- はじめに
- 単元T) 1次不等式から連立不等式へ
- 1次不等式の指導
- 第T節 1次不等式
- §1 数の大小
- §2 不等式の性質
- §3 1次不等式の解法
- §4 1次不等式の応用
- ◎節末テスト問題
- 第U節 連立不等式
- §1 連立1次不等式
- §2 1次関数のグラフと域領
- ◎節末テスト問題
- ◎単元確認テスト問題
- 解 答
- 単元U) 表計算ソフトExcelの利用
- Excelによる学習の発展
- §1 Excel の使用説明
- §2 計算式の利用
- §3 宝くじは平均いくら当たる?
- §4 甘栗の重さ
- §5 遠近法に挑戦
- §6 貯金からカオスまで
- ◎節末テスト問題
- ◎単元確認テスト問題
- 解 答
- 単元V) 二項分布
- 二項分布の指導
- 第T節 等確率の二項分布
- §1 場合の数
- §2 パスカルの三角形
- ◎節末テスト問題
- 第U節 不等確率の二項分布
- §1 確率の積
- §2 二項分布の利用
- ◎節末テスト問題
- ◎単元確認テスト問題
- ◎Let's Try!
- 解 答
- 単元W) 資料の整理
- 資料の整理の指導
- 第T節 度数の分布
- §1 度数分布表
- §2 ヒストグラム
- §3 相対度数
- §4 平 均 値
- ◎節末テスト問題
- 第U節 相関
- §1 散 布 図
- §2 回帰直線
- ◎節末テスト問題
- 第V節 標本調査
- §1 標本調査と全数調査
- §2 無作為抽出
- §3 比率の推定
- ◎節末テスト問題
- ◎Let's Try!
- ◎単元確認テスト問題
- 解 答
- 単元X) 等差数列・等比数列
- 等差数列・等比数列の指導
- 第T節 等差数列
- §1 初項と公差
- §2 等差数列の和
- §3 等差数列の利用
- ◎節末テスト問題
- 第U節 等比数列
- §1 初項と公比
- §2 等比数列の和
- §3 等比数列の利用
- ◎節末テスト問題
- ◎単元確認テスト問題
- ◎Let's Try!
- 解 答
- 単元Y) 円の性質
- 円の性質の指導
- 第T節 円の接線・円の弦と中心
- §1 円の接線
- §2 円の弦と中心
- ◎節末テスト問題
- 第U節 円と三角形
- §1 外接円と内接円
- ◎節末テスト問題
- ◎単元確認テスト問題
- 解 答
はじめに
本書は『新教科書を補う中学校数学 発展学習教科書』全3巻の中の第2巻,第2学年編である。
2002年から現行指導要領が実施されてきたが,この全3巻は,その指導要領に基づく中学校の数学教育並びに検定教科書について,次に述べる観点から,その不足を補い,必修時間を拡充する内容,あるいは選択教科の内容,さらには、数学を中心とする総合学習の内容として,発展的な活用を願って発刊したものである。
【1】 日本の数学教育の発展を願う私どもは,すでに1992年からの前学習指導要領が,中学1年の数学の必修時間を週3時間としたことに非常な憂慮を表明し,2学年,3学年同様に,週4時間にすべきことを訴え続けてきた。それにもかかわらず,今回の学習指導要領は中学1年の必修時間を増やすどころか,2学年,3学年までも,軒並み週3時間とした。
中学校の数学は,国語と並んで知的な分野の学習の基本である。さらには,中学生が将来活躍する自然科学,社会科学,人文科学など広範な分野の基礎となるもので,今回の措置は日本の将来に大きな危惧を抱かせる。
こうした事態に対応する緊急措置として,本来的に中学生に必要とされながら,現行学習指導要領に不足している数学を,補充する学習が要請される。
【2】 現行学習指導要領は,中学校数学から1元1次不等式を欠落させ,2次方程式の一般解を欠落させ,方冪(べき)の定理を欠落させ,統計を欠落させた。
改めて言えば,代数・解析・幾何学・統計学の内容に欠落を来し,体系的な学習を一段と希薄なものにした。
中学の時期には,集合と論理,代数,解析,平面幾何学,空間幾何学,確率と統計,などの内容を,体系的に学習する必要がある。中学生は,本来こうした体系的な学習に適した年齢なのである。
【3】 言うまでもなく基礎教科としての数学の必修時間は,増加することはあっても安易に減らしてはならない。しかし,必修時間の増加で問題が解決するわけではないことも当然である。重要なことは限られた時間の中で,中学生にふさわしい上記各数学諸領域について,体系的な学習を実現することが大切である。言うまでもなくそこでは,既存の内容や既存の体系化を超えた,中学生にふさわしい今日的内容と今日的体系化が必要である。
以上のような観点から,かねて数学教育学の研究を続けてこられた編集者の菊池乙夫氏,並びに長年,中学の数学教育学の理論的,実践的研究を続けてこられた執筆者の各位の協力を得て,本シリーズを公にした。必修時間の発展として,あるいは選択教科の内容として,あるいは数学を中心とする総合学習として,是非,これら全3巻を活用して頂くよう願ってやまない。
本書第2巻,第2学年編では,次の内容を展開した。
単元T「1次不等式から連立不等式へ」では,まず数直線に関する「順序の公理」を基礎に,実数(ここでは有理数を中心とする)の区間について学び,それを基礎として1次不等式を扱い,さらに連立不等式に及んだ。その際,集合論理に関する「しかも」(合接),「または」(離接)の概念を強調した。さらに,2次元の直交座標系まで拡大して考え,1次関数についての不等式を扱い,2次元空間での領域に及んだ。執筆に際しては,この方面に詳しい加藤竜吾氏にお願いした。
単元U「表計算ソフトExcelの利用」では,Excelを単に表計算のソフトとするのではなく,中学生が数学を研究し,数学を創り出すのに役立つようにした。その実際例として,多変数関数の扱い,確率における期待値の計算,数学的遠近法,カオスなどで,Excelを使って生徒たちを数学の新しい分野へと駆り立てることとした。執筆に際しては,この方面に詳しい守屋誠司氏と長澤義博氏にお願いした。
単元V「二項分布」では,まず確率における二項分布を正規に扱い,現行の指導要領の欠陥を補うこととした。当然,重複事象の確率も正規に扱った。さらに,確率の二項分布と関連づけて,順列・組合わせを研究し二項定理に及ぶこととした。執筆に際しては,この方面に詳しい柳本哲氏にお願いした。
単元W「資料の整理」では,統計学の基礎として,まず実際の資料を使って,記述統計について確実な学習をした。続いて相関関係や散布図に及び,さらに標本調査の意義や活用について学習することにした。こうして,統計学を中学生なりに体系的に学ぶこととした。執筆に際しては,この方面に詳しい植野義明氏にお願いした。
単元X「等差数列・等比数列」では,1次関数や2次関数のように連続量の増減に伴う関数値の変化ではなく,自然数の増減に伴う数量の変化としての,等差数列と等比数列を扱った。
等差数列・等比数列は,この章に実例が挙げられているように,中学生が活用できる場面を多くもっている。特に等比数列については,収束性の問題を含めて中学生にふさわしい無限の概念への導入となる。なお計算には電卓やExcelを活用した。執筆には,この方面に詳しい柳本哲氏にお願いした。
単元Y「円の性質」では,円の性質を利用して「三角形の内角の2等分線は,対辺を他の2辺の比に内分する」という性質の証明,「直線外の1点を通り,その直線に平行な直線を作図する」問題,「円周上の1点を通り,この円に接する接線の作図」の問題,などの解法を例として,同じ課題でも、様々な解法があることを学習することとした。
中学2年と言えば,論理的推論や証明に馴染む時期であり,この時期にふさわしい幾何学の学習を扱うことにした。同じ問題であっても,多様な解法のあることを訴え,生徒それぞれが独自の解法を見いだすように勧奨した。執筆には,この方面に詳しい中込雄治氏にお願いした。
なお,各単元の構成に当たっては,生徒諸君への学力保障を実現すべく,節末テスト,単元確認テストを配置した。その内容は,数学教育が保障すべき学力として,原理の獲得,技能と習熟,数学的発展,単一的応用,総合的応用,の5つの観点から内容に応じて設定し,到達目標に対する絶対評価とした。それぞれの地域や生徒・学校の実情に応じた学力保障の実践に活用して頂ければ幸いである。
以上の内容を収めた本書が,中学2年の発展的な数学教育の内容として,多くの学校で実践されることを期待している。本書には未熟な点も残されていると思われるが,再版の際に改めるようにしたい。
なお,本シリーズ全3巻の刊行には,明治図書葛ウ育書編集部・江部満氏をはじめ,多くの方々に大変お世話になった。ここに厚くお礼を申し述べておきたい。
2005年3月 監修者 /横地 清
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明治図書
















