はどのようにして求めるか考えよう
- G 立体の体積
- 今までに学習したことを使って円柱の体積の求め方を考えよう
- H 対称な図形2
- 「紋切り遊び」を楽しもう!
- 多様な表現を用いて事実・方法・理由を説明する
- 具体物,言葉,数,式,図,表,グラフなどを用いて表現したり,説明したりする
- I 分数のかけ算
- 分数×分数の計算のしかたを考えよう
- J 量の単位のしくみ
- 単位のしくみについてまとめよう
- K 場合の数
- 何試合できるか考えよう
- 総合的な活用
- 算数の世界で,また,生活に活用する
- L いろいろな問題(数や式を使った問題)
- □の中に数字を入れて,式の答えが最大になるようにしよう
- M およその面積
- 都道府県のおよその面積の求め方を考えよう
- N 資料の考察
- 資料をいろいろな方法で比べてみよう
まえがき
子どもたちの「力」を高めていきたい――教育関係者の誰もの“思い”であろう。
では,そのような「力」とは,いったいどのようなものであるのか。とりわけ,社会へと,未来へと巣立っていく子どもたちにとって,身に付けさせておきたい「力」とは,どのようなものであるのだろうか。
今日においては,新学習指導要領と全国学力・学習状況調査が,それを,一体となって示している。そのことは,中央教育審議会「幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について(答申)」(平成20年1月17日)に詳しいが,とりわけ「活用力」育成については,OECDが実施するPISA調査等の国際的な学力調査の影響が大きい。
OECDは「知識基盤社会」の時代を担う子どもたちにとって必要な「力」を「キーコンピテンシー(主要能力)」として示し,その達成状況を測るための調査としてPISA調査を実施している。義務教育修了段階の15歳の子どもたちに対して,知識・技能を生活の様々な場面での課題にどの程度活用することができるかを測るものであり,その活用プロセスにおける能力に焦点を当てている。そして,全国学力・学習状況調査は,新学習指導要領の趣旨に則り「生活や学習への活用」として,そのことをも含んだ学力調査として我が国で実施されている。
本書は,これら新学習指導要領と全国学力・学習状況調査の趣旨をふまえて,今日の子どもたちに身に付けさせたい「力」として重視されている活用力について,それをどのようにとらえればよいかを明らかにし,そして,活用力を育てるための授業プランとそこで用いるワークシートを具体的に提案するものである。
活用力の育成は,小学校6年間の算数の学習指導の全般において留意すべきものであり,年間を通して適切な機会に重点化を図って,活用力育成のための学習活動を位置付けていくべきものと考えている。本書にて示した授業プランを基にそのワークシートを用いて授業展開を試みることが,活用力育成の第一歩となり,このような学習経験を積み上げ発展させていくことが大切であると考えている。本書が,学校現場での算数科の活用力育成の取り組みへの一助になればと願っている。
最後になりましたが,本書の作成に当たり多くの先生がたにご協力いただきましたことに感謝をしています。また,編集の労をとっていただきました明治図書の木山麻衣子氏に深く感謝の意を表します。
平成22年3月 編者 /金本 良通
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- 明治図書