- はじめに
- 序章 学習指導の目的と検討課題
- 第1節 場面からの問題作成に始まる学習指導の目的
- (1) 個に応じるから生かすへ
- (2) なぜ実際的場面からはじめるのか
- 第2節 授業に際しての具体的課題と先行研究
- (1) 作問の動機と方法
- (2) 適切な指導過程をどう作るか
- (3) 問題作りの効果
- 第1章 場面からの問題作成の特徴と方法
- 第1節 場面からの問題作成の特徴
- 第2節 場面からの問題作成の方法
- 第3節 場面からの問題作成の支援
- 第2章 写真を利用した学習指導
- 第1節 写真の特性と利用法
- 第2節 長期休業を利用した課題学習
- (1) 学習指導概要
- (2) 生徒の数学的活動の分析
- 第3節 写真からの問題作成法の指導
- (1) 授業概要〜2例(2年)
- (2) 問題作成法の指導過程
- 第4節 学習指導による数学観の変容
- 第5節 学習指導事例
- 事例1 事象を数学的にみようとする態度を育てる指導(2年)
- 事例2 夏休みの課題から写真を選んだ指導(2年)
- 事例3 日ごろの指導での写真利用(3年)
- 事例4,5 問題の発表会と生徒による授業評価(1,2年)
- 第3章 新聞を利用した学習指導
- 第1節 マスコミによる情報の利用
- 第2節 新聞記事にこだわる理由
- 第3節 新聞記事を利用した指導事例
- 事例1“南方領土”は波から守った
- 事例2 NZ馬初勝利,オグリは2位
- 事例3 サッカー・ワールドカップ
- 第4節 考察
- 第5節 新聞からの問題設定の方法
- 第4章 コンピュータを利用した問題作成
- 第1節 数学教育におけるコンピュータの活用
- (1) 数学教育におけるコンピュータ活用法
- (2) 数学的活動を支援するためのコンピュータ
- 第2節 コンピュータを活用した問題作成
- (1) 問題作成の意義
- (2) 問題設定のタイプ
- 第3節 コンピュータからの問題作成の方法
- (1) コンピュータの特徴と利用の仕方
- (2) コンピュータを利用した作問過程
- (3) 実施に際しての留意点
- 第4節 学習指導事例
- 事例1 2人に1台のコンピュータを使って(2,3年)
- 事例2 教室に1台のコンピュータを使って(3年)
- 事例3 作問への動機づけと作問活動の振り返りを重視して(3年)
- 第5章 作図ツールとしてコンピュータを利用した学習指導
- 第1節 作図ツール(Geometric Constructor)を用いた問題作成
- (1) 問題設定の活動を支援するためのソフトに必要なこと
- (2) 問題設定の活動を支援するための2種類のソフト
- (3) 作図ツールの例としてのGeometric Constructor
- (4) どう使うか―基本的な考え方―
- 第2節 作図ツール(Geometric Constructor)を使った問題解決のための問題とその解決の例
- 事例1 重心と外心の軌跡
- 事例2 四角形の中点を結んでできる四角形
- 事例3 四角形の角の二等分線からできる四角形
- 事例4 内心の軌跡
- 事例5 垂心の軌跡
- 事例6 小学校の教科書の図形を元にした問題解決の例
- 結びにかえて
はじめに
左頁の写真やコンピュータグラフィックスを御覧いただきたい.そこには,どのような数学の内容や問題が潜んでいるだろう.そこに何か問いを設定することから,数学を創りだすことはできないであろうか.さらには,その活動自体を生徒自身が進められるようにできないであろうか.無論,難しいと答える方もおられよう.しかし,そういった教育活動を,現実のものとすることこそが,今私たちに求められている.
新しい教育課程では,社会の変化に主体的に対応できる能力,自己教育力,そして情報活用能力の育成等がうたわれ,数学科では課題学習の時間枠が確保された.では,その時間枠を,その主旨を生かして,私たちはどう実現させていったらよいのであろうか.本書は,前述のような場面からの問題作成による授業改善を主題に,メディアを活用した課題学習へのアプローチを提案している.
問題作成の先行研究書と同じく,私たちはその実践を「教師が問題を提示し,範例を示す」授業形式を反省することからはじめた.生徒が問いをもてなければ,主体的な学びや発見,さらには創造の契機はないと考えたからである.そして,情報活用力育成という今日的立場から,写真,新聞,コンピュータ等のメディア活用による場面提示を考えたのである.
本書の出版に際して,明治図書の立花正夫氏に大変な御苦労をおかけした.改めて厚く感謝の意を表する.
1992年4月
問題から問題へ、条件換えによる問題作りはよく知られている。
数学的モデル化では、最初に問題文はなく、あるのは状況。
では、場面から問題はどう作るのか。
教室での指導法をはじめて記したのが、この本である。
問題作成方法もオリジナル。誰もができます。