- まえがき
 - 1章 補充編パートTのファックス教材集
 - ☆小学校の内容をふまえたテーマ
 - 1 分数のたし算・ひき算
 - 2 分数のかけ算・わり算
 - 3 □や( )を使った式
 
- 2章 補充編パートUのファックス教材集
 - §1 正の数と負の数
 - 1 正の数・負の数の加法・減法
 - 2 正の数・負の数の乗法・除法
 
- §2 文字と式
 - 1 文字式の表し方
 - 2 等式
 - 3 1次式の計算
 
- §3 1次方程式
 - 1 1次方程式
 - 2 1次方程式の利用
 
- §4 式の計算
 - 1 文字式の計算
 - 2 文字式の利用
 
- §5 連立方程式
 - 1 連立方程式
 - 2 連立方程式の応用
 
- §6 多項式と因数分解
 - 1 式の展開
 - 2 因数分解
 
- §7 平方根
 - 平方根の意味とその計算
 
- §8 2次方程式
 - 1 2次方程式の解とその解き方
 - 2 2次方程式の応用
 
- 3章 発展編のファックス教材集
 - 1 数あてゲーム
 - 2 トランプゲーム
 - 3 4つの4(4 Fours)
 - 4 分銅ではかる
 - 5 カレンダーを作ろう
 - 6 古代エジプトの分数
 - 7 小数の表し方
 - 8 数のまとめ方
 - 9 和算に親しもう
 - 10 無理数と曲尺
 - 11 円周率πの歴史
 - 12 文字を使うよさを見出そう
 - 13 フィボナッチの数列
 
まえがき
今回の学習指導要領の改訂によって,必修教科の内容は,ミニマム・リクワイアメントへ転換され,99.99%落ちこぼれをなくすことが期待されています。
教科書の内容は,ミニマムであるから,すべての生徒に習得させなければならないし,ミニマムであるから,余力のある生徒には,上限を設けない青天井と考えて,十分に伸ばすことが求められているのです。
現場の混乱が解消されたわけでもない現状で,このような二重苦を背負うことになります。
二重苦の一つは,ミニマムを99.99%の生徒に習得させることであり,もう一つは,余力のある生徒をどのように見出し,どんな内容を計画的に提示していけばよいか現場の判断に100%委ねていることです。
さらに,中学校においては,数学,英語,理科を主要教科と位置づけ,その基礎学力を維持向上することがのぞまれるようになってきました。これは,3回にわたる改訂の間に「ゆとり」によって,基礎学力の骨組みが崩れているのではないかとの批判に応えるとともに,我が国の総合力の低下に歯止めを掛けようとの願いが無視できなくなってきたことによるものと考えられます。
はっきりした展望のないままに,上の二重苦に加えて,新しい重圧ともなりかねません。
さらに,依然として,実態を知らない知育偏重の非難にもさらされることを覚悟しなければならないようです。
現在の中学校教育は,四面楚歌の中での苦闘という他はありません。最大のピンチであるからこそ,原則に帰り,「一人一人を伸ばす」ことに愚直にこだわる必要があるということもできましょう。
四面楚歌といいましたが,これは数学だけではなく,すべての教科についていえることであり,このことが,とりわけ,中等教育の根幹を実質的に揺るがせているのです。教科教育の価値の再確認こそが学校教育の改革にとって必要であり,それを望む動きも,遅きに失し,実効をあげる保証はそれほどないまま,始まっています。
その一つは,主要教科の指定及び少人数学級編成の認容です。数学は指導の徹底を図るため,15〜20人での指導が考えられるようになるでしょう。これを実現するためには,非常勤講師の受け入れが避けられないでしょうから,これまでより細かい指導計画が教科として必要になってきます。その際,少子化による中学校の小規模化などにより,専任の教師は指導計画の立案・実施・点検などの教科運営の主役になることが期待されるようになるでしょう。
もう一つは,今回の改訂によって,必修の時間,内容は削減されましたが,課題学習,選択教科,総合的な学習の時間などは大幅に拡大され,それらの活用は,各学校の裁量に委ねられることになりました。総合的な学習の時間にしても生徒の興味・関心によっては,幅広く内容を取り上げることができますので,生徒の選択によるのですが,教科に関連した内容を十分に扱える余地が確保されているのです。このことは,教科の再編・統合への動きともからめて考えておかねばならないことです。というのは,教科としての重要度がためされていることにもなるからであります。
最後に,評価に対する基本的な考え方の変化をあげておきましょう。学校の使命は,「一人一人を伸ばす」ことに徹底することが求められています。
そして,教師には,専門家としての見識と力量が求められることになるのです。とはいえ,タブー視してきた課題に対し,にわかに妙案がでてくるとは現実的には考えにくい状態です。生徒の情報を的確に把握し,適切に指導に生かせるようなシステムの構築を地道に続けることより他に方法を見出すことは,難しいのではないでしょうか。
このような実態において,多忙の中で,立ち向かわれる先生方に,何らかのお役に立てられるよう,一人一人に応じた教材作りの素材の提供になればと考えて本書を編集しました。
選択教科としての数学では,「課題学習,補充的な学習や発展的な学習など」の内容をもりこみ,「生徒の特性等に応じた多様な学習活動に備えるよう」になっています。
そこで,補充編パートT,補充編パートU,発展編の3つの章で構成しました。補充編パートTは,小学校の内容のなかで,中学校での学習に欠かせないものを補充するために用意しております。補充編パートUは,中学校の必修の内容を補充できるよう,内容の程度は教科書に準拠して,重複した感じをもたせないようにするため,多少目先を変える工夫をして,多様なアプローチの方法を提案しています。発展編は,発展的な学習,課題学習などに利用できるよう,程度などの制限には必ずしもこだわらないで,興味や関心をもたれる内容を選んでいます。
これらは,いずれも参考例ですから,先生方がご指導いただく学級の実態に応じて取捨選択され,さらに補足されるなど,様々にご活用いただけることを願っています。
平成14年1月 編者 /正田 實
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明治図書
 
















