- はじめに
- 単元T) 2次関数
- 2次関数の指導
- 第T節 2次関数とグラフ
- §1 2次関数y=ax2+bx+cのグラフ
- §2 2次関数の決定
- §3 2次関数の最大値・最小値
- §4 2次関数のグラフとx軸との共有点
- ◎節末テスト問題
- 第U節 2次関数の応用
- §1 自動車と停止距離
- §2 物体の自然落下
- §3 降水確率におけるブライア・スコアの計算方法
- ◎単元確認テスト問題
- 解 答
- 単元U) 三角関数と直角三角形
- 中学校における三角関数と直角三角形の解法
- 第T節 三角関数
- §1 sine関数・cosine関数
- §2 sin・cosの利用
- §3 tangent関数とその利用
- ◎節末テスト問題
- 第U節 直角三角形の解法と簡易測量
- §1 直角三角形の解法
- §2 簡易三角測量
- ◎節末テスト問題
- ◎単元確認テスト問題
- 解 答
- 単元V) 指数関数
- 指数関数の指導
- 第T節 指数で表現する
- §1 指数法則
- §2 大きな数
- ◎節末テスト問題
- 第U節 指数の範囲を拡張する
- §1 指数の拡張
- §2 指数関数
- ◎節末テスト問題
- ◎単元確認テスト問題
- 解 答
- 単元W) 平面の幾何学
- 平面の幾何学
- 第T節 中点連結定理
- ◎節末テスト問題
- 第U節 線分の3等分
- ◎節末テスト問題
- 解 答
- 単元X) 円錐と球の体積
- 円錐と球の体積の指導
- 第T節 円錐の体積
- §1 スライスする方法
- §2 nを限りなく大きくしていく方法
- §3 切断面の面積が等しい立体に注目する方法
- ◎節末テスト問題
- 第U節 球の体積
- §1 スライスする方法
- §2 nを限りなく大きくしていく方法
- §3 切断面の面積が等しい立体に注目する方法
- ◎節末テスト問題
- ◎単元確認テスト問題
- 解 答
はじめに
本書は『新教科書を補う中学校数学 発展学習教科書』全3巻の中の第3巻,第3学年編である。
この全3巻は,2002年から実施の現行指導要領に基づく,中学校の数学教育並びに現行検定教科書について,次の観点から,その不足を補い,必修時間を拡充する内容として,あるいは選択教科の内容として,あるいは,数学を中心とする総合学習として,発展的に活用していただくために発刊した。
【1】 日本の数学教育の発展を願う私どもは,1992年から実施の前学習指導要領が,中学1年の数学の必修時間を週3時間としたことに非常な憂慮を表明し2学年,3学年同様,週4時間とすべきことを訴え続けてきた。それにもかかわらず今回の学習指導要領は,中学1年の週3時間の必修時間を増やすどころか,2学年,3学年までも軒並みに,週3時間とした。
中学校の数学は,国語と並び,知的な分野の学習の基本である。さらに中学で学ぶ数学は,中学生が将来活躍する自然科学,社会科学,人文科学など広範な分野の基礎となり,今回の措置は日本の将来に大きな危惧を抱かせる。こうした事態に対応する緊急措置として,現行学習指導要領では不足する,中学生に本来必要な数学の補充学習が要請されている。
【2】 現行学習指導要領は中学校の数学から,例えば,1元1次不等式を欠落させ,2次方程式の一般解を欠落させ,方冪の定理を欠落させ,統計を欠落させた。改めて言えば,代数,解析,幾何学,統計学の内容に欠落を来し,体系的な学習を一段と希薄なものとした。
中学生の時期には,集合と論理,代数,解析,平面幾何学,空間幾何学,確率と統計などの内容を,体系的に学習する必要がある。本来,中学生は,こうした体系的な学習に適した年齢なのである。
【3】 言うまでもなく,基礎教科としての数学の必修時間は,増加することはあっても,安易に減らしてはならない。しかし,必修時間の増加だけで問題が解決するわけではない。重要なことは限られた時間の中で,中学生にふさわしい,集合と論理,代数,解析,平面幾何学,空間幾何学,確率と統計,などの体系的な学習を実現することである。当然,既存の内容や既存の体系化を越えた,中学生にふさわしい今日的内容と今日的体系が必要である。
上記の観点で,かねて数学教育学の研究を続けてこられた編集者の菊池乙夫氏,並びに,中学の数学教育学の理論的,実践的研究を続けてこられた執筆者の協力を得て『中学校数学 発展学習教科書』全3巻を公にした。必修時間の拡充として,あるいは選択教科の内容として,あるいは数学を中心とする総合学習として,是非,これら3巻を活用していただきたいと願っている。
『新教科書を補う中学校数学 発展学習教科書』第3学年編では,次の内容を展開した。
単元T「2次関数」では,現行学習指導要領がy=ax^2の形に限定した2次関数を,y=ax^2+bx+cの形の一般形まで拡張して扱った。実際的応用も,自動車の停止距離の研究など,広範な問題を深く扱った。さらに,平均変化率の概念を発展させ微分(変化率)の概念に及んだ。これらの内容は中学3年生が十分に学習し得ると考えている。執筆は現場での体験豊富な井上雅喜氏にお願いした。
単元U「三角関数と直角三角形」では,直角三角形の2辺の比の値といった三角比の段階を越え,単位円周上の動点について,回転角xを変数とした際のx,y座標,並びに,y/xを,それぞれ,cosx,sinx,tanxとする,関数としての三角関数を扱った。実際的応用では直角三角形の解法と関連させて,測量の問題に活用するようにした。執筆は長年,数学教育学の研究を続けられた菊池乙夫氏にお願いした。
単元V「指数関数」では,指数法則の発展として,定数aについてa^2,a^3,a^4,…というように,累乗の指数x(累乗の冪)を変数とする,y=a^xの形となる指数関数を扱った。実際的応用では,複利計算やバクテリアの増殖を取り上げた。バクテリアの増殖では,経過時間が連続量となる。これに対応して,y=a^xで,xの変域を正整数に限定することなく,連続量となる場合も含めて考えられるようにした。今日,自然現象でも社会的現象でも,指数関数の重要な役割が日常化している。従って指数関数は中学3年には当然,導入すべきであり,実現が可能と考えている。執筆は,この方面の実践的研究を進められている中込雄治氏にお願いした。
単元W「平面の幾何学」では,証明の意味の把握,証明問題も作図問題も解法は多様に創造されること,こうした観点での幾何学の学習を展開した。事例としては,「三角形の内角の和の定理」,「三角形ABCの頂点Aを通り,BCに垂直な直線APの作図」,「三角形の相似に関する基本定理」,「中点連結定理」などを採用した。こうした学習を通し,生徒が幾何学を創造的に学びとるようにした。執筆は,この方面の専門家である黒木伸明氏にお願いした。
単元X「円錐と球の体積」では,現行学習指導要領が欠落させたこの部分について,区分求積法,カバリエリの原理,極限の概念を採用して,学習するようにした。区分求積法,カバリエリの原理,極限の概念は,中学3年ともなれば,誰でも学習できるものである。実際の計算にはExcelも利用した。Excelもまた,私どもはすでに小学校から活用すべきと考えている。執筆に当たっては,この方面の実践的研究を進められている中込雄治氏にお願いした。
なお,各単元の構成に当たっては,生徒諸君への学力保障を実現すべく,節末テスト,単元確認テストを配置した。その内容は,数学教育が保障すべき学力として,原理の獲得,技能と習熟,数学的発展,単一的応用,総合的応用,の5つの観点から内容に応じて設定し,到達目標に対する絶対評価とした。それぞれの地域や生徒・学校の実情に応じた学力保障の実践に活用していただければ幸いである。
本書の作成については,全単元の内容を検討して編集に当たられた菊池乙夫氏に負う所が多く,同氏に厚く感謝したい。また出版にご尽力を頂いた,明治図書の江部満氏はじめ編集の方々にお礼を述べたい。本書には未熟の点もあるが,これらは改定の際,改めていきたい。以上のようにしてできた本書が全国の中学校の3年生に活用されることを願っている。
2005年3月 監修者 /横地 清
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明治図書
















