- はじめに
- 第1章 豊かな「図形」指導を求めて
- §1 「図形」指導のねらい
- §2 学年ごとの指導段階とその内容
- (1) 学年ごとの指導段階
- (2) 学年ごとの指導内容
- (3) 数学的探究活動
- §3 「図形」指導の改善のポイント
- (1) 具体的操作活動の重視
- (2) 作図の方法の追究とその確かめ
- (3) 立体模型の作製
- (4) 立体の分解と構成
- (5) 生徒自身の言葉で説明すること
- (6) 平行線の性質と条件,三角形の合同条件の役割
- (7) 図形の論証の初期指導
- (8) 定義の役割の理解
- (9) 反例を挙げること
- (10) 論証の意義の指導
- (11) 性質を活用する場面の設定
- (12) 性質や方法を発展させる指導
- 第2章 指導内容のポイント
- 第1学年 空間図形・平面図形
- 1 図形の対称性/ 2 基本的な作図の方法とその利用/ 3 空間における直線や平面の位置関係/ 4 平面図形の運動による空間図形の構成/ 5 空間図形の平面上への表現/ 6 扇形の弧の長さ面積,柱体・錐体の表面積と体積/ 7 図形に関わる数学用語,記号
- 第2学年 平行と合同
- 1 対頂角の性質,平行線と角の性質/ 2 三角形の内角・外角/ 3 多角形の内角・外角/ 4 図形の合同,合同な図形の性質,三角形の合同条件/ 5 証明の意味,方法/ 6 定義
- 第2学年 三角形・四角形
- 1 二等辺三角形の性質と条件,正三角形/ 2 平行四辺形の性質と条件/ 3 証明の方法や記述に関して/ 4 三角形,平行四辺形の包摂関係/ 5 円周角と中心角の関係
- 第2学年 相似な図形
- 1 図形の相似,相似な図形の性質/ 2 三角形の相似条件/ 3 平行線と比の性質,中点連結定理/ 4 図形の性質を活用する場の設定
- 第3学年 三平方の定理
- 1 三平方の定理の発見と証明/ 2 三平方の定理の逆/ 3 三平方の定理の利用
- 第3章 新数学科の具体的な授業プラン
- 第1学年 空間図形・平面図形
- (1)目標/ (2)教材観/ (3)指導計画(全21時間)/ (4)授業例/ 第1,2時=平面図形・空間図形の意味,多面体,展開図の意味/ 第3時=点,直線,平面,及び距離/ 第4,5,6時=直線や平面の位置関係,角/ 第7,8時=立体の構成,回転体/ 他全時間の細案
- 第2学年 平行と合同
- (1)目標/ (2)教材観/ (3)指導計画(全16時間)/ (4)授業例/ 第1,2,3時=対頂角,平行線の錯角・同位角/ 第4,5,6,7時=三角形の内角の和・角度を求める問題/ 第8,9時=多角形の内角の和・外角の和/ 第10,11時=星形の角度を求める問題/ 他全時間の細案
- 第2学年 三角形・四角形
- (1)目標/ (2)教材観/ (3)指導計画(全25時間)/ (4)授業例/ 第1,2時=二等辺三角形の作図/ 第3,4時=二等辺三角形の性質と条件/ 第5,6時=二等辺三角形の性質の利用,正三角形の性質/ 第7時=直角三角形の合同条件/ 第8,9時=直角三角形の合同条件の利用/ 第10,11時=平行四辺形の性質/ 第14,15,16時=平行四辺形になるための条件/ 他全時間の細案
- 第3学年 相似な図形
- (1)目標/ (2)教材観/ (3)指導計画(全15時間)/ (4)授業例/ 第1,2時=相似な図形/ 第3,4時=三角形の相似条件/ 第5時=三角形の相似条件の利用/ 第6,7時=相似の位置の利用/ 第8,9,10時=平行線と比/ 第11,12時=平行線と比(2)・中点連結定理/ 他全時間の細案
- 第3学年 三平方の定理
- (1)目標/ (2)教材観/ (3)指導計画(全14時間)/ (4)授業例/ 第1,2,3時=正方形を作ろう(三平方の定理の発見)/ 第4,5時=三平方の定理の証明/ 第6,7,8時=三平方の定理の利用T/ 第9,10時=三平方の定理の逆/ 第11,12,13時=三平方の定理の利用U/ 他全時間の細案
- 第4章 選択教科「数学」の新授業のプラン
- §1 もとになる図形を考えよう
- 1 取り上げる時期/ 2 学習のねらい/ 3 授業展開と子どもの考え方/ 4 学級全体での共有/ 5 その後の発展
- §2 三角錐,四角錐をつくってみよう
- 1 学習のねらいと取り上げる時期/ 2 授業の準備/ 3 授業展開の工夫/ 4 子どもの反応/ 5 問題の解決に向けて/ 6 指導上の留意点/ 7 発展
- §3 立方体に現れる角の大きさを求めてみよう
- 1 取り上げる時期/ 2 学習のねらい/ 3 授業の展開の工夫/ 4 子どもの考え方/ 5 学級全体での共有/ 6 個への配慮
- §4 並べかえると長方形ができるだろうか
- 1 取り上げる時期/ 2 学習のねらい/ 3 授業展開の工夫/ 4 子どもの考え方と話し合いのポイント/ 5 その後の発展
- §5 図形の「とんがり度」を数値で表してみよう
- 1 学習のねらいと取り上げる時期/ 2 授業展開の工夫/ 3 子どもの反応/ 4 疑問の解決に向けて/ 5 指導上の留意点/ 6 発展
- §6 すっぽり入る正方形を作図してみよう
- 1 学習のねらいと取り上げる時期/ 2 授業展開の工夫/ 3 子どもの反応/ 4 指導上の留意点/ 5 発展
- §7 円の中に一円玉がいくつ入るだろうか
- 1 身近な一円玉を使って/ 2 学習のねらい/ 3 授業の展開/ 4 問題を発展させて
はじめに
本書は,2002年4月からの新教育課程に基づく中学校数学科での授業実践に向けて,指導のねらい,指導内容,および日々の実践のための具体的な授業プランをまとめたシリーズの中の1冊であり,既刊の長崎栄三・五十嵐一博編著『中学校新数学科の授業モデル』全4巻の続編ともいえます。
このシリーズは,「数と式」,「図形」,「数量関係」の各編,計3巻からなっています。
各編においては,まず初めに,新教育課程における当該領域の「指導のねらい」と「指導内容の重点」を明らかにしました。そこでは,これからの数学教育が目指す方向を示すとともに,具体的な指導内容の扱いの詳細を述べました。そして,それらを踏まえて,「具体的な授業プラン」および「選択数学の場で取り扱いたい事例」を,紙数の許す限り具体的に数多く作成し掲載しました。各編において多くのページを占めているこの部分は,特に,実際の授業実践を計画し,またそれを振り返るのに多くの点で参考になると確信しています。
本「図形編」の構成は,次のようになっています。
まず,「第1章 豊かな『図形』指導を求めて」では,中学校数学科での図形指導のねらい,および学年ごとの指導段階とその内容を明らかにしました。そして,12項目からなる図形指導の改善のポイントを示し,授業を構想する上での基本的な考え方を提案しました。
「第2章 指導内容のポイント」では,各学年の図形の単元ごとに,具体的な指導内容を解説し,その指導の重点について述べています。
続く「第3章 新数学科の具体的な授業プラン」は,本書の中心を成す部分です。ここでは,図形に関する授業のすべてについて,その指導案を示しています。紙数の関係で記述に濃淡がありますが,提示する「問題」についてはそのすべてを掲載しました。これらの授業プランは,既に執筆者によって実践されているものです。内容的に深く追究しすぎていると感じられる部分もあるかもしれません。読者の方々が実践するに当たっては,各学校の実態に応じて,適宜取捨選択していただきたいと思います。
最後の「第4章 選択教科『数学』の新授業プラン」では,より豊かな図形に関連する授業を求めて,興味ある発展的な学習の事例を7つほど紹介しました。
各章のいずれの内容も,実践を十分に踏まえたものになっています。なお,執筆分担は,次の通りですが,お互いに意見を交換しながら完成原稿としました。
第1章・2章,国宗/第3章 空間図形・平面図形/平行と合同,羽田/第3章 三角形・四角形/相似な図形/三平方の定理,榛葉/第4章,熊倉・八田・望月
本シリーズが,中学校数学科での授業を構想する上で参考になれば幸いです。
2002年6月 編著者
-
- 明治図書