中学校「選択数学」の新展開1「選択数学」の考え方と展開

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新教育課程にみる選択教科としての「数学」は中学生の生き甲斐にどのような意義をもっているか。そのためにどう役立てるか。実践的理論的に具体例で解説し歴史的意義を説く


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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-560710-5
ジャンル:
算数・数学
刊行:
対象:
中学校
仕様:
B5判 104頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

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はじめに
第T章 選択数学の意義と内容
§1 「選択数学」の意義
1 基礎数学と選択数学
2 選択数学の必要性
3 選択数学の内容
§2 ジャガイモの数学―カバリエリの定理―
1 平面上の「カバリエリ」の定理
2 空間の「カバリエリの定理」から三角錐の体積まで
§3 「三垂線の定理」から「地球儀の幾何学」まで
1 平面への垂線と二面角
2 二直線の作る角・一直線と平面の作る角
3 三垂線の定理
4 地球儀の幾何学へ
5 日の出,日の入り
6 赤道型日時計
§4 三面角の幾何学と製作活動
1 いま,なぜ,三面角か
2 多角形と多面体の本質的な違い
3 三面角の性質
4 ワゴン車とピラミッド
§5 ピタゴラスの定理をめぐって―考える習慣/日独の協同学習を契機に―
1 日独間の協同学習の実施
2 ドイツ側の展開
3 定理の意味と証明の発見
§6 数列の和から球の表面積まで―付:中国の高校入試問題―
1 中国の生徒80点,日本の生徒35点の話
2 数列の和
3 三角錐の体積から,球の表面積まで
§7 立面図的見取図と見取図―研究課題として―
1 古代の絵画から
2 立面図的見取図と見取図の描き方
第U章 中学校数学の史的背景
§1 中学校数学教育の概観
1 戦前から戦後への転換
2 生活単元学習とその功罪
3 系統学習から「現代化」へ
4 「現代化」の顛末
5 「現代化」後から現在まで
§2 すべての中学生に「生きる力となる数学」を! ―関数教育を例として―
1 現実の矛盾からの出発
2 歴史が創り出した矛盾の根源
3 関数と解析幾何との分離,独立へ
4 関数をめぐる子ども達の認識
5 生きる力となる関数教育を
6 関数から独立した解析幾何
7 「現代化」をどう乗り越えたか
§3 選択数学の史的経過
1 選択数学の背景
2 選択数学の始まり
3 選択数学の現実
4 選択数学への現場の対応
5 選択数学のその後
6 選択教科の現在と展望
おわりに

はじめに

 この『「選択数学」の考え方と展開』は,『中学校「選択数学」の新展開』シリーズ全4巻の,第1巻にあたる総合編/理論編である。

 本書では,次の諸点を明らかにして,中学校の数学の先生方や,数学教育の研究者に役立てて頂くようにした。

 (1) 新教育課程に見る,選択教科としての数学(以下では選択数学と略称しよう)は,日本の教育の発展に,更にまた,日本の中学生の生き甲斐に,どのような意義を持っているか,これらの点をを明らかにしていく。

 (2) 選択数学の学習内容は何か,その内容を,教室で,どのように展開するか。これらの点を実際例で明らかにしていく。

 (3) 私共は,新教育課程の選択数学に,役立てることはもとよりながら,早くから続けている,数学教育の実践的,理論的研究の一環として,今日の選択数学に,大きく寄与しようと考えている。改めて言えば,本書では,数学教育の歴史と今後のあるべき方向に基づいて,選択数学のあり方を明らかにしようとした。

 (4) 例えば,本書の,三角関数の実際的活用,三面角の数学による立体製作,日時計の数学に見るように,私共は,質の高い数学の学習,そうした数学の創造的活用を,選択数学の内容として重視している。別様に言えば,質の高い数学それ自体の学習と,そうした数学の創造的活用こそが,今後の選択数学の学習内容であると考えている。こうした意図を実際例で明らかにしようとした。

 (5) 一方,私共は,選択数学が,今日,重視されるまでになった,数学教育の歴史的系譜を明らかにすることに努めた。選択数学の意義や,今後の方向を明らかにするには,ここに至る歴史的系譜の検討が,重要な資料であると考えているからである。本書で,かなりのぺージを割いて,歴史的系譜を述べたのもそのためである。

 本書では,内容を,第1章「選択数学の意義と内容」,第2章「中学校数学の史的背景」の2つの部分に分けて執筆した。第1章では,実際例で上記の諸点を明らかにした。第2章では,歴史的系譜の中で,上記の諸点を明らかにした。

 上記の意図で執筆した本書が,多くの読者に活用され,意義のある選択数学が,日本の中学生に実現されることを願っている。

 最初にも述べたように,本書は『中学校「選択数学」の新展開』シリーズ全4巻の第1巻の総合/理論編である。続巻の第2巻,第3巻,第4巻では,それぞれ,中学校の一学年,二学年,三学年と学年別に,上記の意図に従い,選択数学の実際的展開を述べた。本書と共に,これらの図書を活用されることを願っている。

 なお,本書の第1章は横地が,第2章は菊池が執筆を担当し,全体の調整を横地が行なった。本書には不十分な点もみられるが,それらの点は,今後の改訂で改めていきたい。本書の出版に際し,明治図書の江部満氏には,企画から構成まで,多くの点で,お世話になった。改めて,ここに,感謝の気持ちを記しておきたい。


  2000年10月1日   /横地 清

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      明治図書

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