中学校数学科 新しい評価の在り方
相対評価から絶対評価へ

中学校数学科 新しい評価の在り方相対評価から絶対評価へ

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4つの観点に則った授業計画と評価規準・基準例

本書では「関心・意欲・態度」など4つの観点で授業計画を立て、評価規準・基準を明らかにした。各学校や地域の実状に応じて評価規準等を作る上で参考になるだろう。


復刊時予価: 2,332円(税込)

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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-565408-1
ジャンル:
算数・数学
刊行:
対象:
中学校
仕様:
B5判 128頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

第1章 数学科における評価
――相対評価から絶対評価へ――
1 新しい数学教育を目指して
2 相対評価から絶対評価へ
(1) 相対評価・絶対評価・個人内評価/ (2) 評価の条件と働き/ (3) 相対評価と絶対評価の比較/ (4) 評価の規準の改訂の動き
3 評価の意義
(1) 評価の定義/ (2) 評価の時期・期間/ (3) 評価の観点と評価規準
4 数学科の評価の観点と評価規準
(1) 中学校数学の評価の観点/ (2) 中学校数学の評価規準
5 数学科の評価方法
(1) ペーパーテストによる評価/ (2) 観察による評価/ (3) ポートフォリオ評価
6 数学への関心・意欲・態度や数学的な見方や考え方を育てる
学習指導
7 絶対評価の中での数学教育
(1) 個に応じた教育/ (2) 学力を保障する教育/ (3) 指導と評価が一体となった教育
第2章 目標に準拠した評価の実際
1 指導のねらいの作成
(1) 数学科の目標/ (2) 学年の目標/ (3) 各領域別学年の目標/ (4) 単元の目標/ (5) 各節・時間ごとの目標
2 評価規準(criterion)の作成
(1) 評価規準/ (2) 評価規準の作成
3 評価基準(standard)の作成
(1) 評価問題と評価基準/ (2) 各観点における評価基準の留意点
4 評価
(1) 相対評価から絶対評価へ/ (2) 「観点」の推移/ (3) 評価シートの活用
5 指導の改善
(1) 評価後の補充・深化・発展と評価
6 指導と評価の一体化
(1) 指導内容の理解から評価・評定までの流れ/ (2) 観点別学習状況の評価から評定への総括/ (3) 観点別評価から評定への総括
第3章 「数学への関心・意欲・態度」の評価
1 「数学への関心・意欲・態度」の指導のねらい
2 「数学への関心・意欲・態度」の評価規準
(1) 中学校数学における「数学への関心・意欲・態度」の評価規準/ (2) 「数学への関心・意欲・態度」の学年・単元ごとの評価規準
3 具体的な教材における目標に準拠した評価の在り方
(1) 単元の指導計画(2年「式の計算」)/ (2) 学習指導案/ (3) 評価規準/ (4) 評価方法
4 評価後の指導の在り方
(1) 生徒への指導/ (2) 指導の改善
第4章 「数学的な見方や考え方」の評価
1 「数学的な見方や考え方」の指導のねらい
(1) 「考え方」から「見方や考え方」へ/ (2) 数学的活動を通して学ぶこと/ (3) 思考の過程を振り返り考え深めること
2 「数学的な見方や考え方」の評価規準
(1) 中学校数学における「数学的な見方や考え方」の評価規準/ (2) 「数学的な見方や考え方」の学年・単元ごとの評価規準
3 具体的な教材における目標に準拠した評価の在り方
(1) 単元の指導計画(2年「図形」)/ (2) 学習指導案/ (3) 評価規準/ (4) 評価方法
4 評価後の指導の在り方
(1) 生徒への指導/ (2) 指導の改善
第5章 「数学的な表現・処理」の評価
1 「数学的な表現・処理」の指導のねらい
2 「数学的な表現・処理」の評価規準
(1) 中学校数学における「数学的な表現・処理」の評価規準/ (2) 「数学的な表現・処理」の学年・単元ごとの評価規準
3 具体的な教材における目標に準拠した評価の在り方
(1) 単元の指導計画(1年「正負の数」)/ (2) 学習指導案/ (3) 評価規準/ (4) 評価方法
4 評価後の指導の在り方
(1) 生徒への指導/ (2) 指導の改善
第6章 「数量,図形などについての知識・理解」の評価
1 「数量,図形などについての知識・理解」の指導のねらい
2 「数量,図形などについての知識・理解」の評価規準
(1) 中学校数学における「数量,図形などについての知識・理解」の評価規準/ (2) 「数量,図形などについての知識・理解」の学年・単元ごとの評価規準
3 具体的な教材における目標に準拠した評価の在り方
(1) 単元の指導計画(3年「2乗に比例する関数」)/ (2) 学習指導案/ (3) 評価規準と評価方法
4 評価後の指導の在り方
(1) 生徒への指導/ (2) 指導の改善
第7章 選択「数学」の評価
1 選択「数学」のねらい
(1) 選択教科としての数学
2 選択「数学」における目標に準拠した評価の在り方
(1) 選択「数学」における課題学習や発展的な学習の教材例/ (2) 予想される学習活動例/ (3) 評価規準/ (4) 評価方法
3 評価後の指導の在り方
(1) 生徒への評価の重要性/ (2) 指導と評価の一体化
第8章 数学科におけるポートフォリオによる評価
1 ポートフォリオとは何か
(1) 「自らの学び」をまとめること:状況的学習論/ (2) 「新しいタイプ」のまとめ:構成主義的認識論/ (3) 学習の過程(プロセス)を重視すること
2 ポートフォリオによる評価
(1) 「アセスメント」としてのポートフォリオ:ポートフォリオで評価すること/ (2) 「対話数学プログラム」におけるポートフォリオ:ポートフォリオを評価すること/ (3) 全体論的評価法/ (4) ポートフォリオによる評価の現状と課題
3 ポートフォリオ学習

はじめに

 平成14年度から,新学習指導要領のもとでの教育が始まり,そして,指導要録の評定も相対評価から絶対評価に変わりました。

 今回の改訂の特徴は,「生きる力」という標語に表されており,自ら主体的に考える生徒を育てることを目指しております。このような生徒を育てるには,評価が,重要な役割を演じます。評価は,生徒の成果を写す鏡となるからです。評価を通して,生徒は,自らの成果を確かめていくからです。これまでの相対評価では,自らの成果を確かめるのは友人との比較を通してであり,自らの成果についての情報は少ないものでした。それが絶対評価に変わり,これからは,外的な規準で自らの成果を確かめることが可能になり,自らの成果の情報が多くなります。このことは,評価が学習指導と一体化し,自ら考える生徒を育てる上で重要なことだと思います。

 本書においては,中学校数学科の評価の観点の意義を実際に即して明確にするために,それぞれの4つの観点に焦点を当てて,授業計画を立ててみました。もちろん,授業においては,4つの観点は総合的に捉えるものです。

 評価規準や評価基準は,各学校や各地域で学習指導要領に基づいて作成することになっています。そこで,本書においては,執筆者の先生方に自らの考えや解釈で評価規準等を作っていただきました。これらが,それぞれの学校や地域の実状に応じて評価規準等を作るうえでのご参考になれば幸いです。

 なお,本書を作成する上で,国立教育政策研究所教育課程研究センターによる『評価規準の作成,評価方法の工夫改善のための参考資料―評価規準,評価方法等の研究開発(報告)―』を参考にしました。また,新中学校学習指導要領の目標・内容等については,『中学校新数学科の授業モデル』全4巻(長崎・五十嵐編著,明治図書刊)や,『細案・略案で見る中学校新数学科授業プラン集』全3巻(相馬・国宗・長崎編著,明治図書刊)などをご参考にしていただきたいと思います。

 本書が,新しい評価を作り,そして,新しい数学教育を創造していく一歩となることを願ってやみません。


  平成15年2月   /長崎 栄三

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