- 第T章 選択数学の大切な観点
- ―文化の一環としての数学―
- §1 古代の画法
- §2 見取図とは
- §3 立面図的見取図
- 第U章 ローンのしくみを探る
- ―金利と等比数列の応用―
- 第T節 「ローンのしくみを探る」の構成と概観
- §1 金利と等比数列の数学的・教育的意義
- §2 指導計画とその展開
- 第U節 単元の展開
- 単元1 ローンのしくみを探る―金利と等比数列の応用―
- 第1節 金利のしくみ
- §1 貯金1年後の預金額〈問1〉
- §2 複 利 法〈問1〉
- 第2節 等 比 数 列
- §1 等比数列〈問1〉
- §2 等比数列の和〈問1・2〉
- 第3節 等比数列の応用
- §1 積立貯金のしくみ〈問1〉
- §2 ローンのしくみ〈問1〉
- 単元確認テスト
- 問・単元確認テスト【解答】
- 第V章 瞬間の速さを調べる
- ―関数の変化率―
- 第T節 「瞬間の速さを調べる」の構成と概観
- §1 変化率の数学的・教育的意義
- §2 指導計画とその展開
- 第U節 単元の展開
- 単元2 瞬間の速さを調べる―関数の変化率―
- 第1節 平均変化率
- §1 平均変化率〈問1〜4〉
- §2 関数を表す記号f〈問1〉
- 第2節 瞬間の速さと変化率
- §1 瞬間の速さを求める〈問1・2〉
- §2 関数の変化率〈問1〜3〉
- 第3節 導関数(変化を表す関数)
- §1 導 関 数〈問1〉
- §2 微分の計算規則〈問1〉
- 第4節 2次関数を調べる
- §1 2次関数のグラフと応用〈問1・2〉
- 単元確認テスト
- 問・単元確認テスト【解答】
- 第W章 立体感のある絵を描こう!
- ―数学的遠近法とその活用―
- 第T節 「立体感のある絵を描こう!」の構成と概観
- §1 数学的遠近法の数学的・教育的意義
- §2 指導計画とその展開
- 第U節 単元の展開
- 単元3 立体感のある絵を描こう! ―数学的遠近法とその利用―
- 第1節 絵画・写真の世界
- §1 絵画・写真の観察
- §2 スケッチの実施〈問1〉
- 第2節 数学的遠近法の原理としくみ
- §1 正方形格子の像〈問1〉
- §2 数学的遠近法の基本性質〈問1〉
- §3 座標による表現〈問1〉
- 第3節 立体感のある絵の制作
- §1 立体感のある絵の制作
- 単元確認テスト
- 問・単元確認テスト【解答】
- 第X章 地球儀の幾何
- ―地球上の距離と時間―
- 第T節 「地球儀の幾何」の構成と概観
- §1 「地球儀の幾何」の数学的・教育的意義
- §2 指導計画とその展開
- 第U節 単元の展開
- 単元4 地球儀の幾何―地球上の距離と時間―
- 第1節 地球の大きさを知る
- §1 地球儀をみる〈問1〜8〉
- §2 世界の中の日本の大きさ〈問1〜5〉
- §3 地球上の2点間の距離〈問1・2〉
- 第2節 時差のしくみ
- §1 世界各地の標準時と時差〈問1〜5〉
- §2 日時計
- 単元確認テスト
- 問・単元確認テスト【解答】
- 第Y章 戸外で測量しよう!
- ―鋭角の三角関数と直角三角形の解法―
- 第T節 「戸外で測量しよう!」の構成と概観
- §1 三角関数の数学的・教育的意義
- §2 指導計画とその展開
- 第U節 単元の展開
- 単元5 戸外で測量しよう!―鋭角の三角関数と直角三角形の解法―
- 第1節 直角三角形の鋭角から辺の長さへ
- §1 回転運動と直線運動〈問1〜3〉
- §2 sin,cosの値〈問1〜6〉
- 第2節 直角三角形を解く
- §1 辺を求める〈問1〜4〉
- §2 角を求める〈問1〜5〉
- §3 高さに対応する三角関数〈問1〜4〉
- §4 tanによる直角三角形の解法〈問1〜4〉
- 第3節 測量
- §1 簡易測量器の製作〈問1・2〉
- §2 測量の実際〈問1〜8〉
- 単元確認テスト
- 問・単元確認テスト【解答】
- 第Z章 面積・容積を最大にする数学
- ―関数で探る最大値―
- 第T節 「面積・容積を最大にする数学」の構成と概観
- §1 この単元の数学的・教育的意義
- §2 指導計画とその展開
- 第U節 単元の展開
- 単元6 面積・容積を最大にする数学―関数で探る最大値―
- 第1節 花壇の面積と箱の容積
- §1 19個のレンガで花壇を作る〈問1・2〉
- §2 B5判の厚紙で箱を作る〈問1〜4〉
- 第2節 変化する最大値
- §1 最大容積を割り出す一覧表〈問1・2〉
- §2 グラフに現れる最大値・最小値〈問1〉
- 単元確認テスト
- 問・単元確認テスト【解答】
- 第[章 入試数学解法テクニック
- ―高い立場からの数学で―
- 第T節 「入試数学解法テクニック」の構成と概観
- §1 高校入試の数学問題について
- §2 指導計画の展開
- 第U節 単元の展開
- 単元7 入試数学解法テクニック―高い立場からの数学で―
- 第1節 整数の問題に挑戦しよう!
- §1 素因数分解と余りの問題〈問1〜3〉
- §2 十進法のしくみ〈問1・2〉
- 第2節 2次方程式の問題に挑戦しよう!
- §1 2次方程式の問題〈問1〜3〉
- §2 数列の問題〈問1〉
- 第3節 相似や比の問題に挑戦しよう!
- §1 平行線と相似〈問1・2〉
- §2 面積や辺の比を使う問題〈問1・2〉
- 第4節 三平方の定理とその応用問題
- §1 三平方の定理〈問1〉
- §2 座標と三平方の定理〈問1〉
- 単元確認テスト
- 問・単元確認テスト【解答】
はじめに
この『第三学年の「選択数学」』は,『中学校「選択数学」の新展開』シリーズ全4巻の第4巻として,下記の意図で執筆・編集されたものである。
1 中学校の数学の先生方に,中学3年の選択教科として,数学の学習に役立てて頂くようにした。中学3年は,中学最後の学年であり,高度ではあるが将来の科学技術界や社会での活動に展望を与えるよう,コンパクトにまとまった数学を扱うよう配慮した。
2 私どもが中学校の先生方と共に,先進的に研究し実践してきた「選択数学」の成果を生かして内容を構成した。従って執筆者には,全国各地で平素から数学教育を研究され,「選択数学」の学習を開拓的に実践しておられる先生方にお願いした。
3 本書の第T章では,絵画における画法の発展を中心に,数学が人類の文化の発展に果たしてきた役割を学習できるようにした。ここでは,眼を長い歴史にまで広げて数学が眺められるように配慮した。
4 第U章から第[章までは,広範な数学の分野から,中学3年の生徒が興味を持つ高次の数学にも及んで,以下のように構成した。
・中学生にも,ローンによる商品の購入が普及してきた。中学3年ともなれば,当然ローンに対する正しい知識と運用を学ぶ必要がある。そのために,ローンに関する単元を設けた。
・瞬間の速さなど,現実の事例を対象にすれば,極限の概念も中学3年に決して難しいものではない。極限の概念を変化率まで広げて,関数の変化をとらえられるようにした。そしてインホーマルな(形式張らない)微分に及んでいる。
・写実的な画法の基本は,数学的遠近法である。この数学的遠近法について,理論的な展開と実際的応用について学習するようにした。この幾何学は,中学生にも学ばせたい写像の幾何学の一種である。
・現代は,社会的事象が地球的規模で展開される時代である。時差や地球上の2地点間の距離などは,中学生にとって当然学習されるべき数学である。それを地球儀の幾何学として扱えるようにした。
・図形を計量的に扱うには,三角関数が不可欠である。そこで,測量と関連づけながら三角関数を展開できるようにした。
・また,関数の実際的利用では,極値の問題が大切になる。そこで,実際的な問題について最大値,最小値の研究ができるように構成した。
・ほとんどの中学3年にとって,高校受験は避けて通れない実情がある。そうした状況にも対応できるよう,高校進学に役立つ,やや高度の数学を取りまとめた。
5 第U章から第[章までの各章では,まず学習内容について「構成と概観」を述べ,続く各節では,例題や問まで含めて,細部に亘る具体的な展開を示した。また各章の終わりには,その章の学習内容を確実に習得させるべく,「単元確認テスト」を提示した。
6 私どもは,選択数学もまた必修数学と同様に,学習した内容は学習者が確実に学力として獲得するよう願って止まない。例題,問だけに終えることなく,確認テストまでも掲載したのは,確実な学力の保証を願ってのことである。
7 中学3年の選択数学の内容は,先生,生徒,地域の実情に応じて,多様に創造できる余地がある。内容の展開方法もまた,多様に考えられる。
私どもは,そうした多様な選択数学から,先生方各自が,自前の選択数学を構成する際,実際的な参考とされることを願って本書を執筆した。
以上に述べた諸目的を達成するため,私ども監修・編集者は,かなりの時間と労力を必要とした。特に菊池の場合は,執筆者と繰返し連絡を取り合い,本書の目的に適うよう必要な加筆・修整を重ねてきた。
こうして,本書は監修・編集者と各章の執筆者との協力・合作が実を結んだ図書である。それだけに,全国各地の数学の先生方に,一層の活用を願わずにはおれない。
なお,本シリーズ『中学校「選択数学」の新展開』全4巻のうち,第1巻に当たる『「選択数学」の考え方と展開』では,中学校全学年を通しての,「選択数学」の意義と役割,中学生に必要な高次の数学とその内容,学習指導要領にみる「選択数学」の位置づけ,戦後から今日に至る数学教育史の中での「選択数学」の歴史的経過,などが詳述されている。本書と共に,この第1巻も是非活用して頂きたい。
また,中学校での選択数学の可能性は多様であり,本シリーズ全4巻中の『第1学年の「選択数学」』並びに『第2学年の「選択数学」』に対応する第2巻,第3巻も参照して頂き,必要に応じてこれらの巻の内容を,中学3年の選択数学として活用して下されば幸いである。
各巻には未熟な点も残されているが,それらは今後の改訂で補っていきたい。
本巻を初め,『中学校「選択数学」の新展開』全4巻を出版するに当たっては,明治図書・江部満氏の激励があったからこその実現であった。ここに改めて感謝の意を表する次第である。
2001年1月10日
監修者 /横地 清
編集者 /菊池 乙夫
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- 明治図書