学力向上フロンティアスクールの実践10
算数科・コース別指導による確かな学び 4−6年実践編
補充的学習と発展的学習の効果的な進め方

学力向上フロンティアスクールの実践10算数科・コース別指導による確かな学び 4−6年実践編補充的学習と発展的学習の効果的な進め方

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本当に効果をあげることができるコース別指導を提案する。

少人数あるいはTTの加配の教員を加えて、どのように指導体制を組織し、どのような単元指導計画を立案すれば、学習者の主体を尊重し、一人一人に合った教育へと近づくようなコース別指導、TTができるか、という問いへの1つの明解な答えを出したシリーズの上学年編。


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ISBN:
4-18-531019-6
ジャンル:
算数・数学
刊行:
対象:
小学校
仕様:
B5判 184頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

はじめに
第4学年の実践
1.単元の目標/ 2.単元の指導について/ 3.児童の実態/ 4.指導の工夫/ 5.レディネス・チェックテストとコースガイダンス/ 6.指導計画/ 7.本時の展開/ 8.実践の成果と課題
4.0 第4学年の指導のポイント
4.1 分 数
分割分数からの導入
4.2 (2,3位数)÷(2位数)の筆算
数直線を活用して
4.3 面 積
広さの大小を計算で求める
4.4 三角形と角
興味関心別コース選択学習からの導入
4.5 円と球
円の曲がり具合に着目して
第5学年の実践
1.単元の目標/ 2.単元の指導について/ 3.児童の実態/ 4.指導の工夫/ 5.レディネス・チェックテストとコースガイダンス/ 6.指導計画/ 7.本時の展開/ 8.実践の成果と課題
5.0 第5学年の指導のポイント
5.1 同分母分数のたし算とひき算
ピースカードを用いた単位分数の指導
5.2 小数のかけ算とわり算
数直線の活用
5.3 分数と小数
ディベートフォーラムの手法を取り入れて
5.4 四角形
タングラムや敷き詰めを通して
5.5 円周と円の面積
内接正多面形から円周の長さを類推
第6学年の実践
1.単元の目標/ 2.単元の指導について/ 3.児童の実態/ 4.指導の工夫/ 5.レディネス・チェックテストとコースガイダンス/ 6.指導計画/ 7.本時の展開/ 8.実践の成果と課題
6.0 第6学年の指導のポイント
6.1 分数のたし算とひき算
数直線を活用して
6.2 分数のかけ算とわり算
「わり算」の意味を考える
6.3 単位量あたりの大きさ
「速さ」の学習を中心として
6.4 体 積
単位体積に着目して体積を求める
6.5 平 均
「ならす」ことの理解を深める
6.6 比 例
身近なところから比例を見つけて
おわりに

はじめに

 完全学校週5日制のもと,新しい学習指導要領が実施されて3年が経過しようとしています。「ゆとり」のなかで「生きる力」の育成を目指した学習指導要領は,基礎的・基本的内容を確実に身に付け,それを基に自分で課題を見つけ,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,行動し,よりよく問題を解決する資質や能力,豊かな人間性,健康と体力などの「生きる力」を育成することを基本的なねらいとしています。

 これからの日本と世界は,これまで以上に激しい変化に直面することが予想されます。そのような中でこれからの社会を担う子どもたちが主体的創造的に生きていくため,一人一人の子どもたちに「生きる力」を知の側面から見た「確かな学力」を身に付けさせることが重要とされます。

 本校では,この「確かな学力」を飛躍的に向上させるための施策である「学力向上フロンティア事業」の拠点校として,平成14・15・16年度の3年間,文部科学省・埼玉県教育委員会から学力向上フロンティアスクールの指定を受け,算数科における研究実践を積み重ねてきました。

 研究の中心を児童一人一人の学力向上を目指すにはどのような授業改善が必要であるか,少人数指導を効果的に取り入れるにはどのようにしたらよいかというところにおきました。

 研究を進めるにあたって,3年間にわたって東京学芸大学名誉教授伊藤説朗先生の御指導をいただくことができたことは,大変幸せなことでした。また,東京都三鷹市立北野小学校と連携して研究を進めることができたことも,幸運なことでした。伊藤先生から,問題解決指導とその基盤となるよい問題作り,そして今回の研究の中心であるコース別指導の実際をご教授いただき,どの子にも分かる授業,できる授業を目指して実践研究を進めてきました。北野小学校とは互いに授業を参観し合い,情報交換をし,協力し合いながら研究を深めてきました。

 このたび,伊藤先生の編書である本書に,北野小学校と一緒に本校の実践を紹介できることは,この上ない喜びとするところです。

 本校の実践しているコース別指導の実際は,児童の個性や能力に応じたコースを設定し,3年生以上は学級を解体しての学年内コース別指導,1・2年生は学級内コース別指導を,それぞれコース別に学習した方が効果的であると思われる時期から実施します。

 3年生以上には,次の3つのコースを用意しています。

 発展・拡充コース…教科書に示されている程度の内容を確実に身に付け,さらに,発展的な内容にも取り組むコース

 基礎・習熟コース…教科書に示されている程度の内容を確実に身に付けられるようにするコース

 補充・復習コース…学習指導要領に示されている基礎的・基本的な内容を確実に身に付けられるようにするコース

 1・2年生はTTを基本に基礎・習熟コースで授業を進めますが,途中で個別指導が必要な場合には,該当児童を集めて,補充・復習コースの授業を展開するという2つのコースを用意しています。

 コース別指導の基本的な考え方は,これまでどの子にも同じ内容を同じように教えようとしていた考え方から,どの子にも身に付けさせなければならない基礎的・基本的な内容を厳選し,一人一人の児童に確実に身に付けさせよう,さらにもっといろいろなことが学習できる児童には,それに見合った学習を準備し,さらに力を伸ばそうという考え方です。

 このコースを設定しての授業は,今では児童・保護者にも理解され,本校の特色ある教育活動の一つとなっています。児童は自分で選択したコースで学ぶことに喜びを感じ,毎時間集中して学習し,分かる喜び,できる喜びを実感しています。その児童の姿から,私たちは,これまでの研究が児童の「確かな学力」の向上に確実に成果を上げ,学習指導要領の目指す「生きる力」の育成に迫っていることを確信しています。

 本書では,各学年ごとに指導のポイントと主な実践例を紹介しています。その内容は,コース別指導が中心となっていますので,これからコース別指導に取り組まれる先生方の参考になれば幸いに存じます。

 研究を推進するにあたり,また本書の原稿を執筆するにあたり,懇切丁寧な御指導を賜りました伊藤説朗先生に改めて深く感謝申し上げますとともに,北野小学校,明治図書の関係各位に心より厚く御礼申し上げます。


  平成17年6月 埼玉県白岡町立白岡東小学校長 /長谷川 美代子

著者紹介

伊藤 説朗(いとう せつろう)著書を検索»

昭和15(1940)年12月東京都に生まれる。豊橋市の小学校,中学校を経て,愛知県立時習館高等学校を卒業し,愛知学芸大学(愛知教育大学の前身)中学校教員養成課程・数学科に入学する。昭和38(1963)年に同大学を卒業し,愛知県立豊橋商業高校,愛知県立豊橋工業高校の数学科教員を9年間勤める。

昭和47(1972)年に高校教員を退職し,東京教育大学(現在の筑波大学の前身)大学院教育学研究科に入学し,再び数学教育の勉強を始める。昭和52(1977)年に同大学院博士課程を単位取得退学し,熊本大学教育学部に講師として就職する。昭和54(1979)年に文部省初等中等教育局調査官に転勤し,小学校算数科の教育について実証的な研究を行う。そして,昭和59(1984)年に東京学芸大学に助教授となり,平成2(1990)年に同大学教授に昇任,平成16(2004)年に退官,名誉教授となる。

現在,日本数学教育学会副会長,新算数教育研究会会長である。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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