- まえがき
- 第T部 数学言語としての文字式を使いこなせる生徒を育てるために
- (1)数学言語としての文字式 ―文字式は数学の思考と表現の手段―
- (2)文字式の歴史的背景
- (3)文字式の役割
- (4)文字式を使いこなせる生徒にするために ―生徒のつまずきから―
- 第U部 こうすれば文字式に強くなる!
- [1] 1学年 文字式との出会いで数学の世界が広がる!
- 1 文字式に入る前にこれだけは必ず押さえよう!
- ・碁石の問題
- ・代数和
- 2 文字式との出会いはこんな授業で!
- ・マッチ棒の問題
- 3 こうすれば文字と数を行き来できるようになる!
- ・代入と式の値
- 4 文字式の計算練習は目的をはっきりと
- ・式の計算
- [2] 2学年 文字式を駆使して数や図形の性質を探究しよう!
- 1 文字式で表すことで構造がみえる!
- ・すきまはどれくらい?
- ・数当てゲーム,陸上競技のトラック
- 2 文字式を使えば言葉と同じように説明できる!
- ・整数の性質の説明
- ・図形の性質の説明
- 3 具体的な数で考えたことを文字式に表して仕組みを探ろう!
- ・17番目の不思議
- 4 等式変形は目的を明確に!
- ・新幹線の座席の数
- [3] 3学年 文字式による表現を自由自在に使いこなそう!
- 1 平方根や分数を1つの数とみるのは,
- 文字式を1つの数ととらえるのと同じ
- ・平方根と分数
- 2 多項式の展開や因数分解に入る前にこれだけは必ず押さえよう!
- ・半円の弧の長さ
- 3 式の形に注目しよう!
- ・多項式の展開・因数分解
- 4 代数的な計算の意味を図形で考えよう!
- ・面積図を使って因数分解を考える
- 5 文字式の説明を発展的に考えよう!
- ・2つの続いた奇数の積に1を加えたら
- ・式を通して既習事項を統合的にみる
- [4] 文字式の活用 文字式を使いこなせば,数学の世界はさらに広がる!
- 1 方程式の中の文字を変数とみられるようになるために
- ・一次方程式
- ・二元一次連立方程式
- ・二次方程式
- 2 図形の性質の証明で文字式が大活躍!
- ・凹四角形の角の和
- ・二等辺三角形と直角三角形
- ・円周角の定理の証明
- 3 具体的な数を文字式で表す橋渡しのために意識的に使おう!
- ・二次方程式の解の公式
- ・三平方の定理
- 参考・引用文献
まえがき
中学校数学の指導の問題点は,文字式の指導と図形の論証指導であると言われている。この2つには抽象的な思考と論理的な思考が要求される。この2つの思考を養うことが中学校数学科の大きな柱であり,この2つの思考をうまく使って問題解決できるようになることが数学に強くなる条件であると言ってよい。
本書は,この指導の困難点の1つである文字式の指導に焦点を当てている。文字式の指導を意識して丁寧に行うことで,数学に強くなる生徒を確実に育てることができると考える。
中学校に入学して正負の数を学習し,その後すぐ文字式を学習する。この2つの単元で,かなりの生徒が数学に対して苦手意識を感じてしまう。小学校とのスムーズな接続を考えれば,文字式の指導については生徒の状況を見守りながら長い目で指導をする必要がある。新しい学習指導要領では,小学校の段階でa,xといった文字を見せる程度の学習をすることになっているが,現行の学習指導要領では文字式を全く小学校で学習しないまま中学校に入学してくる。まず,文字式との出会いをどのように仕組んでいくかを配慮したいところである。本書をその参考にしていただきたい。
文字式は数学の言語である。この意識を教える側がしっかりともつことが大切であると考える。本書の中でも触れたが,人類の歴史を振り返ってみると,文字式を現在のように巧みに使って問題解決を図ることができるようになったのは16世紀に入ってからである。つまり,人類は文字式をうまく使うことができるようになるまで,かなりの時間を要したと言えるのである。人類自体が文字式を使用するのに時間を要したことから考えても,生徒たちが学んですぐに文字式を習得できるはずがない。我々が母国語を習得するまでに長い時間を要するのと同様に,文字式の単元でも指導したからといってすぐに生徒たちが習得できるとは思わずに,長期的に生徒たちが使いこなせるようになるまで粘り強く指導することが望まれる。
本書では,授業のモデルを示しているので,教師と生徒のやりとりがスムーズに流れているように書かれており,こんなに授業がうまくいくのかと誤解されてしまうのではないかと心配である。上述したように生徒たちが文字式を習得するまでには大きな困難を伴うので,実際の授業では,生徒たちが問題解決の過程で難渋する場面が出てくるだろう。私が本書で紹介している授業を実践した中でも,その過程で生徒が解決の糸口をつかめずに悩んだり,試行錯誤して何度もやり直したりという場面が数多くあった。生徒が難渋する場面をしっかりと教師がとらえ,生徒と一緒に教師も考え,それをともに解決していこうという姿勢をもっていただきたいと考える。本書では授業で提示する課題を大切にし,その課題をどう解決していくかということを重視しているつもりである。読んでいただいた先生方には,実際に本書の授業を基にした実践をし,その結果をご報告いただければ幸いである。
最後に本書を書くに当たってアドバイスをいただいた早稲田大学教授の吉川行雄先生,私の文字式の指導の研究のきっかけを与えてくださった藤井斉亮先生,そしてゼミでお世話になっている杉山吉茂先生に感謝申し上げたい。また,本書を書くことを勧めてくださった明治図書出版の矢口郁雄様,編集に協力いただいた愛沢彰子様に感謝申し上げたい。
平成22年10月31日 甲府市の自宅にて /清水 宏幸
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明治図書- 文字のを使うことの意義、具体的な実践がわかりやすかった。2025/3/720代・中学校教員
















