- まえがき /市毛 勝雄
- 第一部 二十一世紀に求められる言語技術とは何か
- 二十一世紀に求められる国語科授業の在り方とは何か
- ――その理念と国語学力の基礎・基本―― /小森 茂
- 現代的課題からとらえた教科内容としての言語技術のあり方 /中村 敦雄
- 言語技術教育と言語感覚教育 /堀 裕嗣
- 共振・協働とメモの言語技術 /高橋 俊三
- 読み 書き /宇佐美 寛
- 言語技術ということを視覚的に見える形にする試みへの疑問 /渋谷 孝
- 話題・題材発見の言語技術としての〈みること〉の意義の再認識
- ――創造的思考としての〈みる〉技術を教えたい―― /大内 善一
- 国語科教育のすべての領域で「吟味」を位置づけること /阿部 昇
- 言語技術をメタ認知する能力を育てる /鶴田 清司
- 重要なのはやはり論理的思考・表現の技術 /小田 迪夫
- 第二部 言語技術による授業の改革をどうするか
- 【読 む】
- キーワードを取り出す /国府田祐子
- 長い説明文教材の要点を短時間で理解する /深谷 幸恵
- 「基礎・基本」としての「要約指導」 /森 寛
- 【書 く】
- 文章表現の「型」を教える教材の開発 /長谷川祥子
- 情報の「選択・判断・構成」の言語技術を
- ――「グラフをもとに」(小四・光村)を例に―― /鈴木 悟志
- 一時間完結型で繰り返す作文指導の提案
- ――書かせた後の評価活動が追いつかない作文指導をどう改善するか―― /石井 淳
- 図解論理教育 /小木 恵子
- 【話す・聞く】
- 技術を明示し、育てる
- ――『確かな国語学力(基礎・基本)を育てるマスターカード』を開発し、授業を行う―― /柳谷 直明
- 論理的な説明能力をつけるシナリオ教材を作る /瀧沢 葉子
- 子ども達同士の関わりを意識した、グループによる古典の音読 /柳田 良雄
- 【メディア】
- メディアを授業化するポイントは何か /大森 修
- メディア・リテラシーから二十一世紀の授業改革は始まる
- ――事例報告と一つの提言―― /中村 純子
- メディア情報を読み解くための二つの観点 /田辺 泰
- 「教室国語」「受験国語」から脱皮するのがメディア・リテラシーによる「生活国語」である /椿原 正和
- 【言語事項】
- 改革の手がかりは視写させる文章の内容にある /大貫 眞弘
- 正解主義的な「文法」観からの脱却を /鈴野 高志
- 言語技術の観点から「言語事項」をとらえ直す /兵藤 伸彦
- 一語一文の「体温差」を自覚する言語事項の授業づくり /京野 真樹
- 第三部 〈小特集〉 基礎学力としての国語力の向上・私の提案
- 現代的リテラシーの習得を /柴田 義松
- やはりそれは「授業の改善」によるしかない
- ――目標の廃止、言語知識の体系化、そして電子辞書の採用―― /野口 芳宏
- 劣悪な市販テスト(解答欄がかっこ)が基礎学力の測定を不能にしている
- ――国語教師の多くは劣悪市販テストの愛好者である―― /向山 洋一
- 基礎・基本・発展の段階的「評価基準」からの教材開発・授業研究
- ――学校教育全体を支える「国語学力」の見直しと位置づけ―― /佐藤 洋一
- 「聞くこと・話すこと」が育てる対話的学力 /村松 賢一
- 教師の指導技術向上が「カギ」
- ――発問を研究せよ―― /井上 尚美
- 書評と第十二回大会の報告
- 柴田義松著『「読書算」はなぜ基礎学力か』(明治図書) /石黒 修
- 堀裕嗣著『絶対評価の国語科テスト改革・二〇の提案』(明治図書) /井上 敬夫
- 市毛勝雄監修『論理的思考力を育てる授業の開発 小学校編・中学校編』(明治図書) /奥泉 香
- 科学的「読み」の研究会編『この教材で基礎・基本としての言語スキルを身につける』(学文社) /豊田 ひさき
- 鹿内信善著『やる気をひきだす看図作文の授業』(春風社) /田中 幹也
- 阿部昇著『文章吟味力を鍛える―教科書・メディア・総合の吟味―』(明治図書) /河野 順子
- 鶴田清司著『国語の基礎学力を育てる―学力保障・言語技術・絶対評価―』 /市毛 勝雄
- 日本言語技術教育学会第十二回大会の報告 /佐藤 洋一
- 編集後記 /鶴田 清司
まえがき
わが日本言語技術教育学会第十三回大会は、札幌大会として北海道の地で、七月三〇日に開催される。一三年前のわが学会発足当時には、想像もできなかった発展ぶりである。
すでに多くの先生方は、文学教育と文学作品鑑賞の授業だけではとても世の父母たちの期待に応じられなくなっていることを感じている。まして、文集づくりや終点のはっきりしない授業のつづく「単元学習・課題づくり学習」では、クラス学習の秩序維持さえ難しいことが知れわたり始めている。理念や理論から作りあげられた授業ではなく、生徒に学力がつく「言語の授業」というものがどういう「現実」であるか、本大会でじっくりと見とどけていただきたい。しかもそれら技術を体系化する「検定外言語技術教科書」をつくる試みも始まっている。
北海道の国語教育について、私は一九八〇年から九〇年にかけて一三回ほど、道立教育研究所に講師として招かれたというかかわりがある。聴いてくださる先生方は、初めの数年間は私の話に目をぱちくりするばかりであったが、当時の石坂部長が「来年も頼みます」と毎年言ってくださるので、それにはげまされて私は講演の内容を明確に明快にと絞っていった。今から考えてみると、その講演の骨子は言語技術教育の骨組みになっている。また、講演にくり返し参加してくださる先生方も増えていった。その北海道の地で大会を開く、まことに感無量である。
わが学会は例年、三月という学期末に開催されてきたが、北海道という厳しい三月期の気候に配慮して、特に七月三〇日(金)開催とした。この変更で、大会実行委員会の皆様に多くのご苦労をおかけしたことをおわびしたい。
本誌が北海道大会のよい手引書となることを期待し、皆様と語り合えること楽しみとしている。
二〇〇四年五月 日本言語技術教育学会会長 /市毛 勝雄
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