- はじめに
- 1 数の種類
- 数の拡張
- 2 どうして「+.−.×.÷」と書くのか
- ◎加減乗除の記号について考える
- [1] なぜ,加法を「+」と書くの?
- [2] なぜ,減法を「−」と書くの?
- [3] なぜ,乗法を「×」と書くの?
- [4] なぜ,除法を「÷」と書くの?
- 3 どうして「=.<.>」と書くのか
- ◎等号・不等号について考える
- [1] なぜ,等号を「=」と書くの?
- [2] なぜ,不等号を「<」「>」と書くの?
- 4 99までの表でのたし算・ひき算
- ◎小学校1年での多様な指導アイデア
- [提案1] 加法の導入(筆算の効能)
- [提案2] 減法の導入(筆算の効能)
- [提案3] 交換法則の認知
- [提案4] 1から99までの表での遊び(その1)
- [提案5] 1から99までの表での遊び(その2)
- [提案6] 表から座標へ
- [提案7] 加法の計算を早くする問題練習と数の並びの規則性発見
- 5 ビックリするほど簡単な四則のためし算
- ◎楽しく・面白くできる四則のためし算
- [1] たし算(加法)のためし算
- [2] ひき算(減法)のためし算
- [3] かけ算(乗法)のためし算
- [4] わり算(除法)のためし算
- 6 計算問題の不思議発見
- ◎楽しく・面白い計算問題の取り組み方
- [1] 加法の問題
- [2] 減法の問題
- [3] 乗法の問題
- (1) なぜ,「九九」というのだろう
- (2) 「九九」の表での乗法の遊び
- (3) 筆算の一例
- [4] 除法の導入問題提示
- 7 ハンドパワーで九九の計算
- ◎指で楽しく九九の計算をしよう
- 8 なぜ「かけ算・わり算」から先に計算するのか
- ◎式の中でかけ算やわり算は,たし算やひき算より先にします
- 9 わかりやすい分数の導入
- ◎子どもの視線から分数を教える
- [1] 導入の一例
- [2] 加法の導入の一例
- [3] 減法の導入の一例
- [4] 乗法の導入の一例
- [5] 除法の導入の一例
- おわりに
はじめに
学級崩壊,授業崩壊と言う言葉が新聞の紙面を賑わして久しい。
そのような中で,大学生が小数の加減乗除ができないという調査結果の発表をある新聞で見て驚いた。
また一方では,国際教育到達度評価学会の一昨年の調査結果もある新聞で報道されていた。
その一節によると,「日本の中学生は国際的にみて数学・理科が好きな生徒が際立って少なく,調査参加国の中で最低レベルであることが分かった。文部省が5日,結果を公表した」という内容であった。
この報道は,平成12年12月7日(木)のある新聞である。
これらの,報道を見るたびに一数学教師として悲しい思いにかられる。
悲しい思いをしていただけでは,算数・数学の好きな児童生徒は増やせない。
そこで,[算数・数学って面白い]のだ。また,「楽しい」のだ。と児童生徒が思うような授業展開の方法はないかと考えていたことを書くことにした。
この「算数・数学って面白いのだ」という面白さは,「算数・数学の遊び」から得られると思っている。
算数・数学だけでなく他の教科の勉強も,いかに遊ばせながらその教科の勉強をさせるかである。
ここに紹介する内容は,算数を遊びから面白くする「手立て」である。だから,私の「アイディア」であり,数学的に,また数学史的に正しいかは定かでない。
しかし,児童生徒の創造性を高めるため,また児童生徒が試みてみよう,という「やる気」を喚起させる小さな手助けにはなると信じている。
算数・数学は論理的でなければならない,ということは百も承知である。承知しながら,今から展開しようとする内容は論理的でないかもしれないが,授業に採り入れたら「児童生徒が楽しんで学習するようになった」という言葉を,指導された方々から聞きたいために,この本を書いた。
「児童生徒が興味・関心を興す」ためには,教える側の創造性が不可欠である。指導者の創造性が,児童生徒の創造性を豊かにするという信念で,今回は小学校一年生の自然数99までの数を基に,四則のためし算,四則の面白い計算問題等を提起し,「九九」から分数までを取り扱ってみた。
算数という教科を勉強する児童生徒が,「算数は面白い,また楽しい」と,宿題が出されないでも,自ら問題を作り出し,試してみようという学習意欲が出てきたら著者として本当に嬉しい。
そして,教える側の人たちからも,「驚き,感激しながら教えることができた教材であった」という言葉を頂けたら嬉しい。
勉強は勉強を習う方と教える方とが,お互いに感激・感動し,習い・指導されるところに勉強の楽しみが生まれる。
このような思いで,いままで蓄積していた問題を書いてみた。
皆様方のご指導を頂けたら嬉しい。
最後に,この本を出版するにあたり,ご指導とご尽力を賜った明治図書教育書編集部 石塚嘉典様,庄司進様に深く感謝申し上げます。
平成14年1月吉日 著者 /山口 倬史
ぜひ、購入してみたいと思います。