- まえがき
- T 新卒教師が陥る学級崩壊のメカニズム
- 1 新卒教師は学級崩壊する
- 2 学級崩壊でスタートした教師生活
- 3 大学で教えてくれない一番大切なこと
- 4 学級崩壊の本当の原因
- 5 学級崩壊を立て直す
- U こうすれば明日の教室が楽しくなる
- 1 一年間を決める黄金の三日間
- 2 ドキュメント! 新卒教師、黄金の三日間を成功させる
- 3 子どもが喜ぶ黄金の時間
- 4 とっておきの楽しい向山実践
- 5 向山型体育で学級を統率する
- 6 ガキ大将になって遊びをつくる
- V 明日の授業が楽しくなる
- 1 向山実践を追試し授業の楽しさを知る
- 2 TOSSランドで明日の授業の準備をする
- 3 向山型算数で新卒教師も平均点九十点を実現
- 4 新卒教師が作ったドラマ 跳び箱
- 5 子どもが集中する教材を使う
- W トラブルへの急所指導
- あとがき
まえがき
今から一三年前、新卒教師として山間の学校に赴任した。
夢と希望に満ちあふれていた。
たった二ヶ月、挫折をしていた。夏休みまで勤めて辞めようと思った。
そのことを、親に話し、翌日には校長先生に話そうと思った。子どもの前で泣けてきた。
どこまでも続く出口のないトンネルにいるようだった。
休みの日だけが待ち遠しかった。
絶対に変わらないと思っていた。
でも、原因が分かり、方針が正しくなったら、自分でも確実によくなっていくのを実感できた。このクラスを持ち上げ、日本一の子ども達だと思った。
もう毎日が楽しくなっていた。
翌年、続けて六年を担任した。そのクラスは、三日で組織できた。
その頃には、学校のある日の方が楽しく感じられた。
これが、私の新卒の学校での概要である。
この時の経験は、私の教師生活を変えた。
夢中になって、教師修業に励んだ。もともとセンスのない人間である。伸びは遅々たるものであった。でも、各地のTOSSの先輩に声をかけられ、大切にされる中、今日まで自分なりに励んで来られた。
そして、今回、本にまとめるという話をいただくまでになった。
本を書くことは、自分の弱い部分も見せることで怖いことである。また、間違った情報を流すことで迷惑をかけないか恐ろしいことでもある。ためらいもある。
しかし、現在、私と同じように困っている若い先生がたくさんいることを知っている。毎年、実際に辞表を提出し辞めていく人もいる。まじめで熱意のある誠実な人なんだと思う。
私は、いくつもの出会いによって救われた。たくさんの福をいただいてきた。今度は、それを分ける立場なのだと思い、書き始めることにした。
したがって、第一部は、学級崩壊をテーマとした。
第二部、第三部は、自分が新卒時代からやって、本当に学級が楽しくなったことを書いていく。
第四部では、どの学級にもあるトラブルに対する対応を述べる。
これらのほとんどが、「向山洋一教え方教室」で向山先生から学んだことである。「分福」の考えもその一つである。
向山先生は、教師という仕事は「神様にしかできないような素晴らしい仕事である」と言う。私は、そのことをいま実感している。
本書が、多くの若い先生たちにそのような実感を持つきっかけとなることを願う。
二〇〇四年二月 TOSS長野 /小松 裕明
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- 明治図書