- はじめに
- 1章 自ら学べる子どもにするために
- 2章 自ら学べる子どもの育成を目指した授業実践
- ―低・中・高学年における実践
- 低学年 自己評価を意識した授業づくり
- 中学年 表現力とコミュニケーション能力の育成を目指した授業づくり
- 高学年 理論的な思考法を高める指導
- 3章 自ら学べる子どもの育成を目指した指導計画と展開例
- ―各学年の前半期の授業づくり
- 1年生の計画と展開例
- のこりはいくつ ちがいはいくつ/ たしざん(繰り上がりのあるたし算)
- 2年生の計画と展開例
- たし算のひっ算/ 三角形と四角形
- 3年生の計画と展開例
- 異学年交流学習で算数先生になろう/ まいごの宇宙人をさがせ
- 4年生の計画と展開例
- 三角形/ わり算の筆算敢
- 5年生の計画と展開例
- 分数/ 四角形
- 6年生の計画と展開例
はじめに
研究授業を参観していて,感心することがよくある。また授業後の検討会でも,参加された先生方から「子どもがよく育っている」,「子どもたちが自分の考えを的確に表現し,自分たちで議論し,教えるのではなく自ら学習している」,「低学年でも,こんな説明ができるんですね」,「どうしたらこのような学級ができるのか」という意見が出されたり,質問される場面に出会う。一方,「どうもうちのクラスの子どもは考える力が弱い」,「算数の力がない」,「自分で考えていけない」,「自分の考えが表現できない」という声もよく聞く。
これらのことを一言で言うと,子どもたちに「学び方が育っている(いない)」といえるのではなかろうか。新学期に新しい学級をもった際の出発点は同じはずなのにもかかわらず,どうしてそのような差がでるのであろうか。先のような研究授業をなさる先生方は,日ごろから(特に新学期には)どのような意識をもって学級づくり,授業づくりに取り組んでいるのだろう。もちろん,先生方が考えている学級づくりは,学校生活全体を通してなされるものであろうが,授業を通しても,学び方の育成を目指した授業を設計し,実践することがなによりも大切なことであろう。
本書は,上記のような優れた実践をしてきている先生方が,算数科の授業を通して,子どもたちがよりよい学び方をするのに,日ごろからどのような点に心がけて授業を設計し,実践しているかを明らかにし,共に授業作りを考える書である。特徴は,「2学期に研究授業をする以前に,1学期からその時期までに,自ら学べる子どもの育成をめざし,どのように子育てをするか」ということにある。1章では,自ら学べる子どもを育てる基礎を記した。2章では低,中,高学年でそれぞれ「どのような工夫で子どもを育てるか」という指導方略を,その授業事例とともに紹介した。3章では,各学年毎にどのような子どもを育てたいのかと,そのような子どもを育てるための指導計画,そして具体的にどのような実践をしたらよいのかを提案した。次は,本書を参考に学級づくりをなさった先生方から,子どもの姿を聞ければ幸いである。
本書を刊行するにあたり,明治図書の仁井田康義氏,相田芳子氏には,構成を含め,いろいろな視点から的確なご助言をいただいた。ここに心からお礼申し上げます。
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- 明治図書