- まえがき
- T 子どもが動く「学級の組織づくり」六つのポイント
- 1 基本的な組織のシステムは、三日でつくる
- 2 「当番活動」と「係活動」をはっきり区別する
- 3 活動を実感できる「場」を設定する
- 4 活動当初は「プラス評価」に重点を置く
- 5 活動が滞ったら、小さな要求≠ゥらはじめる
- 6 危機管理≠意識しておく
- U 雰囲気づくりが「絶対条件」!
- 7 「学級開き」はわくわくドキドキ!
- 8 メリとハリで学習習慣を身につける
- 9 二週間で「話を聞く」雰囲気を作り上げる
- 10 学級目標は、ツーウェイで作り上げる
- V 「授業」こそが「学級づくり」の生命線
- 11 教材は、常に、子どもたちのウケ≠考える
- 12 「誤答」こそが、指導力アップのチャンス!
- 13 「はてな」をもたない教師は伸びない
- 14 自分なりの教材研究法をもつ
- 15 授業改革≠ナ「学ぶ気持ち」を育てる
- W 生徒指導は第3の柱
- 16 おもての問題児≠ニウラの問題児≠見極めよ
- 17 落差≠ノよって指導が入る
- 18 長い説教、休むに似たり
- 19 「個人レベルの問題行動」と「集団レベルの問題行動」を区別せよ
- 20 問題が起こった時ほど、「しめた!」と思え
- X 集団自治力向上のポイント
- 21 「できた事実」が子どもを変える
- 22 「リーダーシップ」より「メンバーシップ」を育てる
- 23 基本行動をパターン化する
- 24 学級イベントが人間関係をつくる
- 25 やってみせ、やらせてみせて、誉めてやらねば自治力はつかない
- Y 子どもたち一人一人のとらえ方
- 26 子どもたちの「具体的事実」に注目する
- 27 子どもたちの小さな変化≠ノ敏感になれ!
- 28 観点をひとつだけ決めて見る
- 29 記録を取り続ける努力を怠らない
- 30 情報のアンテナ≠広くする
- Z 低中高学年別、学級づくりのポイント
- 31 低学年―優しさとガマン強さ
- 32 中学年―ガキ大将的存在感
- 33 高学年―見通しと行動力(バイタリティー)
- [ 教師が楽しまなければ「学級づくり」じゃない
- 34 アマチュアは「いかに手を抜くか」を考え、プロは「いかに手をかけるか」を考える
- 35 実践なき者の批判は、教育評論家と同じである
- 36 教師が楽しまなければ「学級づくり」じゃない
- 「学級づくり」記録ノート用資料
- ・月別個人記録 /・生活班編成表 /・学習班編成表 /・特活関係役割一覧 /・表彰記録一覧 /・家庭学習提出一覧 /・ドリル進行表 /・忘れ物チェック /・月別読書量 /・授業活動メモ /・ノートチェック一覧
まえがき
私は今まで、一年生から六年生までの全学年を三回以上担任させてもらった。そんな私が六年生を送り出す時、黒板に次のようなメッセージを書いている。
卒業おめでとう!
筑波≠ノなるな。富士≠ノなれ!
今まで以上の「自分なりの富士山=vを中学校で見つけよう。
そして、卒業式後、教室に戻ってきた子どもたちに次のようなことを言う。
筑波山という山があります。この山は、九百メートル足らずの山ですが、同じ高さの山並みが続いています。一方、富士山はみんなが知っている通り、日本で一番高い山です。
あなた方は、四月から中学生になります。どうぞ、今まで以上に「自分なりの富士山=vを見つけて下さい。
「おれは、これが得意だ」「これだったら、私に任せて!」という「自分なりの富士山=vを見つけて下さい。
また、『詞集たいまつ』(評論社)という本の中に次のような言葉があります。
「人はだれでもその人にこそふさわしい役割、その人でなければならない仕事をめいめい必ず一つは持っている。だから自分はだれにも劣るものではなく、だれかに優るものでもない。それを知ったとき、人は自立する。」
他人と比べることなく、おごることなく、しっかり自分を見つめて「自分なりの富士山=vを見つけて下さい。
卒業おめでとう!
このメッセージは、次のような思いから生まれている。
花壇に花を植える時、同じ種類の同じ色の花を植えると、とてもきれいである。
しかし、いろいろな種類の、いろいろな色の花を植えたら、もっともっときれいである。
「学級づくり」もこれと同じである。
学級には、実に様々な子がいる。勉強がよくできる子もいれば、問題行動ばかり起こす子もいる。また、よく気がついて、何事もてきぱきとこなす子もいれば、何をやっても時間がかかる子もいる。
しかし、様々な子がいるからこそ、「学級づくり」がおもしろい。そして、「学級づくり」が楽しい。
決して、「勉強ができる子」や「よく気がつく子」、「教師にとって手がかからないよい子=vだけのための「学級づくり」ではない。
「学級づくり」において最も大切なことは、「一人一人の存在感を高めること」であり、「自分なりの富士山≠見つけさせること」である。そして、それは「だれにも劣るものではなく、だれかに優るものでもない」ということに気付かせることだ。
一九九七年の拙著『自立した子を育てる「学級づくりステップ組織術」』(明治図書)で、私は次のようなことを書いた。
ロケットを打ち上げる時、打ち上げる角度が1・2度違っただけでロケットの到着地点は大きく違ってきます。
「1・2度」というちょっとした違い≠ェ、「何十メートル、何百メートル」というとてつもなく大きな差≠ニなって表れてきます。
これは、「学級づくり」においても同じことがいえるのです。
本書作成にあたり、今まで積み上げてきた「学級づくり」の原理・原則≠「失敗しない『学級づくり』の原則 」という形でまとめさせていただいた。
本書に書かれていることは、「学級づくり」における当たり前のこと≠ナあり、「学級づくり」を進めていく上で忘れてはならない原理・原則≠ナある。
しかし、これは「学級づくり」においてとてつもなく大きな差≠生む原理・原則≠ネのである。
「総合的な学習」が始まり、学力低下が問題になる中、学校教育が大きな転換点に差しかかっている。しかし、そんな「転換点」だからこそ、「学級づくり」の重要性が問われ、学級担任としての力量が試されている。
子どもたちを鍛え、子どもたちを成長させるために、そして、先生の『「学級づくり」実践』に何らかのお役に立てれば幸いである。
最後になりましたが、今回、本書作成の企画を与えてくださった明治図書の江部満氏、樋口雅子氏に厚く感謝申し上げます。
また、多くの仲間に支えられて本書が出来上がりました。ありがとうございました。
二〇〇四年二月
全国「学級づくり」研究会・「学級づくり」中央研究所 代表 /戸田 正敏
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- 明治図書