板書&展開例でよくわかる 主体的・対話的で深い学びでつくる365日の全授業 中学校社会 公民的分野

板書&展開例でよくわかる 主体的・対話的で深い学びでつくる365日の全授業 中学校社会 公民的分野

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「指導と評価の一体化」の全貌がわかる!中学校公民の全時間について、単元の指導計画と評価規準、主体的・対話的で深い学びを実現する授業展開例に加え、実物の板書写真とポイントを収録。教師と生徒の対話もリアルに再現した必携の1冊です。【ダウンロード特典あり】


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ISBN:
978-4-18-529328-0
ジャンル:
社会
刊行:
2刷
対象:
中学校
仕様:
B5判 232頁
状態:
在庫あり
出荷:
2024年10月9日
備考:
サポート情報

目次

もくじの詳細表示

はじめに
本書の使い方
第1章 主体的・対話的で深い学びでつくる公民授業づくりと評価
1 「主体的・対話的で深い学び」の捉え方と公民授業づくり
2 公民授業における主体的・対話的で深い学びの評価
第2章 365日の全授業 公民的分野
私たちが生きる現代社会と文化の特色 全6時間
単元について
第1時 人口減少社会ではどのような問題が起こるか考えよう
第2時 人口減少×少子高齢化
第3時 人間中心の情報社会はどんな社会なのか
第4時 文化に関するレポートを書こう@
第5時 文化に関するレポートを書こうA
第6時 文化に関するレポートを書こうB
現代社会を捉える枠組み 全5時間
単元について
第1時 社会集団の中で生きる私たち
第2時 決まりをつくる目的と方法
第3時 効率と公正@
第4時 効率と公正A
第5時 決まりの評価と見直し
人間の尊重と日本国憲法の基本原則(1) 全6時間
単元について
第1時 私たちの暮らしと政治や憲法のつながりを考えよう
第2時 政治のはたらきや民主主義の考え方について理解しよう
第3時 憲法の必要性や立憲主義の考え方について理解しよう
第4時 日本の立憲主義と日本国憲法の特徴を捉えよう
第5時 国民主権の大切さについて考えを深めよう
第6時 法に基づいた政治が行われる大切さについて考えよう
人間の尊重と日本国憲法の基本原則(2) 全8時間
単元について
第1時 なぜ,人権を尊重することが大切なのだろう
第2時 学校の中から平等権の広がりを探そう
第3時 なぜ,自由権が必要なのだろう
第4時 生活保護制度が必要な理由は何だろう
第5時 教育を受ける権利や労働者の権利を守るのは誰か
第6時 自ら人権を守るためにどう行動するか
第7時 自由や権利は必ず守られるべきだろうか
第8時 社会の変化と人権の関わりって何だろう
人間の尊重と日本国憲法の基本原則(3) 全3時間
単元について
第1時 憲法9条の意義とはどのようなものか考えよう
第2時 国際情勢の変化が平和主義に与える影響を考えよう
第3時 日本が平和を守り続けるためにはどうすべきか考えよう
民主政治と政治参加(1) 全4時間
単元について
第1時 多数決は決め方の“万能選手”か
第2時 選挙の意味について考えよう
第3時 政党はなぜ,何のために存在しているのだろう
第4時 主権者としての私たちの政治参加について考えよう
民主政治と政治参加(2) 全8時間
単元について
第1時 なぜ衆議院の優越が認められているのか
第2時 参議院は不要である,是か否か
第3時 なぜ日本は首相を選挙で選ばないのか
第4時 規制緩和はどこまで認められるべきか
第5時 推定無罪の原則はなぜ認められているのか
第6時 なぜ司法制度改革が必要なのか
第7時 推定無罪の原則は正しいか
第8時 トン三郎の正当防衛は認められるか
民主政治と政治参加(3) 全5時間
単元について
第1時 なぜ北神急行を市営化したのだろうか
第2時 神戸市の予算はどのようにして決まるのだろうか?
第3時 持続可能な神戸市の財政を考えよう
第4時 神戸市の予算の課題を考えよう
第5時 持続可能な神戸市の財政を実現していくためには?
市場の働きと経済(1) 全5時間
単元について
第1時 私たちの消費生活は,経済とどのように関係しているのか
第2時 私たち消費者が契約するうえで大切なことは何か
第3時 よりよい消費生活実現のため,どんな取り組みが大切か
第4時 私たち消費者は,どのように商品を手に入れているのか
第5時 私たちがよりよい買い物をするため大切なことは何か
市場の働きと経済(2) 全8時間
単元について
第1時 「働き方改革」から単元を貫く問いを把握する
第2時 会社の正体について考えよう
第3時 株主優待を事例にして,株式会社の仕組みを探究する
第4時 就職活動をする立場から“よい”会社とは何かを考える
第5時 組合の意義と課題を考えることで労働の権利を学ぶ
第6時 「ワーキングプア」から雇用のあり方を考える
第7時 男女雇用機会均等法で男女格差はなくなった?
第8時 「働き方改革」の背景を踏まえて評価しよう
市場の働きと経済(3) 全6時間
単元について
第1時 お金って何だろう?
第2時 価格ってどのように決まるのだろう?
第3時 資金が足りない!! どうする? 金融
第4時 値下げはよいこと? 景気変動と金融政策
第5時 円高と円安,お得なのはどっち?
第6時 今後,必要になる企業を構想しよう!
国民の生活と政府の役割 全7時間
単元について
第1時 税金の使い道,身の周りから見つけよう!
第2時 なぜ財政が必要なのだろう?
第3時 税の仕組みについて知ろう!
第4時 よりよい暮らしを続けるために
第5時 日本の現状と社会保障制度
第6時 これからの日本の財政
第7時 赤字経営の路線バス,あなたならどうする?
世界平和と人類の福祉の増大(1) 全6時間
単元について
第1時 世界平和を実現するための仕組み
第2時 国際連合の仕組み
第3時 国際連合における課題@
第4時 国際連合における課題A
第5時 地域主義の動きと課題
第6時 世界平和を実現するための仕組み
世界平和と人類の福祉の増大(2) 全8時間
単元について
第1時 世界の諸課題について知ろう
第2時 地球環境問題
第3時 資源エネルギー問題
第4時 貧困問題
第5時 新しい戦争
第6時 難民問題@
第7時 難民問題A
第8時 世界の諸課題について考えよう
持続可能な社会の実現に向けた課題の探究 全8時間
単元について
第1〜3時 地域の課題とそれへの取り組みが続いてきた理由を考える
第4〜5時 地域の活動を持続可能なものにしていくため必要なことを考える
第6〜8時 Myアクションプランをつくろう
おわりに

はじめに

「主体的・対話的で深い学び」を実現する中学校社会科授業の課題と本叢書の意義


 平成29年告示の学習指導要領において,新しい時代に求められる資質・能力が,@「知識及び技能」,A「思考力,判断力,表現力等」,B「学びに向かう力,人間性等」の3つの柱に整理され示されました。「主体的・対話的で深い学び」(いわゆるアクティブ・ラーニング)は,資質・能力の育成をめざして,生徒の視点からは,「学習過程の特質」を意味しており,また,教師の視点からは「授業改善の視点や方法」を意味しています。生徒に「主体的・対話的で深い学び」を実現する社会科授業を実践するために,教師は「主体的な学び」「対話的な学び」「深い学び」それぞれを視点に自らの授業づくりを吟味し課題を明確にして,授業改善に努めていかねばなりません。

 中学校社会科について,筆者が指摘しておきたい相互に関連する主要な実践的課題(争点)は,次の5点です。

 第1は,教師の社会科教育観と結んだアクティブ・ラーニングの位置づけと意義に関わる課題です。社会科は,社会的事象に関する知識内容を学ぶ教科(内容教科)であるとの捉え方を前提に,アクティブ・ラーニングはあくまで教師による内容教授の補完としての一つの学習方法・形態であるとみるのか,アクティブ・ラーニングこそが社会科学習の基本原理であるとみるのかの「観」をめぐる根本的な争点が立ち上がってくると思われます。

 第2は,学習問題の設定に関わる課題です。学習問題の性格を,英単語の“Problem”と“Issue”に分けて考えてみましょう。一般に,“Problem”は「解決されるべき問題」のことで,いわば解決策や正答を想定できる問題です。これに対して“Issue”は「議論されるべき問題」のことで,いわば正答のない,論争問題です。アクティブ・ラーニングにおける学習問題としては,“Issue”を設定することが望ましいと考えられますが,社会科各分野の指導計画における“Problem”と“Issue”のバランスと組み込み方が課題となります。そして,何より学習問題に対峙した生徒が,自己の学習に対する意欲と見通しをもつことができるのかが問われるでしょう。

 第3は,学習内容となる知識の質とその習得・活用に関わる課題です。社会科授業で,社会的事象の意味・意義・特色等を説明した概念的知識は,内容における「深い学び」の主要な基準になりますが,その概念的知識は教師により適切に選択,構成され,指導されることによって生徒が確実に習得できると考えるのか,生徒はアクティブ・ラーニングを通じてその概念的知識を主体的に形成していくことができるので,そうしてこそ生徒にとって生きて働く知識になると考えるのか,こうした争点が生まれてくるでしょう。また,学習内容となる知識について,「何に使えるか」「どう役立てることができるか」を生徒にしっかり理解させる手だてをとることも課題になると思われます。

 第4は,社会科教育のカリキュラム・マネジメントと関わる課題です。アクティブ・ラーニングの社会科授業は,1時間単位ではなく,少なくとも数時間の単元として構想する必要があります。その場合に,中学校社会科各分野の配当時間の中で,生徒は,何のために,何を,どのような方法により,何時間かけて学ぶのか。教師が基礎・基本と考える知識・スキル等の教授と生徒のアクティブ・ラーニングとをどのように組み合わせ,デザインしていくのか。こうした課題に対応した年間指導計画や単元計画が求められることになります。

 第5は,学習評価に関する課題です。アクティブ・ラーニングの社会科授業では,目標に準拠した評価の実施が不可欠です。ペーパーテストに頼った総括的評価だけでなく,単元の学習での生徒によるワークシートへの記述や発言,レポート,作品,発表等の多様な成果物を対象にしたパフォーマンス評価が形成的評価,総括的評価において必要になります。そのため,生徒のパフォーマンス(できるようになった証の成果物)が学習のねらいをどの程度まで達成しているかを見取るための評価の規準と方法をどう構想,実施するのかが課題となります。

 さて,本叢書は,資質・能力の育成につながる「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)の実現をめざして,書名における『365日の全授業』という言葉が表している通り,中学校社会科の3分野の学習指導要領が定めるすべての単元について,授業の計画・展開・板書・学習評価をモデルとして示しています。執筆者は,社会科教育に関する研究と実践の経験豊かな中学や大学等の教師たちです。

 今日,学校現場が抱える課題として,例えば,教員構成において40歳代を中心とするミドルリーダー層の比率が少なくなる一方で,30歳未満の若手・新人層が増加してきていることや,教師が授業の準備や研修等の職能開発に割く時間を十分に取れないことなどが指摘されています。こうした学校現場の状況や課題を踏まえて,本叢書は,主に中学校社会科の若手・新人層の先生方を対象に編まれました。

 本叢書の活用の仕方について,芸事の修行の過程である「守破離」になぞらえて3段階のステップにより示したいと思います。第1は,本叢書に示された単元を模範として,文字通り「365日の社会科授業」を実践することを通して,「主体的・対話的で深い学び」の意味や意義をつかむ契機とすること。第2は,上記の5つの実践的課題(争点)を視点にして本叢書に示された単元の特徴や課題を,個人で,あるいは同僚教師との対話を通じて検討し,それらを参照しながら各分野・各単元の授業を自らの創意工夫により構想,実践,改善していくこと。第3に,「主体的・対話的で深い学び」を実現する中学校社会科授業について,自分自身の教育観・授業観と授業づくりの型を見出し,継続して磨き上げていくことです。

 本叢書が,読者の皆様それぞれのキャリアステージに応じた社会科授業力の向上とそれをめざした相互の対話の促進に役割を果たすことができれば幸いです。


   /梅津 正美

著者紹介

梅津 正美(うめづ まさみ)著書を検索»

鳴門教育大学理事・副学長。博士(教育学)[広島大学]。

井上 昌善(いのうえ まさよし)著書を検索»

愛媛大学准教授。博士(学校教育学)[兵庫教育大学]。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。

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      2023/5/630代・中学校教員
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      2023/3/1720代中学校教諭
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