- まえがき
- T 国語科が危ない!
- U 「子ども」は変わったのか
- 一 子どもは変わった――「授業」の面から
- 二 子どもは変わった――「学級崩壊」の面から
- V 「子ども」のどこが変わったのか・その原因は
- 一 子どもの「脳」が変わった
- 二 「今時の子」は「前頭連合野」が未発達
- 三 「今時の子」は「大量イメージ情報処理優先脳」
- 四 基礎学習と脳の発達
- 五 テレビの影響
- W 「子どもたち」と「テレビ、ゲームの視聴時間」
- 一 データで見る「テレビ、ゲームの視聴時間」
- 二 低学年の「テレビ、ゲームの視聴時間」
- 三 「テレビ、ゲームの視聴時間」と学習状況の関係
- X やる気のない子、できない子、授業を妨害する子
- 一 「やる気のない子」、「できない子」、「授業を妨害する子」とは
- 二 「今時の子ども」の特性
- Y 「崩壊した教室」への挑戦
- ――「スイミー」の実践を通して
- 一 「崩壊した教室」との出会い
- 二 「崩壊した教室」への挑戦(一)――目標の変更・徹底した音読・学年音読発表会
- 三 「崩壊した教室」への挑戦(二)――指導の実際・子どもたちの動き
- 四 「崩壊した教室」への挑戦(三)――校内研修会とその後の取り組み
- 五 その後の教室で――「ようこそ、おもちゃの国へ」
- Z よみがえれ!「テレビ脳っ子・ゲームっ子」(その一)
- ――基本的な考え方と「実践原理」
- 一 実践の基本的な考え方の「基底」
- 二 実践の「基本的な考え方」
- 三 「テレビ脳っ子・ゲームっ子」のための「実践原理」
- [ よみがえれ!「テレビ脳っ子・ゲームっ子」(その二)
- ――「サンゴの海の生きものたち」の実践を通して
- 一 「実践の手順」を決める
- 二 教材本文と教材研究――「指導のポイント」を見いだす
- 三 「子どもたち」の状況――担任の観察による
- 四 「指導計画」を立てる
- 五 指導の実際――「子どもたち」に何が起きたか (授業中の「評価1」)
- 六 「授業」の中の「テレビ脳っ子・ゲームっ子」たち (授業中の「評価2」)
- 七 よみがえった「テレビ脳っ子・ゲームっ子」たち (授業後の「評価」)
- \ 「テレビ脳っ子・ゲームっ子」対応の「授業」をつくろう
- 一 あなたの「授業」をチェックしよう
- 二 「言語脳」対応とは、ここが違う「指導過程」
- 三 「テレビ脳っ子・ゲームっ子」対応の「授業」をつくる「手順と方法」
- 四 「テレビ脳っ子・ゲームっ子」対応の「授業」の「評価」
- 五 他校種・他教科への可能性
- ] どの子も大事な未来人
- あとがき
まえがき
日本中の国語教室がおかしい。
子どもたちの多くが授業に参加していないようなのだ。教師の発問に答えるのはわずかに数人。その数人の答えで授業が進んでいく。残りの子どもたちは確かに前を向いてはいるがその表情は無表情で、ひょっとしたらことばが通じていないように見える。ことばを手がかりに読みが深まっていく授業もなかなか見られなくなった。
あなたの教室はどうですか。
思うように子どもたちが乗ってこないのではありませんか。あるいはもっとひどいかも知れませんね。ちょっとでも手をゆるめると教室が騒然としてしまい、なかなか収まらない。
あなたの学校に崩壊した学級がありませんか。学級崩壊こそ「ことばの全く通じない」世界です。もし自分の学級が崩壊したらあなたはどうしますか。この本はそれに対する一つの手だてを示したものです。
全国の教室の実情はかなり深刻であり、「ことば」が通じない状況が生まれつつある。その典型としての「学級崩壊」は、高学年から低学年に広がってきた。崩壊寸前の教室は「どの学校にもある」といっても言い過ぎにはならない状況である。「それはおかしい、私の見た教室は学習が成立していた」と言われる方も多い。その通りなのだ。確かに「見た」授業はそうだが、「見なかった」授業はどうだったのか。見せられない授業もある、というのが本当のところなのである。研究授業の希望者がいないというのも同じことだ。
この本は、現場で悩みつつ、ワークシートを工夫してみたり、絵本を読んでやったり、あれこれ工夫はしてみるが、いっこうに改善されない子どもたちに手を焼いている先生方に「新しい実践の方法」を示し、一緒に実践の輪を広げようと呼びかけたものである。もし、共鳴するところがあったら、まず取り組んでほしい。「よみがえる」と信じて取り組んでほしい。実践例は小学校であるが、中学校でも十分に生かせるはずだと思っている。
「今時の子ども」を「テレビ脳っ子・ゲームっ子」と認識するところからスタートしたい。
「今時の子の特性」を押さえ、「実践原理」(もちろん、この二つとて私が数年をかけて編み出したものであり、完全なものではない、加除訂正されていくものである)を生かして実践してほしい。学習にまったくといってよいほど参加してくれなかった手の焼ける子どもたち(まるで「イモムシ」ちゃんのような)が学習に参加し、見事に「アゲハチョウ」に生まれ変わっていくのだ。力が無かったのではない。指導の方法が合わなかっただけなのだ。タイトルの「よみがえれ!」は、それを意味する。そしてそのとき、あなたはあなた自身が「よみがえった」ことに気づくはずである。
最後に、この出版に当たり明治図書編集長の江部満氏に殊の外お世話になった。厚く御礼を申し上げる。
二〇〇四年八月 猛暑の札幌にて /安藤 修平
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- 明治図書