「考える足場」をつくる算数科授業の創造

「考える足場」をつくる算数科授業の創造

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わかる喜び、考える楽しさ、できる楽しさをともに実現する。

算数は系統性の強い教科特性から既習学習が不十分である場合、新しい学習は困難である。「考える足場」をつくることで既習事項を復習する機会が毎時間与えられ、スパイラルな学習指導ができる。本書では「考える足場」を活用した算数授業の実践事例を具体的に紹介する。


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ISBN:
4-18-569717-1
ジャンル:
算数・数学
刊行:
3刷
対象:
小学校
仕様:
B5判 128頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

はじめに
「考える足場」との出会い ――わかる喜び,考える楽しさ,できる楽しさ――
第@章 「考える足場」をつくる授業論
――子どもに思考の拠り所を与える算数の授業設計――
1 算数授業の問題点
2 「考える足場」をつくることの意味
3 「考える足場」をつくる算数の授業展開モデル
4 「考える足場」の意義と「考える足場」をつくる算数授業の特徴
5 「考える足場」のタイプ
6 習熟度別指導における「考える足場」の設定
7 「考える足場」をつくる授業設計のポイント
第A章 「考える足場」を取り入れた新しい算数の授業づくり
――「わかる喜び,考える楽しさ,できる楽しさ」を目指して――
1 長者小の研究構想
2 長者小の「考える足場」をつくる算数授業
3 長者小の算数習熟度別指導
4 研究の成果と課題
第B章 「考える足場」をつくる算数授業の実践
☆…足場を生かした算数授業
★…算数習熟度別指導
【1学年の実践】
☆10のまとまりに目をつけて ――「たしざん」――
1 本単元における授業構想
2 本時の「考える足場」
3 単元指導計画
4 本時の指導
5 「考える足場」を生かした算数授業の展開
6 「考える足場」を生かした授業実践を振り返って
★○の図をかいて考えよう ――「おおい ほう すくない ほう」――
1 本単元における学級内習熟度別授業構想
2 本時の「考える足場」
3 単元指導計画
4 本時の指導
5 「考える足場」を生かした算数授業の展開
6 「考える足場」を生かした学級内習熟度別指導の実践を振り返って
(2学年以下も同様)
【2学年の実践】
☆テープ図を見てことばであらわそう ――「ちがいを みて」――
★くらいごとにまとまりをつくりながら ――「たし算と ひき算の ひっ算(2)」――
【3学年の実践】
☆いろいろな方法で見つけよう ――「たし算とひき算」――
★何十といくつに分けて ――「1けたをかけるかけ算の筆算」――
【4学年の実践】
☆分ける,引く,変形する ――「面積」――
★正しい商の見当のつけ方を考えよう ――「2けたでわるわり算の筆算」――
【5学年の実践】
☆三角形の内角の和を使って ――「三角形・四角形の角」――
★どんな図形に変身できる? ――「面積」――
【6学年の実践】
★線分図を使って考えよう ――「比とその利用」――
あとがき

はじめに

 私が「考える足場」を提唱するようになったのは,算数の学習を児童にとって「やさしい」学習にしたいと考えたことがきっかけである。算数の苦手な児童にとって,系統性の強い教科特性から既習学習が不十分である場合,新しい学習は困難である。もし毎時間の算数の授業が既習学習の確認から展開されれば,日常生活場面でわからないときには辞書や事典を手元に置いて学ぶように,算数の学習も既習事項をいつでも参照できるような状況で授業を進めることができると考えたからである。

 数年前から全国各地の小学校で「考える足場」をつくる算数授業について講演する機会をいただいている。それにともなって,多くの小学校でこの理論の実践がなされるようになった。数多くの授業実践を通じて,私はこの指導方法が,教師にも児童にも算数の授業展開がなめらかであり,児童に「できる,わかる,考える」喜びを与えることにつながるものであると確信するようになった。

 さて,この本は,私が提唱する「考える足場」をつくる算数授業論を算数科授業研究に取り込み,数多くの授業実践を行ってきた青森県八戸市立長者小学校との共同研究の中で生まれた。

 私と長者小学校との出会いは,津田健造校長先生が長者小学校に赴任された直後の平成16年度当初であった。それ以来,数多くの校内研と学習指導案検討会に参加し,多くの先生方と意見を交わしながら,3年間の実践的研究を積み重ねてきた。1年目よりは2年目,2年目よりは3年目と授業展開がスムーズになり,当初,時間を要した「足場」の段階も的確にスマートに展開できるようになってきた。それとともに児童の算数学習に対する構えも大きく変わる様子が明らかに感じられるようになった。つまり,算数の学び方を身につけ,既習事項を活用して新しい問題に取り組めば解決できるという見通しをもつようになったのである。また同時に,発展的問題にも時間を忘れて取り組む姿も見られるようになったのである。

 読者には,この本を参考にして,算数の他の単元でも実践されることを期待している。「考える足場」を実践するには,教材研究をベースに「足場」の問題を何にするか,適用・発展まで展開する1時間の授業をどう組み立てるかについて,研究を要することは事実である。しかし,この経験が教師の算数の授業力を高める一助になると信じている。

 最後になりましたが,編集部の石塚嘉典氏,小野寺茜氏には大変お世話になりました。ありがとうございました。


  平成18年8月16日   横浜国立大学教育人間科学部 /石田 淳一

著者紹介

石田 淳一(いしだ じゅんいち)著書を検索»

1954年,小田原市生まれ,京都大学教育学部卒,筑波大学大学院教育研究科修了,同教育学研究科中退後,愛知教育大学助教授,筑波大学講師を経て,現在横浜国立大学教育人間科学部教授。2002年度英国オックスフォード・ブルックス大にて在外研究。全国各地の小学校で指導講演を行っている。主要論文に「メタ認知の指導による小学6年生の問題解決過程の変容に関する研究」,数学教育学論究,78巻,pp.3-21. The Teaching of General Solution Methods to Pattern Finding Problems Through Focusing on an Evaluation and Improvement process. School Science and Mathematics, Vol. 97, pp. 155-162.などがある。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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