- はじめに
- /宮田 純也
- Chapter 1 授業SHIFTの背景
- マルチステージ時代の授業SHIFTに向けて
- /宮田 純也
- Chapter 2 授業SHIFTの要諦
- 学習エコシステム論と探究のナビゲーション─問いが駆動する深い学び
- /田中 茂範
- Chapter 3 授業SHIFTの具体
- 自ら学ぶ力の育成
- 自由進度学習 子どもが自身を知る授業モデル
- /蓑手 章吾
- 自己調整学習 よりよい人生をデザインする力を育む「自己調整学習」
- /白杉 亮
- 複雑化する社会への対応
- 教科横断授業 教科横断で学びが変わる―探究と教科学習をつなぐ授業デザイン
- /山本 崇雄
- 探究学習×キャリア教育 授業から、未来を創る
- /酒井 淳平
- テクノロジーの活用
- 情報活用能力の向上 探究的な学びを支える基盤―情報活用能力の体系的な育成とカリキュラム
- /泰山 裕
- AI活用 教育を変えるバイブコーディング・ライティング
- /安藤 昇
- 言語教育 英語教育における授業・教師SHIFT
- /石井 雄隆
- Chapter 4 授業SHIFTと学びの未来
- /宮田 純也
- 執筆者一覧
はじめに
おかげさまで『SCHOOL SHIFT』シリーズは好評を博し、3作目を迎えました。一作目が出版されたのは2023年です。本作が出るまで約3年の月日が流れています。
一作目から3年経ったいま、学校教育が置かれている現状を鑑みても、新たな学校教育への羅針盤になることを目指す本シリーズの方向性や取り扱う内容は今もまだ色褪せず、むしろより一層、意義が高まっているようにも感じられます。
本作のテーマは「授業SHIFT」です。今までの『SCHOOL SHIFT』シリーズでは、学校教育とテクノロジーとの関係、学校組織、そしてキャリアや学び、教育方法の変化などSCHOOL SHIFTに必要なエッセンスをできるだけ網羅的に扱ってきました。本作は、マルチステージ時代により重要になる学び、つまり学校でいえば授業に焦点を当てていることが特色です。
シリーズで一貫して主張している「機械の時代」から「人の時代」への移行に伴う学びの高度化と意義の高まりは、抜本的とも言える学校教育の変化をもたらしています。詳細は私の章で記述していますが、今日の社会における特徴の一つに、様々なトランジション(移行)が起こる「マルチステージ型の人生」が挙げられます。
ロンドン・ビジネススクールのリンダ・グラットン教授とアンドリュー・スコット教授の著書で私が監修を務めた『16歳からのライフ・シフト』(東洋経済新報社)を参考にすると、明治から昭和にかけての人生設計は、教育・仕事・引退という3ステージ制に基づく「ベルトコンベア型の人生」と呼ぶことができます。
しかし今日、人生は複数のフェーズやステージを経る「マルチステージ型の人生」に変容しています。静的な人生から動的な人生への転換が進み、個々の働きかけによって多種多様なチャンスが生まれる自由な社会が形成されているのです。
マルチステージ型の人生では、「学び」によって多種多様な移行を繰り返す中で「学び」を得ることで自らの独自性が高まり、アイデンティティ形成が行われます。この繰り返しによって人生形成も形づくられていくのです。そんな人生が「人生100年」、つまり長い期間続いていくのです。そんな時代には、生涯を通じて学び続け、自己を更新する資質能力がより一層重要です。具体的には創造性、深い理解、自発性、集合的知性、批判的思考が、より良い人生を歩むためのより大切な役割を果たすことになるでしょう。このような資質能力を養うことで、個人が学びながら多様な社会変化に適応し、自律的に人生を創造できるようになるのです。つまり、「学び」というのは今日、そして未来において再創造のツールであり、プロセスであり、結果でもあるのです。
そんな時代に、子供がより豊かな学びを得る、あるいは自ら創り出していくために、学校にできることはどのようなことでしょうか。その一つは、より良い授業を実現していくことではないでしょうか。学校教育における学びは第一に授業だと考えられるからです。
本書はすべての小学校・中学校・高校の授業SHIFTに貢献できるように内容を検討しました。Chapter 1では授業SHIFTが必要となる社会背景について概説し、続くChapter 2で、実践するにあたってのコンセプトと要諦について「学習エコシステム」と探究の観点から考察しています。Chapter 3では、
・自ら学ぶ力の育成(自由進度学習、自己調整学習)
・複雑化する社会への対応(教科横断授業、探究学習×キャリア教育)
・テクノロジーの活用(情報活用能力の向上、AI活用、言語教育)
という、これからの学びを見据えた授業SHIFTの鍵となる三つのテーマとそれを具体化する概念や実践について、様々な実績や深いご知見をおもちの豪華な先生方にご執筆いただいています。最後は「あとがき」も含めて本書の内容を国際的な文脈も踏まえつつ授業SHIFTの意義を振り返り、授業SHIFTから見える学校教育の未来に目を向けている内容になっています。本書も引き続き「羅針盤」として長くSCHOOL SHIFTに貢献する書籍になれば大変うれしく思います。
なお、本書のみでも良い学びを得ることができると考えていますが、前々作『SCHOOL SHIFT』や前作『SCHOOL SHIFT 2』も読んでいただけると、より多くのことを関連付けながら深い学びを得ることができるでしょう。拙著『教育ビジネス―子育て世代から専門家まで楽しめる教育の教養』(クロスメディア・パブリッシング)はSCHOOL SHIFTをより体系的で網羅的に理解するための土台となる基礎知識を簡潔に得ることに貢献すると考えています。ご関心があればぜひご一読ください。
最後になりましたが、ご一緒させていただいた田中茂範先生、蓑手章吾先生、白杉亮先生、山本崇雄先生、酒井淳平先生、泰山裕先生、安藤昇先生、石井雄隆先生と関係者の皆様、そして本書をお手に取っていただいた皆様に心より感謝を申し上げます。
2026年5月 /宮田 純也
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明治図書

















